消費生活相談員資格試験 過去問解説

消費生活相談員資格試験対策としては過去問を多く解くことが近道です。しかし、過去問の回答の解説がなかなか市販されていないため、独自で作成

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 14問

2019年度(1回目) 消費生活相談員資格試験 14問

14. 次の各文章が、正しければ〇、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 ※以下は、特定商取引法に関する問題である。

① 学生サークルのメンバー間で使用する SNS に、「留学についてのアンケートに答えてほしい」というグループ内メッセージが送信されたので、指定された事務所に行くと、「聞くだけで英会話が上達する」などと言われて、英会話の DVD 教材の購入契約を締結した。この場合、特定商取引法の訪問販売の規定が適用される。

【解答】 〇

  • 指定された事務所へはアンケートに答えるために行ったのであり、勧誘目的の隠匿にも該当する。当然ク・オフ可能。

 

② 訪問販売の事業者が消費者に売買契約の代金を支払わせるために、虚偽の年収や預貯金額を契約書に記載させたり、消費者の意に反して銀行 ATM に連れて行ったりすることは、主務大臣による指示対象行為となり、指示処分がなされたときは必ず公表される。

【解答】 〇 特商法7条(指示等)1項5号 省令で定めるものの一つ 

  • 当該訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約の相手方の年収、預貯金又は借入れの状況その他の支払能力に関する事項について虚偽の申告をさせること。
  •  当該訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約の相手方の意に反して貸金業者の営業所、銀行の支店その他これらに類する場所に連行すること。
  • 個別信用購入あつせん関係受領契約若しくは金銭の借入れに係る契約を締結させ、又は預貯金を引き出させるため、迷惑を覚えさせるような仕方でこれを勧誘すること。

 

電話勧誘販売により契約がなされた場合、販売業者は、購入者に契約書面を交付しなければならない。この書面の交付に代えて、書面記載事項をメールに記載して送付する方法でも書面交付義務を果たしたことになる。

【解答】 ✖ メールによる契約書等交付は書面交付とならない 

  • 特商法は書面と電磁的記録(電子メール等)を別個のものとして書き分けているため、電磁的記録は書面に含まれない。

 

電話勧誘販売業者が、1回の販売行為で、相手方消費者にとって日常生活において通常必要とされる分量を著しく超えた量の商品の販売、いわゆる過量販売を行った場合、消費者がその契約を解除するためには、販売業者が、その販売が過量販売であることを認識している必要がある。

【解答】 ✖ ➡1回の販売行為の場合、事業者の認識は不要。複数回の場合は、事業者が認識していたかが要件となる。

  • 24条の2第1号では、事業者の一回の販売行為等による販売量等が通常必要とされる分量等を著しく超えた契約である場合を定めている。
  • 第2号では、過去の消費者の購入の累積から、通常必要とされる分量等を著しく超える契約になることであることを知りつつ販売等を行う場合を定めている。超えている事情を知りながら販売等を行ったという行為の悪意性が、要件として付加されているものである。

  

⑤ ネガティブ・オプションにおいて、4月1日に商品の送付を受けた消費者が、商品の引取りを請求しない場合は、4月 15 日以降、当該商品を販売業者に返還する必要はない。

【解答】 〇 
  • ネガティブオプションとは、購入の申込みをしていない者に一方的に商品を送り付け、相手方から商品の返送又は購入しない旨の通知がない限り勝手に購入の意思ありとみなしてその代金の請求をすること
  • 商品が送られてきた日から14日間(商品の引き取りを販売業者に請求したときは、その日から7日間)を経過すれば自由に処分できます。

 

⑥ 通信販売により商品を購入した契約者に対して、契約者からの請求も承諾もなくファクシミリ広告を送ることは、禁止されている。ただし、当該契約の内容確認や当該契約の履行に関わる重要事項をファクシミリで通知する場合に、その通信文の一部に付随的に広告を掲載する場合等はその限りではない。

【解答】 〇 
  • 請求や承諾のない電子メール広告を禁止(いわゆる「オプトイン規制」
  • 例えば、通信販売により商品を購入した者にその請求・承諾なしに自動的に電子メール広告を提供する場合は、承諾を取得しているとは解し得ないこととなる。
  • 「契約の成立」「注文確認」「発送通知」など、当該契約の内容確認や当該契約の履行に関わる重要事項を電子メールで通知する場合に、当該電子メールの一部に付随的に広告を掲載する場合のことである 

 

特定継続的役務提供契約を消費者の都合で中途解約した場合、すでに提供された役務の対価等の精算に用いる単価は、契約締結時の単価を上限としなければならない。

   【解答】 〇
  • 特商法49条では、中途解約制度を設けるとともに、中途解約に伴い事業者が請求し得る金額の上限を規定。
  • 中途解約の時点で既に提供済みの役務の対価相当額については事業者が請求可能である。なお、この既提供部分の対価の算出にあたっては、契約締結時の単価を上限とする。
  • 例えば、契約締結時には「キャンペーン特別価格」と称して安い金額で積算しておきながら中途解約時には「通常料金」を用いて精算することはできず、当初のキャンペーン価格を上限とする。

 

特定継続的役務提供契約を締結した際に関連商品を購入した場合、特定継続的役務提供の規定に基づいて当該関連商品をクーリング・オフできるのは、本体の役務提供契約をクーリング・オフした場合に限られる

【解答】 〇

 

⑨ 連鎖販売業における「物品の販売」には、施設を利用し又は役務の提供を受ける権利の販売を含む。

 【解答】 〇

  • 特商法(定義)第 33 条:「連鎖販売業」とは、物品(施設を利用し又は役務の提供を受ける権利を含む。)の販売

 

業務提供誘引販売取引については、特定商取引法上、クーリング・オフ期間の経過後であっても、中途解約により契約を解除することができる旨の規定がある。

 【解答】 ✖ 

  

⑪ 訪問購入において、購入業者は、買い取った物品をクーリング・オフ期間中に転売することが禁止されている。

 【解答】 ✖ 特商法(第三者への物品の引渡しについての相手方に対する通知)第 58 条の 11

  • 購入業者がクーリング・オフ期間内に第三者に物品を引き渡す場合は、売買契約の相手方に対し、三者への引渡しに関する情報を通知することを義務付けた