消費生活相談員資格試験 過去問解説

消費生活相談員資格試験対策としては過去問を多く解くことが近道です。しかし、過去問の回答の解説がなかなか市販されていないため、独自で作成

消費生活相談員資格試験 30年度 9問

平成30年度 消費生活相談員資格試験 9問

9. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。※誤っている箇所がある場合は、1ヵ所である。 。

 

製造物責任法において、業として製品を㋐製造、加工又は輸入した者は「製造業者等」に該当する。非営利目的で製品を製造する者は、㋑「製造業者等」に該当することはない。また、自ら製品を製造しない場合でも、当該製品にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者は、㋒「製造業者等」に該当する。

【解答】 ✖ イ

  • PL法の「製造業者」定義は、反復して製造・加工・輸入した者。営利性を問わないため、公益法人、行政も責任主体となる。
  • プライベイトブランドのように、自己名称やブランドを商品につけることで、製造業者と誤認させる表示や、当該製造物に実質的な製造業者と認められる氏名等を表示した者。

 

② 最終製品である製造物の部品や原材料に欠陥があり、消費者に拡大損害が生じた場合、部品や原材料の製造業者は製造物責任を負うが、㋐その欠陥が専ら当該製造物の製造業者の設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつ、㋑その欠陥が生じたことに部品や原材料の製造業者の過失がない場合は、部品や原材料の製造業者は免責される。これを「部品・原材料製造業者の抗弁」という。当該製造物の製造業者は、㋒「部品・原材料製造業者の抗弁」が成立する場合にのみ製造物責任を負う。

【解答】 ✖ ウ

  • PL法(4条 免責事由)により、「当該製造物が他の製造物の部品又は原材料として使用された場合において、その欠陥が専ら当該他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつ、その欠陥が生じたことに過失がないこと」を免責事由として挙げている。
  • 製造設計者の設計の指示に従った欠陥は、部品や原材料製造業者の責任は免責となり、設計を指示した製造業者が責任を負う。これを「部品・原材料製造業者の抗弁」という。
  • 引き渡した時点で、安全性の判断に影響を及ぼす世界最高水準の科学知識又は技術水準においても欠陥をすることができない場合も免責事由としている。これを「開発危険の抗弁」という。よって「部品・原材料製造業者の抗弁」が成立したのみ製造業者が責任を負うとは限らない。

 

③ 製品の欠陥による被害の救済に関し、さまざまな製品分野で損害賠償のために付保されたマーク制度が実施されている。例えば、玩具を対象とする㋐STマーク、消費生活用製品の一部を対象とする㋑SGマーク低周波治療器等を対象とする㋒HAPIマーク等がある。

【解答】 〇

  • SFマーク:Safety Firework【日本煙火協会】花火に欠陥があり、消費者に被害が生じた場合の対人・対物合わせての賠償を速やかに行うための制度。
  • STマーク:Safety Toy【日本玩具協会】玩具が原因で発生した対人・対物事故の損害賠償金や見舞金の制度。市販のおもちゃの90%以上がマーク付き。
  • TSマーク:Traffic Safety 【日本交通管理技術協会】自転車安全整備店で点検整備を行い、基準に合格した安全な自転車に貼られる。事故にあったり事故を起こしたとき、対人の賠償、損害保険がつけられている。
  • BLマーク:【ベターリビング】玄関ドア、キッチンシステム、給湯器、冷暖房システム、浴室ユニット、温水洗浄便座等60品目
  • SGマーク:Safety Goods【製品安全協会】乳幼児用製品、家具・家庭・暖房用品、スポーツ・レジャー用品、福祉用具等129品目

  

④ 長期使用製品安全表示制度により、一般消費者が生活の用に供する電気用品のうち、経年劣化による重大事故が一定件数以上発生しているとして選定されたものの製造又は輸入を行う事業者に対して、㋐製造年、設計上の標準使用期間、経年劣化についての注意喚起の表示が義務化されている。当該制度の対象は、㋑ビルトイン式電気食器洗機、㋒換気扇等である。

【解答】 ✖ イ

  • 電気用用品安全法の改正により、2008年(H20 )に家電製品5品目に関して、長期使用製品安全表示制度ができた。
  • 消費生活製品安全法の特定保守製品における長期使用製品安全点検制度と異なることに注意ビルトイン式電気食器洗機は、長期使用安全点検制度に該当。
  • 安全表示制度5品目:扇風機、エアコン、換気扇、洗濯機、ブラウン管テレビ
  • 表示内容は、製造年、設計上の標準使用期間、経年劣化についての注意喚起の表示義務化

 

道路運送車両法に基づく自動車のリコール制度では、自動車製作者等は㋐リコールを実施後5日以内国土交通大臣に届け出なければならないとされている。㋑届出がなされたリコール情報は、国土交通省により公表されている。2004(平成 16)年には㋒タイヤ及びチャイルドシートに関するリコール制度も導入された。

【解答】 ✖ ア ➡リコール前に届け出が必要

  • 消費生活製品安全法では、製品事故が生じた場合、原因調査を行い、必要に応じて製品の回収、拡大防止に努めなければならない。主務大臣は措置命令を命ずることができる。
  • 道路運送車両法に基づくリコール制度とは、同一の型式で一定の範囲の自動車等又はタイヤ、チャイルドシートについて、設計・製造過程に問題があったために、自動車メーカーが自らの判断により、国土交通大臣に事前届け出を行ったうえで回収・修理を行う。
  • 国土交通省は、リコールの届け出において「不具合の情報の収集・分析」「メーカーへのリコールへの取り組み状況の調査」「取り組み状況が不適切であれば指導」「届け出の内容が不適切であれば改善指示」「メーカーが自主的にリコールを行わず、かつ、事故が頻発している場合には勧告・命令」

 

⑥ 医薬品等を適正に使用したにもかかわらず生じた副作用により健康被害を受けた者の救済を図るため、医薬品副作用被害救済制度が設けられている。この制度においては、処方箋の必要がない一般用医薬品は㋐救済の対象から除外され再生医療等製品は㋑救済の対象とされている。また、同制度では、健康被害に対する㋒慰謝料は補償されない

【解答】 ✖ ア ➡一般用医薬品も対象

 

⑦ 消費生活用製品安全法における「製品事故」とは、「消費生活用製品」の使用に伴い生じた事故のうち、㋐一般消費者の生命又は身体に対する危害が発生した事故、あるいは㋑「消費生活用製品」が滅失し、又は毀損した事故であって、一般消費者の生命又は身体に対する危害が発生するおそれのあるもののいずれかに該当し、かつ、㋒「消費生活用製品」の欠陥によって生じたことが明らかな事故をいう。

【解答】 ✖ ウ

  • 「製品事故」とは、問題文ア・イに該当するものであり、該当しないものとは、製品の欠陥によって生じたものでないことが明らかな場合
  • よって、原因不明の場合も「製品事故」となる。

  

⑧ 「消費生活用製品」のうち、㋐構造、材質、使用状況等からみて一般消費者の生命又は身体に対して特に危害を及ぼすおそれが多い製品で政令で定めるものを「特定製品」という。「特定製品」は㋑PSC マークの表示がなければ販売できない。㋒「技術基準」に適合しない「特定製品」が流通した場合経済産業大臣は、一定の要件の下で、製造業者等に回収等の必要な措置を命じることができる。

【解答】 〇

  • 特別特定製品「乳幼児ベッド」「携帯用レーザー応用装置」「浴槽用温水循環器」「ライター」
  • 特定製品は、上記「特別特定製品」に「圧力鍋」「乗車用ヘルメット」「登山用ロープ」「石油給湯器」「石油風呂釜」「石油ストーブ」
  • 主務大臣は、PSC製品について消費者の生命身体の危害を防止するため、必要な技術上の基準を決めなければならない。
  • 当該製造・輸入事業者は届け出が必要。
  • 特定製品は基準に合格していること、特別特定製品は第三者機関により適合性検査に合格していることが証明された時、PSCマークをつけることができ、ついていなければ販売できない。
  • PSCマークがついていない製品が販売されている場合は、経済産業大臣は回収を命じることができる。

 

⑨ 「消費生活用製品」で「重大製品事故」が生じた場合、消費生活用製品安全法及び同法に基づく内閣府令の規定により、製造又は輸入業者は、「重大製品事故」の発生を知った日を含めて 10 日以内に消費者庁長官に報告しなければならない。小売業者は、「重大製品事故」の発生を知ったときは㋑所在地の都道府県知事に報告するよう努めなければならない。製造又は輸入業者、小売業者は、㋒一般消費者に対し当該事故情報を適切に提供するよう努めなければならない。

【解答】 ✖ イ➡都道府県知事ではなく製造・輸入業者に報告

  • 重大事故が発生した場合、小売販売、修理設置工事事業者は、重大事故が生じたことを知ったときは、その旨を製造・輸入業者に通知する努力義務がある。
  • 製造・輸入業者は重大製品事故が発生したことを知ったときは、消費生活用製品の名称・型式、事故内容、販売数を知った日から10日以内に、内閣総理大臣消費者庁)に報告しなければならない。

 

電気用品安全法は、㋐一般家庭、商店、事務所等で使用される電気製品のうち、政令で定める「電気用品」を対象とし、「電気用品」による㋑危険及び障害の発生を防止することを目的とする。「電気用品」のうち、特に危険又は障害が発生するおそれが多いものとして政令で定めるものを㋒「特定電気用品」という。

【解答】 〇

  • 長期使用製品安全表示制度対象製品5品目(扇風機、エアコン、換気扇、洗濯機、ブラウン管テレビ)
  • 特定電気用品 116品目
  • 特定電気用品以外の電気用品 341品目