消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 20問
消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 20問
20. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。
① ㋐国債や地方債等の有価証券や、㋑集団投資スキーム持分等のみなし有価証券の売買等の取引は、金融商品取引法の規制対象となる。外国為替証拠金取引(FX)や株価指数先物取引等のデリバティブ取引は、同法の㋒規制対象とならない。 |
【解答】 ✖ ウ ➡ デリバティブ取引も金融商取引法の対象
- 集団投資スキーム(ファンド)の持分を有価証券とみなして規制対象にした。集団投資スキームとは他者から金銭等の出資(拠出)を受け、 集めた出資金を用いて事業を行い、その事業から生じる収益等を出資者等に分配する、仕組み
- いわゆるデリバティブ取引についても、規制対象範囲を拡大(通貨・金利スワップ取引や天候デリバティブ取引も対象)
② 保険法は、生命保険・損害保険等について、保険契約に関する㋐民事ルールを定めた法律である。保険契約については、㋑消費者契約法、㋒民法の適用がある。 |
【解答】 〇
- 保険法は、保険契約に関する一般的なルールを定めた法律。保険契約の締結から終了までの間における、保険契約における関係者の権利義務等が定められている。
- 保険法の規定よりも保険契約者に不利な内容の約款の定めは無効。
③ 金融商品販売法では、金融商品販売業者に重要事項についての説明義務違反、断定的判断の提供等があった場合に、金融商品販売業者に対する㋐損害賠償請求権、㋑契約の取消権が定められている。㋒クーリング・オフは定められていない。 |
【解答】 ✖ イ ➡ 金融商品販売法には取消権、クーリングオフ規定はない
-
契約内容(重要事項等)について記載した書面の交付を義務づけ
-
重要な事項について販売業者に説明義務を課し、また、販売業者に断定的判断の提供等を禁止し、その違反により損害を被った場合、販売業者に損害賠償請求ができる。立証責任は消費者側
④ 2017(平成 29)年6月に改正された銀行法では、電子送金サービスや口座管理サービスを行う「電子決済等代行業者」を定義し、㋐登録制を導入した。「電子決済等代行業者」に対しては、利用者に対する説明義務、㋑利用者のため誠実に業務を遂行する義務、㋒銀行との契約締結義務を課している。 |
【解答】 〇
-
「電子決済等代行業者」とは、複数の振込先への銀行振込の依頼をワンクリックで行うことができるサービス、預金口座の残高や利用履歴等の情報を銀行から取得・集計し、自動的に家計簿を作成するサービス
- 規制:登録制の導入、利用者への適切な情報提供、銀行との契約締結義務
⑤ 資金決済法において、商品券やプリペイドカード等の前払式支払手段発行者は、原則としてその保有者への払戻しが㋐禁止されている。㋑前払式支払手段発行者が業務を廃止した場合、または㋒第三者型発行者が登録を取り消された場合、発行者には、当該前払式支払手段の残高として同法施行令で定める額の払戻しが義務づけられている。 |
【解答】 〇
-
商品券やプリカなどの前払式支払手段は、原則として払戻しが認められていない。少額である場合、利用者のやむを得ない事情から利用が困難になった場合は、例外としての払戻しが認められている。
-
発行・利用が廃止されたり、第三者型発行者が登録を取り消されたときは、未使用分の払戻しを受けることができる。手続きにしたがって60日以上の一定期間内に利用者から申し出る必要がある
-
発行者が破産した場合、還付の手続きにしたがって60日以上の一定の期間内に申出をすることにより優先的に弁済(配当)を受けることができる。ただし、未使用分全額が戻ってこない場合もある。
⑥ 保険会社は、保険募集に際して、㋐消費者の意向を把握し、これに沿った保険契約の締結等の提案や、㋑当該保険契約の内容の説明をする保険業法上の義務を負う。消費者の意向と当該保険契約の内容が合致していることを消費者が確認する機会の提供は、保険業法上㋒努力義務とされている。 |
【解答】 ✖ ウ ➡ 意向把握は義務
⑦ 利息制限法に定める㋐上限金利を超える部分については、民事上無効である。業として金銭の貸付けを行う場合において、㋑年 29.2%を超える割合による利息の契約、受領、要求をした場合の処罰について定めた法律は出資法である。個人間の金銭の貸付けであっても、㋒年 109.5%(うるう年は 109.8%)を超える割合による利息の契約、受領、要求も処罰の対象となる。 |
【解答】 ✖ イ ➡ 15~20%となった
-
元本の金額が10万円未満のときの → 年20%
-
元本の金額が10万円以上から100万円未満のとき → 年18%
-
元本の金額が100万円以上のときの上限金利 → 年15%
⑧ 金融商品取引法第 40 条第1号は、いわゆる「適合性の原則」について定めており、金融商品取引業者は、㋐顧客の知識、経験、財産の状況及び㋑金融商品取引契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行って投資者の保護に欠けることがないように業務を行わなければならないと定めている。最高裁判所の判例では、株価指数オプションの売り取引の事案において、㋒この原則を著しく逸脱したときは、民法上の不法行為に基づく損害賠償請求ができる場合があるとしている。 |
【解答】 〇
- 金融商品取引業者等は、業務の運営の状況が、次に該当することのないように、業務を行わなければならない。金融商品取引行為について、顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして、不適当と認められる勧誘を行って投資者保護に欠け、又は欠けるおそれがあること
- 【適合性の原則に違反した場合】 行政法 ⇒ 行政処分(金融商品取引法第52条第1項第6号) 民事法 ⇒ 損害賠償請求(金融商品販売法第5条等)
- 【判例】適合性の原則から著しく逸脱した証券取引の勧誘をしてこれを行わせたときは、当該行為は不法行為法上も違法となる。 顧客の適合性を判断するに当たっては、一般的抽象的なリスクのみを考慮するのではなく、具体的な商品特性を踏まえて、これとの相関関係において、顧客の投資経験、証券取引の知識、投資意向、財産状態等の諸要素を総合的に考慮する必要がある。
⑨ デリバティブ取引のうち、特定の期日(又は一定の期間内)にあらかじめ定めた価格によって原資産を買い取る(又は売り渡す)ことができる権利を売買する取引のことを、㋐オプション取引という。取り引きされる権利の価格は、一般的に、原資産の価格変動性(ボラティリティ)が大きいほど㋑高くなる。また、権利行使期限が近づくと、権利の価格は㋒上昇する。 |
【解答】 ✖ ウ ➡ オプション終了時間まで時間が短ければ価格は低下する。
- オプションとは、自分の都合に合わせて使うか使わないか決められる選択権のこと。デリバティブのオプションも同じように、選択権。ある金融商品をあらかじめ決めておいた価格で売買するかしないかを選べる権利。売買で得をするときだけ権利を行使し、損をするようなときは権利を放棄すればよい。
-
価格変動によってオプションの価値が高まるかもしれないという期待感の値段を上げる。そのため、オプション終了時刻までの時間が長ければ長い程、時間価値は高くなり価格は高くなり、反対に、短ければ短い程低くなり価格は低下する。
⑩ 社債発行企業の経営悪化等により債券の利息の支払いや元本の償還が滞ったり、支払い不能が生じたりする可能性のことを、㋐信用リスクという。格付けは、格付会社が社債発行企業について債務の支払能力等を評価したものであり、一般に、格付けが㋑BBB もしくは Baa 以上のものが投資適格債券と呼ばれる。他の条件が同じであれば、格付けの高い債券の方が低い債券よりも利回りは㋒低いとされる。 |
【解答】 〇
- 投資適格債券とはBBB格以上に格付けされた債券のこと。それよりさらに、低い格付けのものを「投機的格付債」または「ハイ・イールド債」と呼ぶ。格付けの低い社債はリスクが高いので利回りは高くなる。(格付けの高い、リスクの低い社債は利回りは低い)
⑪ 外貨建て生命保険は、外貨で保険料を払い込み、外貨で保険金や解約返戻金等を受け取る商品であり、㋐為替変動リスクがある。外貨で受け取った保険金等を日本円に換算した場合、その保険金等の金額が、円ベースでの払込保険料総額を㋑下回る可能性がある。また、通常、外貨から円に両替する際に、㋒為替手数料が発生する。 |
【解答】 〇
- 為替相場変動のリスクとは、外国為替市場によって時々刻々変動するため、外貨建ての金融商品には、為替変動によって予期せぬ損益が生じる場合がある。
- たとえば10,000$の外貨を1$=110円で購入した場合、もし為替相場が同じだった場合は、その価値は110万円のままであるが、1$=120円(円安)になると、10,000$×120=120万円に上昇する。1$=100円(円高)になると、10,000$×100=100万円に下落する。
- 購入時点より「円安」になると利息や償還金の手取り額が増え、購入時点より「円高」になると利息や償還金の手取り額が減る
- 償還金や利息を外貨のままで受け取る場合には、この為替の影響は無視することができる。しかし、償還金や利息を「円」で受け取る場合には、為替相場の影響を受ける。
⑫ ラップ口座とは、金融機関と投資家との間で㋐投資一任契約を結び、金融機関が投資家に代わって投資判断や運用(売買)・管理を一括して行う口座(金融サービス)である。そのうち、投資対象が投資信託に限定されているものを㋑ファンドラップという。ラップ口座には、㋒元本保証はない。 |
【解答】 〇
- ラップ口座では、投資一任契約にもとづいて、運用管理を行う口座。
- 投資一任契約とは、運用会社に、投資判断の全部を一任し、この投資判断にもとづいてお客様にかわって投資するために必要な権限を当社に委任する契約
- 「投資信託を中心に投資するラップ口座」は、「ファンド(投資信託)・ラップ」という名称で呼ばれている。
- 投資信託等を主な投資対象として運用を行うため、投資元本は保証されるものではない
⑬ 少額短期保険業とは、保険金額が少額かつ保険期間が短期の保険の引受けのみを行う事業であり、少額短期保険業者は、内閣総理大臣の㋐免許が必要である。少額短期保険には、クーリング・オフ制度が㋑適用される場合がある。また、少額短期保険業者が破たんした場合は、保険契約者保護機構の制度による㋒補償を受けることはできない。 |
【解答】 ✖ ア ➡ 免許制ではなく登録制