消費生活相談員資格試験 過去問解説

消費生活相談員資格試験対策としては過去問を多く解くことが近道です。しかし、過去問の回答の解説がなかなか市販されていないため、独自で作成

消費生活相談員資格試験 30年度 20問

平成30年度 消費生活相談員資格試験 20問

20. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

金融商品取引法第 39 条では、有価証券の売買その他の取引又はデリバティブ取引につき顧客に生じた損失を、事業者(金融商品取引業者)が補てんすることを禁じている。ただし、その損失が同条に規定される「事故」によって生じたものであって、あらかじめ㋐補てんに係る損失が「事故」に起因するものであることにつき内閣総理大臣の確認を受けている場合㋑裁判所の確定判決を得ている場合、又は消費生活センターのあっせんによる和解が成立している場合等には、顧客に生じた損失を補てんすることができる。

【解答】 〇

  • 金融商品取引法では、金融商品取引業者が顧客に与えた損失を補填することは禁止されているが、例外がある。
  • 金融商品取引業者の違法、不当な行為が原因で顧客に損失を及ぼしてしまった場合(未確認売買、誤認勧誘、事務処理ミス、システム障害など
  • 顧客に損失補填する場合は、あらかじめ内閣総理大臣金融庁)に対し、事故の事実を証する必要書類を提出し、事故の確認を受ける必要がある。
  • 裁判所の確定判決、裁判上の和解が成立している場合、金融商品取引業協会・消費生活センターあっせんによる和解が成立している場合は、内閣総理大臣の確認がなくても損失補填が可能。

 

金融商品取引法上の「金融商品取引業」は、㋐内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ行うことができない(適格機関投資家等特例業務を除く)。無登録業者には、㋑懲役・罰金の刑事罰が科される。無登録業者が行った未公開株や社債の売買契約を無効とする㋒民事効の規定はない

【解答】 ✖ ウ ➡ 違反だが契約そのものは有効であり、取り消し規定がない。

  • 詐欺による民法上の取り消し、不実告知などの消費者契約法上の取り消しを検討するほかない。

  

商品先物取引法には、委託者等の保護のために、㋐無条件で一定の期間内は契約の申込みの撤回又は契約の解除ができる制度㋑契約の締結の勧誘の要請をしていない顧客に対する訪問又は電話による勧誘の原則禁止㋒顧客の知識、経験、財産の状況等に照らして不適当と認められる勧誘の規制(適合性の原則)等の規定が設けられている。

【解答】 ✖ ア ➡ クーリングオフのような制度はない。

  • しかし、無許可業者の場合商品先物取引法が適用にならないため、訪問販売、電話勧誘販売による勧誘の場合、特商法上のクーリングオフの適用が考えられる。
  • イ原則不招請勧誘は禁止されているが、ハイリスク取引の経験者(65歳未満、年金生活者ではない、年収800万円以上、金融資産2千万円いじょう)への勧誘は認められている

 

金融商品の販売勧誘に際し、金融商品販売業者に説明義務違反、断定的判断の提供等が認められる場合には、金融商品販売法に基づく損害賠償請求が可能である。保険の販売勧誘については、㋑変額保険等の特定保険を除き、金融商品販売法の適用はない商品先物取引の販売勧誘については金融商品販売法の適用はないが、商品先物取引法において同法の一部が準用されている

【解答】 ✖ イ ➡ 保険も金融商品販売法の対象

 

⑤ 情報通信技術(IT)の進展等の環境変化に対応するため、2016(平成 28)年、2017(平成 29)年と続けて銀行法が改正され、それに伴い施行令・施行規則も改正された。2016(平成 28)年の施行規則改正により、一定の条件のもとで金融機関が預金の出金事務等を外部委託できる範囲が広がり、デビットカード等を活用して㋑小売店のレジ等で銀行口座から現金を引き出せるいわゆるキャッシュアウトサービスも新たに認められた。2017(平成 29)年の法改正では、㋒「電子決済等代行業者」を定義し、届出制を導入した。

【解答】 ✖ ウ ➡ 電子決済等決裁業者は財務局への登録が必要

  • 電子決済等代行業とは、ITを活用し、複数の振込先への銀行振り込みの依頼をワンクリックで行うことができるサービス預金口座の残高や利用履歴情報を銀行から取得・集計し、自動的に家計簿を作成することができる事業者。
  • 財務局の登録を受けた業者のみが、国内で同業を行うことができる。
  • 決済代行、収納代行サービスの提供方法として、例えば、インターネットを利用し、振込先や振込金額といった情報を銀行に伝達するといった方法を用いているのであれば、電子決済等代行業者としての登録が必要となる。

 

⑥ 保険会社は、保険契約者又は被保険者に、故意又は重過失による告知義務違反があった場合であっても、㋐保険会社が告知義務違反の事実を知り、又は過失によって知らなかった場合告知義務違反を知った時から6ヵ月間解除権を行使しなかった場合、保険契約を解除することができない。告知義務違反の対象となった事実と保険事故との間に因果関係が認められない場合、㋒保険金は支払われる。

【解答】 ✖ イ ➡ 2年以内であれば保険会社は契約を解除できる

  • 消費者の告知義務違反による契約解除:保険契約者・被保険者が告知事項において、故意または重大な過失による事実を告知しない、又は不実の告知をした場合、責任開始日から2年以内であれば保険会社は契約を解除できる
  • 保険会社側に、告知妨害や不告知・不実告知の教唆があった場合は、保険契約を解除することはできない

 

保険業法は、保険会社等に対し、㋐保険契約者等が保険契約の締結・加入の適否を判断するのに必要な情報(契約概要・注意喚起情報・その他参考となるべき情報)を提供することを求めている。また、顧客意向の把握、㋑当該意向に沿った保険プランの提案とその説明㋒顧客の意向と提案した保険プランの内容が合致しているかについて顧客が確認する機会を提供することを求めてい
る。

【解答】 〇

  • 保険契約にあたって交付する書面:パンフレット(商品の仕組みや特徴)、保険設計書(消費者の個人情報で作成)、契約概要(商品の内容を理解するため必要な情報をまとめたもの)、注意喚起情報(転換の場合の充康事項説明書面を含む)、契約締結前交付書面(投資性の強い年金、保険について契約概要と注意喚起概要)、約款、意向確認書面(商品が消費者のニーズと合致していることを確認する書面)

 

⑧ 債券の価格は、市場の金利が上がると、通常㋐値上がりする。債券の信用リスクを判断するための指標の一つとして「格付け」があり、一般的に「格付け」が低い債券ほど、債券の利回りは㋑高くなる。債券は、債券の発行体の資金繰り悪化や破たん等により債務不履行が生じた場合を除き、多くは満期時に㋒額面金額で償還される。

【解答】 ✖ ア ➡ 値下がりする

  • 債権は金利と価格が逆の動きをする金利が下がると、買い手が少なくなるので、価格が上昇し、金利が上がると、買い手が増えるので、価格が下落する。
  • 格付けが低いとリスクがあり、人気がなくなるので、金利は上昇する。

 

金融商品に関して、㋐売りたいときに換金又は売却ができない可能性流動性リスクと言う。例えば、未上場株式は、上場株式に比べるとこのリスクが㋑高い社債は、上場株式に比べるとこのリスクが㋒低い

【解答】 ✖ ウ ➡ 上場企業の株式の方がリスクは低い

 

⑩ 個人賠償責任保険は、日常生活において他人に怪我をさせたり、他人の物を壊したりして法律上の損害賠償責任を負った場合に、㋐被害者に対する損害賠償金や弁護士費用等を補償する保険である。個人賠償責任保険の被保険者には、契約者と生計を共にする同居の親族が㋑含まれる。過失による損害は、個人賠償責任保険の補償の㋒対象とならない

【解答】 ✖ ウ ➡ 過失による損害賠償をカバーする保険なので当然対象となる。

  • 個人賠償責任保険とは、個人の日常の生活や住宅の使用・管理等に起因して第三者の身体や財物に損害を与え、賠償責任を負担した場合、包括的にカバーしてくれる保険なので、過失の有無は問わない
  • 被保険者本人だけでなく、その同居の家族も含めて幅広い賠償事故を担保する総合的な補償内容。
  • 対象外:他人から預かった物や借りた物に対する賠償責任、自動車の運行・管理等に関する賠償責任・業務に関する賠償責任

  

⑪ 「金融 ADR 制度(金融分野における裁判外紛争解決制度)」においては、利用者が金融 ADR 機関に紛争解決の申立てをした場合、金融機関は、利用者からの紛争解決の申立てに㋐応じなければならない。金融機関は、金融 ADR 機関によって提示された和解案を、㋑原則受け入れなければならない。金融 ADR機関は、㋒銀行、証券、保険等の業態ごとに設立されている。

【解答】 〇 

  • 利用者が金融ADR機関に紛争解決を申し立てをした場合、金融機関は申し立てに応じなければならないことになっている。
  • 金融機関は、金融ADR機関によって提示された和解案を尊重しなければならない。なお、特別調停案が提示されたときは、金融機関は、原則応じる義務がある。

  

⑫ 生命保険の保険料は、契約時の㋐予定死亡率、予定利率、予定事業費率の3つの予定率に基づいて算定される。これらの予定率は㋑保険の種類によって異なる。生命保険は、契約する年齢が高くなると、より若い時期に契約する場合と比べて保険料は高くなる。予定利率が引き下げられると、以降契約する保険の保険料は㋒安くなる

【解答】 ✖ ウ ➡ 高くなる 

  • 死亡保険や満期金に充てられる「純保険金」と、保険会社の事業費に充てられる「付加保険料」から構成される。
  • 予定死亡率、予定利率(保険料を運用で見込める運用利率)予定事業費率(経費を保険料の中に組み込む割合)をもとに保険料が計算される。
  • 予定利率が引き下げられると、保険会社の運用成績が悪くなるため、保険料が引き上げられる。