消費生活相談員資格試験 過去問解説

消費生活相談員資格試験対策としては過去問を多く解くことが近道です。しかし、過去問の回答の解説がなかなか市販されていないため、独自で作成

消費生活相談員資格試験 30年度 18問

平成30年度 消費生活相談員資格試験 18問

18. 次の各文章が、正しければ〇、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

① 2016(平成 28)年 10 月、「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律」(消費者裁判手続特例法)が施行された。同法に基づき、㋐二段階型の訴訟制度により、集団的に発生している消費者被害について、㋑特定適格消費者団体が消費者に代わって㋒慰謝料や人身損害を含む損害賠償に関する訴訟を提起することができる

【解答】 ✖ ウ ➡ 慰謝料は請求できない

  • 二段階の訴訟制度:「共通義務確認訴訟(一段階)」とは、特定適格消費者団体が原告となり訴訟を提起し、多数消費者と事業者の間の共通義務存否確認について、裁判所が判断する手続き。
  • 上記で裁判所が共通義務の存在が認めたら、対象債権の確定手続き(二段階)に進む。被害を受けた個々の消費者が手続きに加入し、債権の有無や金額を確定し、分配に至る。
  • 特定適格消費者団体とは、消費者の利益を適切に代表しているとして内閣総理大臣が認定した消費者団体だが、差し止め請求をすることが認められている適格消費者団体の中から、さらに厳しい要件で認定された消費者団体。 
  • 履行請求、返還請求、損害賠償が対象となり、慰謝料は対象外。 

 

民事訴訟手続は、㋐判決又は和解による紛争の解決を図る手続である。簡易裁判所における民事訴訟は、目的物の価額が㋑60 万円以下の事件を対象としており、当事者は、㋒裁判所の許可を得ることにより、弁護士でない者を訴訟代理人とすることができる。

【解答】 ✖  イ ➡ 140万円以下

  • 訴額(訴訟の目的の価格、請求額)140万円以下について、簡易裁判所で通常訴訟を行うことができる。口頭による提訴が認められているなど、簡略化されている。
  • 地方裁判所では弁護士以外の人を代理人に選ぶことはできないが、簡易裁判所では、裁判所の許可を受けた者及び認定司法書士代理人となることができる。
  • 少額訴訟:訴額60万円以下の金銭支払い請求の訴え。原則、1回の口頭弁論期日で審理を終了し、すぐに判決が出る。少額訴訟の判決に不服があれば、判決から2週間以内に異議申し立てができ、同じ簡易裁判所での通常訴訟に移行する。貸金業者信販会社の乱用を避けるため、同一裁判所に1年に10回までと制限されている。 

 

③ 日本司法支援センター(法テラス)は、㋐総合法律支援法に基づいて設立された法人であり、業務の一つとして、裁判等の紛争解決制度をより利用しやすくするため、民事法律扶助業務を実施している。具体的には、㋑無料で紛争解決のためのあっせんや調停を行う苦情処理援助㋒弁護士・司法書士の費用の立替えを行う代理援助・書類作成援助を行っている。

【解答】 ✖ イ ➡法テラスでは情報提供は行うが、紛争解決のためのあっせんや調停を行う苦情処理援助業務は行っていない

 

内閣総理大臣は、事業者による広告表示が景品表示法㋐優良誤認表示に該当するか否かを判断するために必要があると認めるときは、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を当該事業者に求めることができる。当該事業者が当該資料を提出しないときは、内閣総理大臣は、㋑同法上の不当表示とみなし、措置命令を行うことができる。このような規制は、一般に、不実証広告規制と呼ばれ、特定商取引法に基づく㋒不実告知や誇大広告等に該当するか否かを判断するため必要がある場合にも採用されている。

【解答】 〇  

  • 消費者庁は優良誤認表示か否かを判断するため必要があると認める時は、事業者に対し、期間を定めて表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。資料を提出できない時、合理的と認められない時は不当表示とみなす。
  • 特商法の不実告知、誇大広告についても、合理的な根拠を示す資料の提出(特商法6条の2)を求め、提出しない時は、不実告知があったものとみなす。 

 

内閣総理大臣は、景品表示法に違反する優良誤認表示又は有利誤認表示を行った事業者に対し、㋐その行為の差止め又はその行為が再び行われることを防止するために必要な措置を命ずることができる。また、当該事業者に対し、原則として、㋑課徴金の納付を命じなければならない景品表示法に違反する景品類の提供を行った事業者に対して、㋒課徴金の納付を命ずることはできない

【解答】 〇

  • 内閣総理大臣は、景品表示法に違反が認められれば、措置命令による違反行為の差し止め、消費者への違反事実の周知徹底、再発防止を命じることができる。
  • 課徴金納付命令:対象行為は優良有利誤認表示であり、景品については対象外。対象商品の売上額の3%(最高3年間分)、違反行為を自主的に申告した場合は2分の1.課徴金額が150万円未満は賦課しない。  

 

⑥ 製造業者が表示・包装した商品を小売業者が仕入れて一般消費者に販売する場合において、商品の表示に景品表示法上の不当表示があったときは、表示規制の対象は㋐製造業者である。小売業者が自己の判断に基づいて作成したチラシが不当表示となった場合、㋑小売業者は規制対象となる。不当な表示であることについて、当該小売業者に㋒故意又は過失があることは要しない

【解答】 〇 問題文のとおり

 

個人情報保護法によれば、「個人情報取扱事業者」は、一定の場合に本人の同意を得ることなく個人データ(「要配慮個人情報」を除く)を第三者に提供できる。例えば、本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止することとしている場合であって、第三者への提供を利用目的とすること等を、あらかじめ、㋐本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置くとともに、個人情報保護委員会へ届け出た場合である。

【解答】 〇

  • 「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、障害、犯罪経歴等により、偏見その他不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するとした情報。
  • 個人データの第三者への提供は、本人の同意を取ることが原則(オプトイン)だが、例外がある(オプトアウト)
  • 本人から第三者提供を停止するよう求められたら停止することを条件に、本人の同意なくして、あらかじめ本人に通知するか、本人が用意し知り得る状態にしておき、個人情報保護委員会に届け出して入れば第三者提供ができる。

 

個人情報保護法によれば、「個人情報取扱事業者」は、㋐偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない。また、㋑法令に基づく場合や、人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって本人の同意を得ることが困難なとき等を除き、あらかじめ本人の同意を得ないで、㋒要配慮個人情報を取得してはならない。

【解答】 〇  

  • 個人情報取扱事業者は、偽りや不正な手段で個人情報を取得してはならない。
  • また、本文の同意を得ないで、用配慮個人情報を取得してもならない。