消費生活相談員資格試験 過去問解説

消費生活相談員資格試験対策としては過去問を多く解くことが近道です。しかし、過去問の回答の解説がなかなか市販されていないため、独自で作成

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 9問

消費生活相談員資格試験  2019年度(1回目) 9問

9. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

製造物責任法における「欠陥」とは、当該製造物が㋐通常有すべき安全性を欠いていることをいう。同法では「欠陥」の考慮事情として、当該製造物の特性、㋑その通常予見される使用形態㋒その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期等を明記している。

【解答】 〇 PL法2条 欠陥の定義

  • 「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。
  • 「欠陥」を「通常有すべき安全性を欠いていること」と定義することで、絶対的な安全性を要求していることを明確化した
  • 欠陥の判断基準となり時点は、当該製造物を引き渡した時期である。

 

 ② 製造物の欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、当該製造物の製造業者等は製造物責任法に基づき損害賠償責任を負う。ただし、㋐その損害が当該製造物についてのみ生じたときは製造物責任法は適用されない。また、製造物責任法で賠償される損害には、㋑当該被害者の精神的損害㋒事業上の損害を含む。

【解答】 〇 

  • 製造物責任は、製品の引き渡し、欠陥の存在、生命・身体・財産の侵害、損害の発生が条件なので、製品自体に問題・欠陥があるだけではPL法の対象外
  • 生命・身体の損害を通して、精神的損害が生じた場合は賠償できる。しかし、精神的損害賠償のみ=慰謝料のみの賠償はできない。

  

③ 医薬品による健康被害に対しては、㋐医薬品副作用被害救済制度㋑生物由来製品感染等被害救済制度C型肝炎救済特別措置法による給付金等の救済制度が設けられている。

【解答】 〇 

  • 医薬品副作用被害救済制度は、医薬品等を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による健康被害を受けた方に対して、医療費等の給付を行う制度。医薬品医療機器総合機構給付の請求し、その健康被害が医薬品等の副作用によるものかどうか、医薬品等が適正に使用されたかどうか等の医学・薬学的な判定の申し出を厚生労働大臣に行い、薬事・食品衛生審議会に意見を聴いて判定することとされている。
  • 生物由来製品を適正に使用したにもかかわらず発生した感染等により、迅速な救済を図ることを目的とした公的な制度。生物由来製品とは「 遺伝子組換製剤」「豚心臓弁等」「人血液製剤

  • 特定の血液製剤の投与を受けたことによって、C型肝炎ウイルスに感染された方又は相続人に対し、症状に応じて給付金を支給。給付を受けようとする者は、給付対象者であることを裁判手続の中で確認の上、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に請求を行う。 裁判所への「訴えの提起」等は、2023年(平成35年)1月15日(法施行後15年)まで

 

④ 消費生活用製品安全法上の「製品事故」が生じた場合、「重大製品事故」に該当するときは、㋐当該製品の製造又は輸入の事業を行う者は同法に基づき、内閣総理大臣に事故情報の報告義務を負う。当該製品の小売販売、修理又は設置工事の事業を行う者は、「重大製品事故」が発生したことを知ったときは、㋑当該製品の製造又は輸入の事業を行う者に通知するよう努めなければならない。携帯電話機の発熱により消費者が全治2週間の熱傷を負った場合、㋒「重大製品事故」に該当する。

【解答】 ✖ ウ ➡ 重大製品事故は治療用する期間が30日以上

  • 製造事業者・輸入事業者は、その製造等に係る製品の重大製品事故を知った場合、消費者庁へ10日以内(知った日を含め)に迅速かつ的確に報告
  • 重大製品事故とは、死亡事故 ・後遺障害事故、治療を要する期間が30日間以上の事故、火災(消防が火災と認定したもの )、一酸化炭素中毒事故(軽症を含む)

 

⑤ 消費生活用製品安全法の対象は、主として一般消費者の生活の用に供される製品である。電気用品安全法に基づく「電気用品」は、消費生活用製品安全法の㋐対象ではない。消防法に規定された消火器具等は、消費生活用製品安全法の㋑対象ではない医薬品医療機器等法に規定された化粧品は、消費生活用製品安全法の㋒対象ではない

【解答】 ✖ ア  

  • 消費生活用製品とは、 電気用品やガス器具等を含めて、私たちの身の回りにある、ありとあらゆる製品

  • 適用除外:船舶、食品・添加物洗浄剤、消防法(消火器具等)、道路運送車両、医薬品、医薬部外品、化粧品医療機器

 

⑥ 消費生活用製品安全法における「特定保守製品」の製造事業者は、製造する「特定保守製品」について㋐設計標準使用期間及び点検期間を設定しなければならず、「特定保守製品」を販売するときは㋑製品に所有者票を添付しなければならないと定められている。また、「特定保守製品」の製造事業者には、所有者名簿に登録された所有者に対して、㋒点検期間が開始する6ヵ月前から点検期間開始日までの間に、点検通知を発することが義務づけられている。

【解答】 〇 

  • 「特定保守製品」9品目 屋内式ガス瞬間湯沸器(都市ガス用)、屋内式ガス瞬間湯沸器(プロパンガス用)、屋内式ガスバーナー付ふろがま(都市ガス用)、屋内式ガスバーナー付ふろがま(プロパンガス用)、石油給湯器、石油ふろがま(石油風呂釜)、FF式石油温風暖房機、ビルトイン式電気食器洗機、浴室用電気乾燥機
  • 消費者はユーザー登録のための「所有者票」の「お客様記入欄」に所定の事項を記入し郵送などにより登録を行わなければならない
  • 特定保守製品は、安全に使う目安となる設計上の「標準使用期間」を設けており。所有者登録をすると、設計標準使用期間が終わるころに点検通知が届く。

 

電気用品安全法に定める「電気用品」は、原則として㋐PSC マークを付さなければ販売することができない。マーク表示がない危険な「電気用品」が流通し、当該危険又は障害の拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、経済産業大臣は、その「電気用品」の製造又は輸入の事業を行う者に回収等を命じることができる。「電気用品」のうち、特に危険又は障害の発生するおそれが多いものとして政令で定めるものを㋒「特定電気用品」という。

【解答】 ✖ ア ➡ PSCマークは消費生活用製品。電気用品にPSEマーク

  • 「特定電気用品」構造又は使用方法その他の使用状況からみて特に危険又は障害の発生するおそれが多い電気用品(116品)

  •  「特定電気用品以外の電気用品」(341品目)

 

⑧ 自動車のリコールとは、自動車の設計、製造の過程に問題があったために、道路運送車両法の保安基準に㋐適合しなくなるおそれがある状態又は適合していない状態にある場合に、自動車メーカーが自らの判断で回収、修理することをいう。自動車メーカーは、㋑リコール完了後国土交通大臣に届け出ることが義務づけられている。メーカーが自主的にリコールを行わない場合には、国土交通大臣は、保安基準に適合させるために㋒必要な改善措置を勧告することができる

【解答】 ✖ イ ➡ 国土交通大臣に事前届出を行った上で回収・修理を行う

  • 自動車リコール制度とは、設計・製造過程に問題があったために、自動車メーカーが自らの判断により国土交通大臣に事前届出を行った上で回収・修理を行い、事故・トラブルを未然に防止する制度
  • 国土交通省の役割は、不具合情報の収集・分析、メーカーのリコールへの取組状況の調査、取組状況が不適切であれば指導又は監査等、メーカーが自主的にリコールを行わず、かつ、事故が頻発している場合には勧告・命令

 

⑨ 消費生活用製品安全法上の「特定製品」には、㋐家庭用の圧力なべ及び圧力がま、乗車用ヘルメット等が指定されている。同法第6条の届出を行った「特定製品」の製造又は輸入の事業を行う者は、原則として、同法で規定された技術基準適合義務を負う。「特定製品」のうち、その製造又は輸入の事業を行う者のうちに、一般消費者の生命又は身体に対する危害の発生を防止するために必要な品質の確保が十分でない者がいると認められる製品は、㋒「特別特定製品」として政令で定められている。

【解答】 〇 

  • 消費生活用製品の中で、消費者の生命・身体に対して特に危害を及ぼすおそれが多い製品については、国の定めた技術上の基準に適合した旨のPSCマークがないと販売できない。
  • 特定製品:登山用ロープ、家庭用の圧力なべ及び圧力がま、乗車用ヘルメット、石油給湯機、石油ストーブ
  • 特別特定製品:乳幼児用ベッド、携帯用レーザー応用装置、浴槽用温水循環器、ライター