消費生活相談員資格試験 過去問解説

消費生活相談員資格試験対策としては過去問を多く解くことが近道です。しかし、過去問の回答の解説がなかなか市販されていないため、独自で作成

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 15問

消費生活相談員資格試験  2019年度(1回目) 15問

15. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 ※以下は、特定商取引法に関する問題である。

① 化粧品の訪問販売を行うA社が特定商取引法違反で業務停止命令を受けたとき、その会社の役員は、当該停止期間と同一の期間、㋐停止命令の範囲の業務を営む会社を新たに設立することについて、禁止を命じられる場合がある。当該役員は、停止命令の範囲の業務を営む既存のB社の役員になることについて、㋑禁止を命じられる場合がある。主務大臣は、業務の停止・禁止を命じた場合、その旨を㋒公表することが義務づけられている。 

【解答】 〇 特商法8条の2

  • 当該法人の役員若しくは使用人又は当該命令以前 60 日以内にこれらの立場にあった者であって、かつ、停止を命じられた業務に主導的な役割を果たしている者に対し、業務停止命令と同一の期間において当該命令の範囲の業務を新たに開始すること及び当該業務を営む法人の担当する役員となることの禁止を命令できる。
  • 主務大臣が業務停止命令をしたときは、その旨の公表を義務付ける。

  

電話勧誘販売において、販売業者からの執拗な勧誘に対し、相手方が応答せずにそのまま電話を切ることを何度も繰り返した場合、㋐契約を締結しない旨の意思表示とはならない。また、「その商品はいりません」と断った者に対して、販売業者が当該商品以外の商品の勧誘をすることは㋑禁止されていない。「今は忙しいので後日にしてほしい」と断った者に対して、後日勧誘することは㋒禁止されていない。

【解答】 ✖ ア 特商法17条 何度も応答しない行為も契約しない意思表示とみなす。

  • 加えて、電話勧誘販売においては、電話の「覆面性」や「容易性」から執拗な勧誘を容易に行い得る特性からして、応答せずにそのまま電話を切ることが繰り返されるなど黙示的に契約を締結しない旨の意思を表示したと考えられる。

 

③ 通信販売の広告の方法には、インターネット上のホームページ、㋐電子メール、SNS 等に表示される広告を含む。ホームページに、「初回お試し価格」と称して安価で商品を販売する旨が表示されているが、当該価格で商品を購入するためには、その後通常価格で定期購入をしなければならない場合は、商品の売買契約を㋑2回以上継続して締結する必要がある旨等を表示しなければならない。1回の契約で複数回の商品の引渡しや代金の支払いを約する場合は、㋒買い手が支払うこととなる代金の総額等の条件をすべて正確に記載しなければならない。

【解答】 〇

  • 新聞、雑誌等に掲載される広告のみならず、カタログ等のダイレクトメール、テレビ放映、折込みちらし、インターネット上のホームページ(インターネット・オークションサイトを含む。以下同じ。)、電子メール、SNS等において表示される広告も含まれる。
  • 記載事項に商品の売買契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び金額、契約期間その他の販売条件
  • 1回の契約で複数回の商品の引渡しや代金の支払を約することとなる場合は、買い手が支払うこととなる代金の総額等の条件を全て正確に記載しなければならない

 

④ A社から、A社が主催するパソコンスキルアップ講座を受けて技能を習得し、データ入力の在宅ワークを行えば収入が得られると言われ、講座の勧誘をされた。そのデータ入力の業務が、㋐A社が提供するものか、A社があっせんしているものであり、講座受講料の支払い等の㋑A社に対する特定負担が伴えば業務提供誘引販売取引の規定が適用される。在宅ワークを始めた後、提供される業務に関して課される業務量のノルマは、特定負担に㋒含まれる。

【解答】 ✖ ウ ➡

  • 業務提供誘引販売は、 有償で行う役務の提供(そのあっせんを含む。)の事業であって、その提供される役務を利用する業務に従事することにより得られる利益を収受し得ることをもって相手方を誘引し、その者と特定負担(その役務の対価の支払い又は取引料の提供)を伴うもの
  • 業務量のノルマや提供される業務を行うために必要な研修への参加行為であって金銭的な負担ではないものは、特定負担には該当しない
  • 利用する商品の購入代金や研修等の役務の対価の支払代金、登録料、入会金、保証金等があれば、それらの費用は「取引料」であり、特定負担に該当する

 

⑤ 訪問購入において、購入業者が代金を支払った場合でも、相手方は、クーリング・オフ期間内は、物品を購入業者に引き渡すことを拒むことができる。訪問購入の規制は、政令で適用除外とされている物品には適用されない。例えば、自動二輪車㋒書籍には適用されない。

【解答】 ✖ イ 

  • 58条の15:一度物品を購入業者に引き渡してしまうと、第三者への転売等により、物品を元々所有していた訪問購入に係る売買契約の相手方がクーリング・オフをしても、引き渡した物品そのものが返却されないおそれが高くなり、クーリング・オフを認めた趣旨が没却される可能性がある。
  • そこで、クーリング・オフが認められる期間内は、売買契約の相手方は物品の引渡しを拒むことができるように規定
  • 適用除外:「家庭用電気機械器具」「家具」「自動車(2輪のものを除く。)」「有価証券」「書籍」「CD,DVD等」