消費生活相談員資格試験 過去問解説

消費生活相談員資格試験対策としては過去問を多く解くことが近道です。しかし、過去問の回答の解説がなかなか市販されていないため、独自で作成

消費生活相談員資格試験 2019年度(2回目) 12問

消費生活相談員資格試験   2019年度(2回目) 12問 

12.次の文章の[ ]に入る最も適切な語句を、下記の語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

 

 【語群】  

 

1. 同意のもとに   2. 行為能力   3. 必要としない  4. 身上監護に関する行為

5. 戸籍に記載   6. 意思を尊重し  7. 日常生活に関する行為   

8. 後見登記等ファイルに登記  9. 相続の承認・放棄   10. 事理を弁識する能力

11. 必要とする

 

  家庭裁判所は、精神上の障害により[ ア ]を欠く常況にある者について、申立権者の請求により、後見開始の審判をすることができる。本人以外の請求により後見開始の審判をする場合、本人の同意を[ イ ]。後見開始の審判を受けると、その旨が[ ウ ]される。
  後見開始の審判を受けた者(成年被後見人)の法律行為は、成年後見人は取り消すことができる。ただし、[ エ ]については、この限りでない。成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うにあたっては、成年被後見人の[ オ ]、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。

 【解答】ア:10. 事理を弁識する能力  イ:3. 必要としない 

                ウ:8. 後見登記等ファイルに登記   エ: 7. 日常生活に関する行為

                オ: 6. 意思を尊重し

  • 成年後見:事理弁識能力を欠く常況にある人。つまり、ほとんどの状態で判断能力を欠く人を後見する制度
  • 成年後見を申請できる人:本人、配偶者、4親等以内の親族、市町村長などで、本人の同意は不要
  • 後見登記制度:成年後見、補助、補佐等は法務局に登記される。不動産登記と異なり、開示請求できるのは、本人、後見人、親族、国等に限られる
  • 成年後見人は、代理権と取消権があり、追認もある。しかし、同意見はなく、後見人の同意があった行為も、取り消すことができる
  • しかし、日常生活に関する契約は例外とされ、後見人は取り消すことができない。(食料品、衣料品、日用雑貨、光熱費の支払い、そのための預貯金の引き出し等)

消費生活相談員資格試験 2019年度(2回目) 11問

消費生活相談員資格試験  2019年度(2回目) 11問

11. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

① 未成年者であることを理由に契約を取り消すことができる場合、法定代理人に限り取り消すことができる。契約が取り消された場合、未成年者は、㋑その契約によって現に利益を受けている限度で返還の義務を負う。未成年者が法定代理人の同意を得ずに贈与を受けた場合であって、その贈与契約が負担付きのものでないときは、法定代理人はその贈与契約を取り消すことができない。

【解答】 〇 

  • 契約が取り消された場合は、給付を受けた全てを返還する義務があるが、未成年の場合は現存する利益の範囲内で償還すればよい。残っていなければ返還しなくてもいい。

  • 未成年の法定代理人の同意が不要なケースは、単に権利を得たり義務を逃れる行為。贈与を受ける場合のように、本人にとって不利益にならない行為は単独で行える。

 

②「契約自由の原則」は近代民法の基本原則であり、㋐私的自治の原則の中心をなすものである。契約自由の原則を強調しすぎると弱者の権利が害されてしまう。民法は、契約自由の限界を画する規定として民法第 90 条を置き、公序良俗に反する法律行為を㋑無効とした。この例として、㋒暴利行為が挙げられる。

【解答】 〇 

  • 民法90条公序良俗違反の契約は無効。犯罪にかかわる行為・人倫に関わる行為(例:愛人契約)・ギャンブル・人権侵害・暴利行為(違法金利での貸し付け、原野商法など)

  

③ 動産の譲渡人が無権利・無権限であっても、その者との有効な取引によって、㋐平穏かつ公然と動産の占有を開始した譲受人が善意無過失であるときは、その動産に対して行使する権利を取得する。これを即時取得という。㋒不動産取引の場合も同様である。

【解答】 ✖ ウ 即時取得は動産

  • 動産の占有者を本当の所有者と信用して取引し、それを善意無過失の第三者が取得した時は所有権を有することを即時取得
  • 不動産を取得した時は「登記」をもって第三者に対抗できる

 

無権代理行為は、本人が追認しない限り、㋐本人に対して効力を生じない無権代理の相手方であるAが本人Bに対し、㋑相当の期間を定めて、その期間内に追認するか否か確答するよう催告したが、文書到達後いつまでたっても確答がなかった。この場合、Bは無権代理行為の追認を㋒拒絶したものとみなされる

【解答】 〇

  • 代理権を有しない者(無権代理人)がした契約行為は、本人が追認しなければその効力を生じない
  • 相手側は本人に対し、追認できるか催告できるが、追認がない場合は同様に効力が生じない=拒絶したものとみなされる

 

⑤ 未成年者が㋐行為能力を欠く場合には、自身の行為によって他人に損害を与えても、当該行為について不法行為に基づく損害賠償責任を負わない。10 歳のAが同級生を殴りけがを負わせ、Aに賠償責任が認められない場合、Aの親権者は、㋑自らの監督義務を怠らなかったとき、あるいは㋒仮に監督義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときを除き、Aの行為について賠償責任を免れない。

【解答】 ✖ ア ➡ 行為能力ではなく判断能力が不十分 制限行為能力者

 

⑥ 委任契約は、なんら特別の事由がなくても、㋐各当事者がいつでもその解除をすることができる。当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、㋑相手方の損害を賠償しなければならない。やむを得ない事由があったときは、㋒相手方の損害を賠償せずに解除することができる。

【解答】 〇

  • 委任契約は、信頼関係が基礎になっているので、いつでも解除できる

  • 相手側に不利な時期に解除した時は、損害を賠償しなければならない。しかし、やむを得ない事情がある場合はその責任を逃れる
  • 準委任:法律行為でない事務の委託:医療、エステ、教育サービスなど一定の仕事の完成を相手に約束できないサービスは準委任契約

 

⑦ 双務契約の当事者の一方は、相手方の債務が弁済期に達している場合、相手方がその債務の履行を提供するまでは、㋐自己の債務の履行を拒むことができる。動産取引において、㋑目的物引渡債務と代金債務は同時履行関係にある。不動産取引において、㋒売主の登記手続協力債務と買主の代金債務は同時履行関係にある。

【解答】 〇

  • 双務契約は通常の売買のように、契約した双方(売主、買主)が双務を負う。金銭消費貸借契約は、貸主が借主にお金を渡して契約が成立(片務契約という)
  • 双務契約は一方が履行されると、もう一方が履行される関係だが、これを同時履行の抗弁が認められているという
  • 不動産取引も同様 

 

民法、㋐詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる旨を定めている。この取消権は、㋑追認をすることができるときから5年間行使しないときは、時効によって消滅する。㋒行為の時から 20 年を経過したときも、時効によって消滅する。

【解答】 〇 

  • 追認できる時とは、詐欺だと知った時から、強迫の止んだ時から5年

 

⑨ 賃貸住宅の賃借人が契約書に明記された禁止事項を行っていた場合、賃貸人は、㋐契約違反の事実のみを理由として賃貸借契約を解除することができる。賃借人の行為があまりに悪質で、当事者間の信頼関係が修復不能なほどに破たんした場合、賃貸人は㋑無催告で契約を解除することができる。賃貸借契約の解除は、㋒将来に向かってのみ効力を生じる。

【解答】 ✖ ア  

  • 賃貸借契約における契約違反は、当事者間の信頼関係を破壊するに足りるものである場合に、はじめて解除が認められる
  • 通常、民法541条による債務不履行解除をするには,事前に相手方に対して,相当の期間を定めて履行を催告が必要。しかし、判例、無催告解除特約が無い場合でも「信頼関係を裏切つて,賃貸借関係の継続を著しく困難ならしめるような不信行為のあつた場合」があった場合には,無催告で解除できるとした

 

代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、㋐自己のためにしたものとみなす。ただし、㋑相手方が代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、本人に対して、㋒直接にその効力を生ずる。

【解答】 〇 民法100条  

  • 代理人が本人の名で意思表示しなかった場合、それは代理人が自分のためにしたとみなされる。しかし、相手側が代理人の行為が本人のためにしたことを相手側が知っていた場合、効力が生じる

消費生活相談員資格試験 2019年度(2回目) 10問

2019年度(2回目) 消費生活相談員資格試験 10問

10. 次の各文章が、正しければ〇、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

① 「標準旅行業約款」によれば、旅行者は、旅行開始後に、当該旅行者の責めに帰すべき事由によらず契約書面に記載した旅行サービスを受領することができなくなったときは、取消料を支払うことなく、旅行サービスの当該受領することができなくなった部分の契約を解除することができる。

【解答】 〇 旅行業者の責任 

  • 旅程管理責任:円滑に旅行サービスを受けられるように旅程を管理する
  • 旅程保証責任:契約ないようの重要な変更が生じた場合は、変更保証金を払う。しかし、天災地変や戦争、航空機の結構の場合は免責される(旅程日程の変更、観光地・施設・目的地の変更、運送機関の変更、施設等の等級低い料金への変更等)
  • 特別補償責任:旅行中の事故による死亡・けが携帯品の損害は旅行業者の責任の有無にかかわらず補償する。食中毒、現金・パスポートの紛失は対象外。死亡事故は2500万円、携帯品の損害は1品目10万円を限度として、最大15万円まで補償

 

② 旅行業法によれば、「旅行業者」は、営業所ごとに、一人以上の旅行業務取扱管理者を選任して、旅行業務に関し、旅行者の利便を確保等するための管理及び監督に関する事務を行わせなければならない。選任した者のすべてが欠けるに至ったときは、新たに旅行業務取扱管理者を選任するまでの間は、その営業所において旅行業務に関する契約を締結することができない。

【解答】 〇

  • 営業所に1人以上の旅行業務取扱管理者が必要。海外旅行も扱える「総合旅行業務取扱管理者」と国内旅行しか取り扱えない「国内旅行業務取扱管理者」、そして「地域限定旅行業務取扱管理者」
  • 地域限定旅行業とは、地域の観光資源・魅力を生かした体験・交流型旅行商品の企画・販売等を行う事業を指します。受験科目が軽減された「地域限定旅行業務取扱管理者」の資格も適用されることになり、地域限定旅行業取得のためのハードルが下がったといえる

 

③ 新聞社の依頼を受けて、もっぱら、その報道の用に供する目的で行われる調査には、「探偵業の業務の適正化に関する法律」の規制が及ぶ。

【解答】 ✖ 

  •  探偵業務とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行いその調査の結果を当該依頼者に報告する業務

  •  報道機関をの依頼を受けて、その報道の用に供する目的で行われるものは除かれる

④ 医業類似行為のうち、あん摩・マッサージ・指圧、はり、きゅう及び柔道整復については、それぞれあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師の免許を有する者でなければこれを行ってはならず、無免許で業としてこれらの行為を行った場合には罰則の対象となる。

【解答】 〇

  • 医業類似行為のうち、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師の免許を有する者でなければこれを行ってはならないものであるので、無免許で業としてこれらの行為を行ったものは、処罰の対象になる

  •  カイロプラクティック療法については、医学的効果についての科学的評価は未だ定まっておらず、今後とも検討が必要であるとの認識を示す

 

⑤ 「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」(チケット不正転売禁止法)は、国内で行われる映画、音楽、舞踊などの芸術・芸能やスポーツイベントなどのチケットのうち、興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨が明示された座席指定等がされたチケットの不正転売等を禁止する法律である。

【解答】 〇 
  • 何人も、特定興行入場券の不正転売をしてはならない

  • 特定興行入場券ちは、興行主等が、販売時に、興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨を明示し、かつ、その旨を当該入場券の券面等に表示し、座席が指定され、購入者の氏名及び連絡先を確認する措置を講じているもの

 

古物営業法では、古物商は行商する際には必ず古物商許可証を携帯しなければならず、代理人、使用人その他の従業者に行商をさせるときは、行商従業者証を携帯させなければならない。取引の相手方から許可証又は行商従業者証の提示を求められたときは、これを提示しなければならないとされている。

【解答】 〇
  • 古物商:古物の「売買」、「交換」、「委託を受けて売買」、「委託を受けて交換」を行う営業
  • 古物市場主:古物商間の古物の売買又は交換のための市場(古物市場)を経営する営業
  • 古物競りあっせん業者(インターネットオークションサイトの運営者)古物の売買をしようとする者のあっせんをインターネット上で競りの方法により行う

 

⑦ 住宅宿泊事業法によれば、住宅宿泊事業を営むためには、観光庁長官に対し、住宅宿泊事業を営む旨の届出をすることが必要である。

【解答】 ✖ 観光庁長官 ➡ 都道府県知事
  • 住宅宿泊事業者(民泊事業者) 都道府県への届け出:人を宿泊させる日数が1年間で180日を超えない。既存の住宅で、台所、浴室、便所、洗面設備が備えられている施設で、人の生活の本拠として使用されていること
  • 住宅宿泊管理業者 国土交通省への登録:民泊業者の居室の数が5を超える場合、民泊業者が不在となる場合、業務の代行をする
  • 住宅宿泊仲介業者 観光庁への登録 
  

⑧ 医療法及びその省令においては、医療に関する広告に、治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等を掲載してはならないとされている。

【解答】 〇 
  • 医療広告ガイドラインで禁止されている広告の内容
  • 比較優良広告、誇大広告
  • 患者等の主観、伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談の広告
  • 治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療前後の写真等の広告

消費生活相談員資格試験 2019年度(2回目) 9問

消費生活相談員資格試験  2019年度(2回目) 9問

9. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

製造物責任法は、製造物の欠陥により人の生命・身体等に被害が生じた場合の㋐製造業者等の損害賠償の責任を定め㋑被害者の保護を図り、もって㋒国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

【解答】 〇 

  • PL法第1条の目的

  • 被害者に関しては定義がないので、売買契約の当事者、消費者や個人に限定されていない
  • 民法不法行為では、製造業者の過失を被害者が証明しなければならなかったが、PL法は商品に欠陥があったために被害があったことを証明すればよい(欠陥責任、無過失責任

 

製造物責任法において、「製造物」とは㋐製造又は加工された動産をいう。製造業者等から動産として引き渡された窓ガラスは、不動産に組み込まれた後は㋑「製造物」に該当しない。コンピューター用のソフトウェアそのものは無体物であり、㋒「製造物」に該当しない

【解答】 ✖ イ 製造物の定義 

  • 不動産や土地は該当しないが、建物に取り付けられたアルミサッシや壁材等は不動産を構成している製造物にあたる
  • 未加工の農畜産、水産物は製造物にあたらない。加工食品は該当する。
  • 血液製剤、生ワクチンは該当する
  • 医療、理美容サービス等役務は製造物に該当しない

  

製造物責任法の「欠陥」とは、製造物が㋐通常有すべき安全性を欠くことをいう。欠陥の有無は、㋑実際に損害が発生した時期を基準時として㋒当該製造物の特性や通常予見される使用形態などの諸事情を考慮して判断される。

【解答】 ✖ イ 欠陥の定義:➡製造物を引き渡した時期を基準

  • 製造物の特性、通常予見される使用形態、製造物を引き渡した時期等を考慮し、製造物が通常有すべき安全性を欠いていること
  • 製造上の欠陥:製造の過程で設計や仕様書どおりに製造されなかったため安全性を欠いた場合
  • 設計上の欠陥:設計自体に問題があった場合
  • 指示・警告上の欠陥:製造物本体や取扱説明書に正しい使用方法等の指示や蛍光所がない場合

国土交通省独立行政法人自動車事故対策機構は、自動車とチャイルドシートの安全性に関わる様々なアセスメントを実施し、その結果に関し、㋐メーカー名と個別商品名を含む情報を公表している。㋑自動車アセスメントは、現在市販されている自動車の安全性能について試験による評価を行い、㋒予防安全性能アセスメントは、先進安全技術を搭載した自動車の安全性能について試験
による評価を行う。

【解答】 〇

  • 自動車アセスメントは、自動車に対して様々な安全性能に関する試験を行い、その結果を公表:衝突しそうな場合に自動車が警報を発する、あるいはブレーキをかけるといったドライバーを支援する様々な予防安全技術について試験等による評価、チャイルドシートについても、衝突時を模擬した試験や、使いやすさや取り付けやすさといった使用性についての試験、評価
  • 予防安全技術の性能評価を「予防安全性能アセスメント」として実施することとし,衝突被害軽減制動制御装置、車線逸脱警報装置の試験及び評価を平成26年度から開始

 

電気用品安全法は、電気用品の安全性の確保につき㋐民間事業者の自主的な活動を促進することにより、電気用品による危険及び障害の発生を防止することを目的とする。同法に定める「電気用品」は、原則として、PSE マークを付して販売しなければならない。ポータブルリチウムイオン蓄電池(いわゆるモバイルバッテリー)は、㋒同法の規制対象とはならない。

【解答】 ✖ ウ 

  • 「特定電気用品」構造又は使用方法その他の使用状況からみて特に危険又は障害の発生するおそれが多い電気用品  四角いPSEマーク

  • 「特定電気用品以外の電気用品」丸いPSEマークリチウムイオン蓄電池を含む

 

⑥ 消費生活用製品安全法では、消費生活用製品のうち、「特定製品」は、原則として、㋐PSC マークを付さなければ販売することはできない。製造又は輸入の事業を行う者のうちに、㋑一般消費者の生命又は身体に対する危害の発生を防止するため必要な品質の確保が十分でない者がいると認められる「特定製品」で、政令で定めるものを「特別特定製品」という。㋒乳幼児用ベッドは「特別特定製品」に該当する。

【解答】 〇

  • 特別特定製品(四角いPSCマーク):乳幼児ベッド、携帯用レーザー応用装置、浴槽用温水循環器、ライター

  • 特定製品(丸いPSCマーク):圧力鍋がま、乗車用ヘルメット、登山用ロープ、石油給湯器、石油風呂釜、石油ストーブ

 

⑦ 消費生活用製品安全法では、消費生活用製品の製造事業者は、製品事故による危害の発生及び拡大を防止するために必要な場合は、リコールを㋐自主的に実施するよう努めなければならないと規定されている。消費生活用製品の輸入事業者は、リコールを㋑自主的に実施するよう努めなければならないと規定されている。消費生活用製品の販売事業者は、㋒リコールに協力するよう努めなければならないと規定されている。

【解答】 〇

  • 製造・輸入事業者は消費生活用製品について製品事故が生じた場合、必要に応じて回収等に努めなければならない
  • 販売業者は、回収命令が出されたときは協力義務がある
  • 重大製品事故が生じた場合などは、主務大臣は事業者に回収を図り、危害発生拡大防止措置を命じることができる。命令をしたときは公表しなければならない。
  • 自動車のリコール制度は、道路雲霄車両法に基づくものであり、国土交通大臣に事前届け出を行ったうえで回収するが、消費生活用製品は事前届け出は不要。(重大製品事故については知った時から10日以内に消費者庁に報告義務がある) 

 

⑧ ガス事業法では、㋐構造等からみて特にガスによる災害の発生のおそれが多いと認められるガス用品であって政令で定めるものを「特定ガス用品」としている。㋑半密閉燃焼式ガス瞬間湯沸器は「特定ガス用品」に該当し、「特定ガス用品」は、原則として、㋒PSLPG マークを付さなければ販売できない。

【解答】 ✖ ウ ➡  PSTGマーク

  • 特定ガス用品:半密閉燃焼式ガス瞬間湯沸器・半密閉燃焼式ガスストーブ・半密閉燃焼式ガスバーナー付ふろがま・ガスふろバーナー

 

医薬品医療機器等法では、医薬部外品による副作用その他の事由によるものと疑われる疾病等が生じた場合、これを知った当該医薬部外品の製造販売業者等は、厚生労働大臣㋐報告をしなければならないとされている。医薬部外品の製造販売業者等は、製品を回収するときには、回収に着手した旨及び回収の状況を厚生労働大臣㋑報告するよう努めなければならないとされている。厚生労働大臣は、医薬部外品による保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止する必要があると認めるときは、㋒販売業者等に対して医薬部外品の販売等の一時停止等を命じることができるとされている。

【解答】 ✖ イ  

  • 回収に着手した旨及び回収の状況を厚生労働大臣へ報告しなければならないとされている。

消費生活相談員資格試験 2019年度(2回目) 8問

2019年度(2回目) 消費生活相談員資格試験 8問

1. 次の各文章が、正しければ〇、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

① 「2017 年度 家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告」(厚生労働省)による家庭用品等に係る小児の誤飲事故の報告件数をみると、誤飲の原因と推定された製品は、2015(平成 27)年度から 2017(平成 29)年度の間では、第1位が「たばこ」、第2位が「医薬品・医薬部外品」である。

【解答】 〇 

  • 最近は、マグネットボールの誤飲、加熱式タバコの誤飲の相談も寄せられている

 

② 視力補正用コンタクトレンズは「高度管理医療機器」として医薬品医療機器等法の規制対象であるが、度の入っていないおしゃれ用カラーコンタクトレンズは同法の規制対象外である。

【解答】 ✖ 高度管理医療機器として規制される 

  • おしゃれ用のカラーコンタクトレンズは、従来、雑貨扱いでネット等で自由に販売されていた。
  • トラブルが多発したことから、2009年(H21)から視力補正用コンタクトレンズと同様、高度管理医療機器に分類され規制
  • 製造輸入にあたっては、厚生労働省の承認販売にあたっては都道府県の販売業の許可、管理者の設置義務

 

医薬品医療機器等法によれば、一般用医薬品のうち第1類医薬品(特にリスクが高いもの)については、販売にあたって、適正に使用されると認められる場合を除き、薬剤師又は登録販売者が書面で情報提供しなければならない。

【解答】 ✖ 必ず薬剤師が情報提供する義務あるが、書面による必要はない

  • 第一類医薬品:副作用リスクが高い医薬品で、その使用に関し特に注意が必要なものは厚生労働省が指定。

  • 販売時には、必ず薬剤師が情報提供する義務があり、薬剤師が不在の場合は、販売できない。
  • 2006年(H18)改正により、登録販売者資格制度が創設され、第2、3類医薬品に関しては、新たな専門家として登録販売者が販売できるようになり、コンビニ等で販売できるようになった。 

【解答】 ✖

④ 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器等の自主回収では、回収される製品によってもたらされる健康への危険性の程度により、3クラスに分類される。そのうち危険性の程度の低いクラスⅢでは、回収率、健康被害の発生状況等について厚生労働大臣に定期的に報告する必要はない。

【解答】 ✖ 以下3つのクラスすべて報告の義務がある

  • クラスⅠ:重篤健康被害又は死亡の原因となり得る
  •  クラスⅡ:一時的な若しくは医学的に治癒可能な健康被害の原因となる可能性がある状況又はる重篤健康被害のおそれはまず考えられない状況
  • クラスⅢ:健康被害の原因となるとはまず考えられない状況

 

個人輸入により入手した医薬品は、本人が個人的な使用に供することが前提のため、他人に売ったり譲渡したりすることはできないが、他人の分をまとめて輸入することは認められている。

【解答】 ✖ 自己使用のためのみの一定限定量個人輸入が認められている
  •  販売目的での輸入や転売は禁止 

消費生活相談員資格試験 2019年度(2回目) 7問

2019年度(2回目) 消費生活相談員資格試験 7問

1. 次の各文章が、正しければ〇、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

宅地建物取引業法上、宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約を締結する場合には、手付金を受領することが禁止されている。

【解答】 ✖ 手付金の制限はあるが、禁止されていない

  • 売買代金の20%を超える手付金を受け取ってはならない。手付金は解約手付けとしなければならない。
  • そのほかにも、未完成物件の契約の制限・許可前完成前の広告の禁止・クーリングオフの適用・手付金の保全

 

宅地建物取引業法上、宅地建物取引業者は、宅地や建物の売買の相手方に対して、その売買契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、重要事項を記載した書面を交付して説明させる義務を負う。

【解答】 〇 

  • 契約するまでに、宅地建物取引士が、宅地建物取引士証を提示し、重要事項証明書に記名押印し、口頭で説明をしなければならない。
  • また、売買契約書も交付する義務がある。

 

借地借家法における定期建物賃貸借契約を締結した場合、賃借人はいかなる場合も解約の申入れをすることができない。

【解答】 ✖ やむを得ない事情の時は中途解約可能

  • 定期借家、期間の途中で解約することを許す旨の特約がなければ期間中に解約できないのが原則

  • しかし、定期借家においては、そのような特約がなくとも居住用の200㎡未満の建物の場合は、借主に転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、借りた建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、借主から1ヶ月前に予告することにより、借主からの一方的な意思表示による中途解約が可能

 

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」によれば、建物の賃借人は、建物の賃借人として社会通念上要求される程度の注意を払って建物を使用しなければならないとされている。

【解答】 〇

  • ガイドライン」には、原状回復を「賃貸人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃貸人の故意・過失、善良な管理者の注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等を復旧すること」とある

 

建築基準法で完了検査が義務づけられているすべての建築工事では、建築工事の途中工程における中間検査も義務づけられている。

【解答】 ✖ ➡ 着手前に申請し、完了時に完了検査を受ける 

  • 建築基準法は建築確認制度を採用しているので、建築法規等に適合する計画であるかを工事の着手前に、確認申請書を都道府県等に提出し、建築主事等の確認を受ける必要がある。
  • 工事が完了した時は、完了検査を受け検査済み証の交付を受けた後でなければ、建物を使用できない

 

建築基準法は、構造上の最低基準を定めている。木造2階建て建物について、最低限必要な壁の量までは規定していない。

【解答】 ✖ 地震力、風圧力等に対する必要な壁量の基準がある

 

⑦ 建物を販売する事業者は、販売する新築住宅の性能に関する表示を、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき定められる「日本住宅性能表示基準」に適合させることが義務づけられている。

【解答】 ✖ ➡ 義務ではない

  • 「品確法」:新築住宅について柱・梁など構造耐力上主要な部分、雨水の侵入を防止する部分について、10年間の瑕疵担保責任が義務付けられている。特約で20年まで延長可能

  • 国土交通大臣の登録を受けた「登録住宅性能評価機関」が、国の定めた基準に基づいて住宅の性能を評価して、その結果を住宅性能評価書として交付する

 

⑧ 老人福祉法の一部改正を含む「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」により、事業倒産等の場合に備えた有料老人ホームの入居者保護の充実を図るため、前払金を受領する場合の保全措置の義務対象が拡大された。

【解答】 〇 

  •  銀行等との連帯保証委託契約、親会社との連帯保証委託契約、 保険事業者との保証保険契約、 信託会社等との信託契約による保全措置
  • 前払い金は、入居期間が3か月以内であれば、日割家賃に相当する額を差し引いたうえで、残額を返還することが法律で定められている(90日ルール) 

 

 

 ⑨ 現行民法(2017(平成 29)年改正前の民法)では、請負契約において目的物に瑕疵がある場合、原則として、注文者は、請負人に瑕疵の修補や損害賠償を請求することができる。この瑕疵の修補や損害賠償請求は、注文者が瑕疵を知った時から1年以内にしなければならない。

【解答】 ✖ 瑕疵を知った時からではなく、引き渡しを受けた時から 

  • 民法637条:瑕疵の修補又は損害賠償の請求及び契約の解除は、仕事の目的物を引き渡した時から一年以内にしなければならない。

  

 ⑩ 「建物の区分所有等に関する法律」に基づき、マンションの区分所有者は、規約に別段の定めがない限り、集会の決議により管理者を選任することができる。管理者は、マンションの区分所有者を代理して、共用部分に生じた損害賠償の請求をすることができる。

【解答】 〇 

  • 管理者は、共用部分等について生じた損害賠償等について、区分所有者を代理する権限を付与 
  • 区分所有者及び議決権の5分の4以上の多数決のみで建替えが可能

消費生活相談員資格試験 2019年度(2回目) 6問

消費生活相談員資格試験  2019年度(2回目) 6問

6. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

① ドライクリーニングは、水の代わりに石油系溶剤やテトラクロロエチレンなどの㋐揮発性有機溶剤を用いて洗濯をする方法で、スーツやコートなど水洗いできない品物が対象になる。長所として、油性汚れの除去性能に優れており、品物の㋑型くずれや収縮が起きにくい㋒風合いが変わりにくいということが挙げられる。

【解答】 〇 

  • ドライクリーニングは、水を使わず、揮発性有機溶剤を用いて洗う。水による型崩れや色落ち、変形などが生じにくい油溶性汚れは良く落ちるが、水溶性汚れは落ちにくい。

  • ランドリーとは、水と石鹸や洗剤、アルカリ洗剤などを用いて高温で機械力を強くして洗う。高温水や高アルカリに耐え得る素材でなければ処理できないため、ワイシャツやシーツなどに限られる
  • ウェットクリーニングとは、水と中性洗剤を用いて、比較的低温で機械力を弱くして洗う。デザイン性が高い、ドライクリーニングができないなど特別な扱いを必要とする場合に利用される

 

② 「クリーニング事故賠償基準」において、クリーニング業者は㋐利用者とクリーニング契約を結んだ当事者と定義される。宅配業者、㋑保管業者、クリーニング処理の下請業者等は、クリーニング契約を結んだクリーニング業者の支配圏にあるとされる。インターネットで申し込む宅配クリーニングにおいて、宅配業者による事故が発生した場合、同基準においては、㋒クリーニング業者が利用者に対して賠償するという考え方が採用されている。

【解答】 〇 

  • クリーニング賠償基準1条:洗たく物の受け取りおよび引き渡しに宅配業者等を利用するなどの新たな業態が増えてきている現状を踏まえ、洗たく物がこれら「履
    行補助者」の手元にある場合に発生した事故であっても「クリーニング業者の支配圏」にあることから、利用者に対する賠償責任はクリーニング業者にあることを明確にした

  

 ③ 商業クリーニングの洗たく方法であるランドリーは、ワイシャツなどの耐久性のある繊維製品を専用の洗剤や助剤(アルカリ剤)等を用いて㋐温水洗いする方法である。ランドリーを行ったワイシャツの乾燥と仕上げは、一般的に㋑濡れ掛けプレスと呼ぶ方法で同時に行っているが、この処理によって衿や前立てに㋒収縮が生じることがある。

【解答】 〇

  • 水洗いで脱液あがりの湿った状態のものをタンブラーにかけず、そのままプレスして仕上げること。シワが伸びやすいのでワイシャツなどの仕上に行われている。

④ 加工食品等の特別の用途や成分の機能に関する食品表示制度には、特別用途食品及び保健機能食品がある。特別用途食品には、病者用食品、㋐乳児用調製乳、えん下困難者用食品などがある。また、保健機能食品には、特定保健用食品㋑栄養機能食品㋒機能性表示食品がある。

【解答】 〇

  • 特定用途食品は、病者用、乳児用等健康増進法で決められている。
  • 特定保健用食品は「トクホ」と呼ばれ、消費者庁の許可が必要で、整腸・コレステロール・血圧・骨ミネラル・歯・血糖値・中性脂肪・体脂肪に関するものが認められる。

     

  • 栄養機能食品は、特定の栄養成分の補給を目的とするもので、ミネラル、亜鉛、カルシウム、鉄、マグネシウムカリウム、ビタミン、n-3系脂肪酸等が対象
  • 機能性食品は、企業の責任において科学的根拠を元に機能性を表示できる。消費者庁は審査しないが、事業者が事前に届け出た情報を公表。

 

特定保健用食品とは、食生活において特定の保健の目的で摂取する者に対し、その摂取により当該特定の保健の目的が㋐期待できる旨の表示を行うものである。表示については、㋑個別に国の許可を受けなければならない。特定保健用食品には、疾病リスク低減表示が認められるものがあり、その関与成分として、㋒ビタミンC葉酸がある。

【解答】 ✖ ウ 

 

⑥ HACCP とは、㋐食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因を把握した上で、㋑最終製品検査に重点をおく衛生管理手法である。HACCP の手法は、食品の国際規格を定めるコーデックス委員会から示されており、食の安全性をより高めるシステムとして国際的に採用が推奨されている。

【解答】 ✖ イ ➡ あらゆる段階でのリスク

  • HACCP(ハサップ)は食品の製造・加工工程のあらゆる段階で発生のおそれのある汚染や異物混入等の危害要因を分析し、どのような対策をすればよいか、重点管理点を定め、連続的に監視する衛生管理手法

  • コーデックス委員会から発表され、各国に推奨している、

 

⑦ 食中毒患者又はその疑いのある者を診断した医師は、食品衛生法に基づき、㋑直ちに最寄りの保健所長にその旨を届け出なければならない。食中毒は家庭でも発生しており、その予防の3原則として、食中毒の原因菌を㋒「付けない」「増やさない」「やっつける」がある。

【解答】 〇

 

⑧ 加工食品の消費期限が 2019(令和元)年 10 月 12 日であるとき、㋐「消費期限 令和元年 10 月 12 日」㋑「消費期限 01.10.12」㋒「消費期限 011012」のように表示することが認められる。

【解答】 〇 

  • 12.10.2019のように外国形式は不適切。年➡月➡日
  • 19/10/12 のスラッシュも認められていない

     

⑨ 食物アレルギー症状を引き起こすことが明らかになった食品のうち、食品表示基準で表示が義務化されたものを㋐特定原材料という。対象品目は、㋑大豆、えび、かに、そば、卵、乳、落花生である。アレルゲン表示方法の原則は、個々の原材料の直後に括弧書きする「個別表示」である。表示面積に限りがあり個別表示が困難な場合等は、例外として、原材料名の最後にすべてまとめて㋒「(一部に○○、△△を含む)」と表示する「一括表示」も可能である。

【解答】 ✖ イ ➡ 大豆ではなく小麦

  • 大豆は特定材料に準ずるものとして表記が推奨されているもの20品目
  • 表示方法は「〇〇(小麦含む)、○○(えび含む)、○○(卵含む)」という個別表示と「○○、○○、○○(一部に小麦、えび、卵を含む)」とする一括表示がある。

消費生活相談員資格試験 2019年度(2回目) 5問

消費生活相談員資格試験  2019年度(2回目) 5問

5. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

① 消費者教育推進法は、大学等における消費者教育の推進のため、国及び地方公共団体は、大学等に対し、学生等の消費生活における被害を防止するための啓発その他の自主的な取組を行うよう㋐促すものとするとしている。また、国及び地方公共団体は、㋑関係団体の協力を得つつ、学生等に対する援助を行う教職員に対し、㋒研修の機会の確保、情報提供その他の必要な措置を講じなければならないとしている。

【解答】 〇 12条 大学等における消費者教育の推進

  • 消費者教育が適切に行われるようにするため、大学等に対し、学生等の消費生活における被害を防止するための啓発その他の自主的な取組を行うよう促すものとする。国及び地方公共団体は、大学等が行う前項の取組を促進するため、関係団体の協力を得つつ、学生等に対する援助に関する業務に従事する教職員に対し、研修の機会の確保、情報の提供その他の必要な措置を講じなければならない

 

② 「消費者教育の推進に関する基本的な方針」においては、若年者の消費者教育について、「学習指導要領を踏まえ、㋐高等学校段階までに、㋑売買契約の基礎や契約の重要性やそれを守ることの意義、売買契約の仕組みについての理解、消費者被害の背景とその対応についての理解などの知識及び技能を身に付けるよう、消費者教育をより㋒理論的に実施することが必要」としている。

【解答】 ✖ ウ ➡ 理論的ではなく実践的

  

 

③ 2015(平成 27)年に国際連合の「持続可能な開発サミット」で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」は、17 項目の持続可能な開発目標を達成することにより、㋑「誰一人取り残さない」社会の実現に向けて、途上国のみならず先進国も実施に取り組むものになっている。㋒消費者基本計画に基づく施策の一つである「消費者が主役となって選択・行動できる社会の形成」は、目標 12「つくる責任 つかう責任」や目標 14「海の豊かさを守ろう」など、さまざまな目標に関連している。

【解答】 〇

  • SDGsエスディージーズ)」とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、2015年9月に国連で開かれたサミットので決められた、国際社会共通の目標

  • 17の目標:貧困をなくそう・ 飢餓をゼロに・すべての人に健康と福祉を・ 質の高い教育をみんなに・ジェンダー平等を実現しよう・ 安全な水とトイレを世界中に・ エネルギーをみんなに そしてクリーンに・ 働きがいも経済成長も 産業と技術革新の基盤をつくろう・人や国の不平等をなくそう・ 住み続けられるまちづくりを ・つくる責任 つかう責任・ 気候変動に具体的な対策を・海の豊かさを守ろう・ 陸の豊かさも守ろう・ 平和と公正をすべての人に・ パートナーシップで目標を達成しよう

 

厚生労働省では、公共職業安定所ハローワーク)に登録している有効求人登録者数に対し、企業からの有効求人数の割合を示す指標を有効求人倍率として、㋑毎月公表している。2018(平成 30)年度の平均有効求人倍率は 1.62倍となり、2017(平成 29)年度の平均を㋒上回った

【解答】 〇

 

⑤ 我が国では物価指数として、商品の流通過程に応じて消費者物価指数、企業物価指数などが作成されている。消費者物価指数は、㋐小売段階における財やサービスの価格全般の動向を表している。物価は、経済活動が活発となり需給がひっ迫してくると㋑上昇率が高まり、経済活動が停滞し需給が緩むと㋒上昇率が低下する傾向がある。

【解答】 〇 

  • 消費者物価指数は、全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するもので、毎月作成。 品目の価格は総務省統計局実施の小売物価統計調査によって調査された小売価格を用いている。

 

総務省が毎月実施している「家計調査」によると、2018(平成 30)年の2人以上世帯の消費支出は 2017(平成 29)年に比べ名目は増加しており、物価変動の影響を考慮した実質消費支出は、5年連続の㋐減少となっている。「家計調査」における消費支出とは、1世帯当たりの平均値である。「実収入」(2人以上の世帯のうち勤労者世帯)は、1世帯当たりのすべての世帯員の現金収入を合算した㋑平均収入であり、前年に比べ、㋒名目、実質とも増加した。

【解答】 ✖ ウ ➡ 実質実収入は減少

  • 消費支出は実質0.4%の減少となり,5年連続の実質減少

  • 実収入とは,世帯員全員の現金収入(税込み)を合計したもの

  • 実収入は名目0.6%の増加,実質0.6%の減少

 

⑦ 「地球温暖化対策のための税」は、低炭素社会の実現に向け、再生可能エネルギーの導入や省エネ対策をはじめとする地球温暖化対策など、㋑エネルギー利用に伴う CO2の排出抑制対策を強化するため、石油・天然ガス・石炭といったすべての化石燃料の利用に対し、環境負荷(CO2排出量)に応じて広く薄く公平に負担を求めるものである。

【解答】 〇

  • 地球温暖化対策のための税は、石油・天然ガス・石炭といったすべての化石燃料の利用に対し、環境負荷に応じて広く薄く公平に負担を求めるもの

  • 石燃料ごとのCO2排出原単位を用いて、それぞれの税負担がCO2排出量1トン当たり289円に等しくなるよう、単位量当たりの税率を設定

  • この税収を活用して、省エネルギー対策、再生可能エネルギー普及、化石燃料のクリーン化・効率化などのエネルギー起源CO2排出抑制

 

⑧ 2016(平成 28)年4月に始まった電力の小売全面自由化においては、㋐低圧分野(家庭向け等)における電気の小売が全面的に自由化された。それに伴い、料金プランにもさまざまなタイプのものが新しく出ており、㋑完全従量料金制もその一つである。また、再生可能エネルギーの電源割合が高いメニューを選択することも可能になった。

【解答】 〇 

  • 電気の小売事業への参入者が増えることで競争が活性化し、様々な料金メニュー・サービスが登場することが期待

  • 電気とガス、電気と携帯電話などの組み合わせによるセット割引や、ポイントサービス、さらには家庭の省エネ診断サービスなどが登場

  • 再生可能エネルギーを中心に電気を供給する事業者から電気を買うことも可能。

    近くの自治体が運営する事業者から電気を買うなど、電気の地産地消も可能

消費生活相談員資格試験 2019年度(2回目) 4問

消費生活相談員資格試験 2019年度(2回目)4問

 4. 問題①から⑤のそれぞれについてア~オの文章の中から、誤っている文章を2つ選んで、その記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。

 

① 以下のア~オは、消費者安全法に関する問題である。
ア 消費者安全法は、消費者の消費生活における被害を防止し、その安全を確保するための基本的な法律であることから、消費者安全の確保に関する施策の推進に関する基本理念や、国及び地方公共団体の責務、事業者等の努力について規定している。
イ 消費者は、安心して安全で豊かな消費生活を営む上で、自らが自主的かつ合理的に行動することが重要であることにかんがみ、消費生活に関わる事項に関して必要な知識の修得や必要な情報の収集に努めなければならないと規定されている。
個人事業主である個人が日常生活のために購入・使用した商品によってけがをした場合、それは「消費者事故等」には当たらない。
エ 全国の消費生活センター等においては、消費生活相談業務等にかかる情報を全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO‐NET)に入力・登録することによって、「消費者事故等」(重大事故等を除く)の通知義務を果たしたものとみなされる。
オ 「消費者事故等」には、財産被害に関するものは含まれない。

【解答】 誤っているもの ウ・オ

  • ア〇:消費者安全法3条:基本理念 4条:国及び地方公共団体の責務 5条1項:事業者等の努力
  • イ〇:5条2項:消費者の努力
  • ウ✖:誰であっても個人が日常生活のために購入した場合は消費者となる。事業目的のために購入した場合は、個人であっても事業者となる。
  • エ〇:「重大事故等」は直ちに、消費者庁への通知・連絡が必要だが、重大事故を除く消費者事故についてはPIONETへの迅速な入力・登録でよい。
  • オ✖:法第2条第5項第3号:消費者に財産被害を発生させるおそれのある事態を規定したものであり、法律に例示されている虚偽・誇大広告に起因する不利益にとどまらず、取引に起因するものを中心として財産に関する不利益全般を包含する

 

② 以下のア~オは、消費者安全法に関する問題である。
ア 「消費者安全確保地域協議会」には、病院、教育機関、消費生活協力団体、消費生活協力員等を構成員として加えることができる。
イ 消費生活協力員又は消費生活協力員であった者は、その活動により知り得た秘密を漏らしてはならない。
ウ 「消費者安全確保地域協議会」は、2019(平成 31)年4月末日現在、すべての都道府県、人口5万人以上の全市町において組織されている。
エ 「消費者安全確保地域協議会」は、構成員間での情報共有において、見守り等の対象者の個人情報を提供することは許されない。
オ 消費生活協力団体、消費生活協力員は、地方公共団体の長が委嘱する。

 

【解答】 誤っているもの ウ・エ

  • ア〇:11条の3(消費者安全確保地域協議会)協議会を組織する関係機関は、必要があると認めるときは、病院、教育機関、消費生活協力団体又は消費生活協力員その他の関係者を構成員として加えることができる。
  • イ〇:11の5(秘密保持義務) 協議会の事務に従事する者又は協議会の事務に従事していた者は、協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
  • ウ✖:設置都道府県(17/47) 5万人以上市町村(118/543)
  • エ✖:11条の4:協議会は、構成員に対し、消費生活上特に配慮を要する消費者に関する情報の提供、意見の表明その他の必要な協力を求めることができる。
  • オ〇:11条の7:地方公共団体の長は、消費者の利益の擁護又は増進を図るための活動を行う民間の団体又は個人のうちから、消費生活協力団体又は消費生活協力員を委嘱することができる

 

③ 以下のア~オは、特定商取引法に関する問題である。
ア 突然自宅に来訪した事業者に勧誘され、その場でトイレと風呂場のリフォーム工事の契約をした。商品名欄に「リフォーム工事一式、内訳は別紙による」と記載された契約書のみを渡され、10 日後に内訳が詳細に記載された別紙が郵送されてきた。この場合、契約締結時に交付されるべき書面が不備なく交付されたことにはならない。
イ 会社の代表取締役が、金地金販売業者から会社にかかってきた電話で勧誘を受け、自分個人の財産を増やすことが目的で金地金を購入した。この場合、契約名義を会社とした場合でも、特定商取引法電話勧誘販売の規定が適用される余地がある。
ウ 訪問販売において、事業者が消費者を威迫し、困惑させたことにより契約を締結させた場合、消費者は特定商取引法に基づき契約の取消しをすることができる。
エステティックの特定継続的役務提供契約において、一緒に販売された化粧品について契約締結時に交付された書面に記載がなくても、契約時に、「施術を受けるには必ずその化粧品を使用しなければならない」と説明されていた場合には、当該化粧品は関連商品に当たる。
オ 訪問購入とは、物品の購入を業として営む者が営業所等以外の場所において申込みを受け、又は契約して行う物品の購入であり、規制の対象となる物品は、政令で個別に定められている。

【解答】 誤っているもの ウ・オ

  • ア〇:書面には「商品若しくは権利又は役務の種類」の記載が必要だが、て「種類」とは、当該権利又は役務が特定できる事項をいい、工事の内容を詳細に記載せず「床下工事一式」、「床下耐震工事一式」とのみ記載することは違反である。また、書面上に記載し切れず「別紙による」旨を記載した場合、書面との一体性が明らかとなるように同時に交付することも必要
  • イ〇:会社名義でも契約しても、自分個人の財産を増やすことが目的で金地金を購入しているので、消費者と取り扱う可能性はある。
  • ウ✖:特商法9条の3で、不実告知や事実不告知といった特定商取引法上の禁止行為を行った結果として消費者が誤認し、そのために契約の申込みあるいはその
    承諾の意思表示をしたときは、民法消費者契約法では取り消せない場合であっても当該意思表示を取り消せるものとしたが、威迫、困惑は規定されていない。
  • エ〇:「関連商品」否かは販売時に当該商品の購入が必要である旨の説明がなされているか、必要である旨の説明がなされていない場合においては商品と役務との関連性(一体性)で実質的に判断される。
  • オ✖:対象とならならない商品が政令で規定されている。自動車、家電、書籍、家具、CD/DVD、有価証券

  

④ 以下のア~オは、社会福祉分野の法律、制度に関する問題である。
生活保護法の目的は、日本国憲法第 25 条の理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することである。
イ 生活困窮者自立支援法に基づく生活困窮者自立相談支援事業の実施主体となる行政機関は、その事務を社会福祉法人特定非営利活動法人NPO法人)に委託することができない。
社会福祉協議会が実施する日常生活自立支援事業における福祉サービス利用援助は、認知症高齢者、知的障害者精神障害者等の判断能力が不十分な者が対象となる。ただし、福祉サービス利用援助契約の内容について判断し得る能力を有していると認められる者に限られる。
エ 民生委員は、都道府県知事の推薦により、厚生労働大臣が委嘱し、民生委員法において守秘義務が課されている。
都道府県社会福祉協議会と、各都道府県内の市町村社会福祉協議会は、本部と支部の関係にあり、一体的に社会福祉事業を実施している。

 

【解答】 誤っているもの イ・エ

  • ア〇:生活保護法1条(目的)日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする
  • イ✖:自治体は、「自立相談支援事業」(就労その他の自立に関する相談支援、事業利用のためのプラン作成等)を実施。※ 自治体直営のほか、社会福祉協議会社会福祉法人NPO等への委託も可能
  • ウ〇:日常生活自立支援事業とは、認知症高齢者、知的障害者精神障害者等のうち判断能力が不十分な方が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行う:(預金の払い戻し、預金の解約、預金の預け入れの手続等利用者の日常生活費の管理(日常的金銭管理)定期的な訪問による生活変化の察知)
  • エ〇:「民生委員」は、民生委員法に基づいて厚生労働大臣から委嘱された非常勤の地方公務員。民生委員・児童委員、主任児童委員には守秘義務がある。
  • オ✖:市町村社会福祉協議会は、地域の福祉団体やボランティアが集まってつくる組織で、身近な福祉サービスや地域づくりを行い、都道府県社会福祉協議会は、社会福祉協議会や福祉事業者が集まってつくる組織で、社会福祉事業全般を支えていくための事業者や市町村社会福祉協議会に向けたサービスを行う

  

 

⑤ 以下のア~オは、全国消費生活情報ネットワークシステム(以下、「PIO‐NET」という。)に登録された 2017(平成 29)年度の消費生活相談情報に関する問題である(「消費生活年報 2018」による)。
ア 「原野商法」の二次被害に関する消費生活相談件数は、2016(平成 28)年度に比べ増加した。
イ 販売購入形態別相談件数をみると、通信販売に関する相談件数は、2013(平成 25)年度以降、店舗販売に関する相談件数を上回っている。
ウ 契約当事者の年代別相談件数は、20 歳代の方が 60 歳代よりも多い。
エ PIO‐NET では、商品・役務・設備に関連して身体にけが、病気等の疾病(危害)を受けた情報を収集している。危害を受けたわけではないが、そのおそれがある情報は収集していない。
オ 利用した覚えのないサイト利用料の請求など「架空請求」の相談件数は、2016(平成 28)年度に比べ増加した。

【解答】 誤っているもの ウ・エ

  • ア〇:過去に「原野商法」のトラブルにあった消費者や、その原野を相続した消費者が再度トラブルにあう原野商法」の二次被害の相談が増加した。
  • イ〇:「通信販売」に関する相談の全体に占める割合は33.7%であり、2013年度以降、引き続き販売購入形態別で最も高かった。
  • ウ✖:契約当事者の年代の割合をみると、70歳以上は2013年度以降には2割前後と各年代の中では最も高く、2017年度は20.2%であった。50歳代、60歳代は近年増加している一方、20歳未満、20歳代、30歳代、40歳代は減少している
  • エ✖:危害と危険に分類し情報収集している
  • オ〇: 利用した覚えのないサイト利用料の請求など「架空請求」の相談は、2012年度から再び増加傾向にある。2017年度は約19.9万件であり、2016年度(約8.3万件)に比べ大幅に増加した。

消費生活相談員資格試験 2019年度(2回目) 3問

消費生活相談員資格試験   2019年度(2回目) 3問 

3.次の文章の[ ]に入る最も適切な語句を、下記の語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

 

 【語群】

1. 安心   2. 消費者保護及び執行のための国際ネットワーク(ICPEN)

3. 通商産業省生活産業局   4. 消費者保護基本法   5. 油症  6. スモン

7. 消費者教育を受ける   8. 経済企画庁国民生活局   9. ニクソン

10. 消費者基本法   11. ケネディ   12. 国際連合   13. 国際消費者機構(CI)

14. 事業者の義務   15. ヒ素ミルク中毒  16. 救済を受ける 

17. ヨーロッパ共同体  18. 安全   19. 消費者の責任   20. サリドマイド

 

 

① 我が国において、消費者問題が社会問題として広く認識されたのは、1950 年代から 1960 年代にかけて発生した食品や医薬品に関わる事件がきっかけであった。例えば、[ ア ]事件は、有毒物質の混入により1万人を超える乳幼児に被害が及んだ事案であり、[ イ ]事件は、催眠鎮静薬として販売された医薬品を妊娠中の女性が服用することにより、胎児に重度の先天異常を引き起こした事案である。こうした事件の発生により、国民の間で消費者問題への関心が高まり、1965(昭和 40)年には、消費者政策担当部局として[ ウ ]が設置された。1968(昭和 43)年には[ エ ]が制定され、消費者政策の基本的枠組みが定められた

 【解答】ア:⑮ヒ素ミルク中毒 イ:⑳ サリドマイド ウ:⑧ 経済企画庁国民生活局

     エ:④消費者保護基本法

  • 高度成長期にかけて、生活が次第に豊かになっていく反面で、欠陥商品などによる深刻な消費者被害が相次いで発生。ヒ素の混入した粉ミルクを飲んだ乳児に多数の死者、中毒患者を出した森永ヒ素ミルク中毒事件(1955年)はその象徴的なものといえる
  • サリドマイドは1950年代末から60年代初めに、世界の十数カ国で販売された鎮静・催眠薬。この薬を妊娠初期に服用すると、子供に奇形を起こす。世界で数千人~1万人、日本で約千人(死産を含む)の胎児が被害にあったと推定
  • 1965年には消費者政策を担当する政府の部局として、経済企画庁に「国民生活局」「消費者行政課」が設置された。
  • また1968年に制定された「消費者保護基本法」では、消費者を保護すべき対象として、国・地方公共団体・事業者の責務と役割分担が定められた。

 

 

② 一方、海外に目を向けると、1962(昭和 37)年にアメリカの[ オ ]大統領が消費者の権利として、[ カ ]への権利、情報を与えられる権利、選択をする権利、意見を聴かれる権利を提示した。その後、1975(昭和 50)年に、フォード大統領により[ キ ]権利が追加された。1982(昭和 57)年には、消費者団体の国際的組織である[ ク ]が8つの消費者の権利と5つの[ ケ ]を提唱し、さらに、1985(昭和 60)年には、第 39 回[ コ ]総会にて「消費者保護のためのガイドライン」が採択された。こうした公的な宣言等により、国際的にも消費者の権利とともに、消費者が主体的に行動することの重要性が早くから指摘されてきた。

 【解答】オ:⑪ケネディ カ:⑱安全  キ:⑦消費者教育を受ける 

     ク:⑬国際消費者機構(CI) ケ:⑲消費者の責任  コ:⑫国際連合

  • ケネディ大統領が1962年『消費者の権利保護に関する大統領特別教書』でうたったことが、世界各国の消費者行政の基本理念になった
  • 4つの権利:安全を求める権利・知らされる権利・選ぶ権利・意見を聞いてもらう権利・消費者教育を受ける権利(1975年にフォード大統領が追加)

  • 1982年には、国際的な消費者団体である国際消費者機構(CI)が、8つの権利と5つの責務を提唱

  • 消費者の8つの権利:生活の基本的ニーズが保障される権利・安全である権利・知らされる権利・選ぶ権利・意見を反映される権利・補償を受ける権利・消費者教育を受ける権利・健全な環境の中で働き生活する権利

  • 消費者の5つの責務:批判的意識・自己主張と行動・社会的関心・環境への自覚・連帯

消費生活相談員資格試験 2019年度(2回目) 2問

消費生活相談員資格試験   2019年度 2問 

2.次の文章の[ ]に入る最も適切な語句を、下記の語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

 

 【語群】

1. 速やかに  2. 60  3. 冷凍ギョウザ  4. 幼稚園で発生したプール事故 

5. 電子レンジ 6. こんにゃく入りゼリー  7. シュレッダー 

8. マグネットボール  9. カラーテレビ 10. 使用中止勧告  11. 30 12. 審決

13. 冷凍ほうれん草  14. 消費者安全調査 15. 評価 16. ガス瞬間湯沸器  

17. 住宅用太陽光発電システムから発生した火災等事故 18. 直ちに 

19. 注意喚起  20. 消費者事故防止

 

① 経済社会のグローバル化や情報通信技術の進展に伴い、商品・役務が多様化するにつれて、消費者事故も複雑化し、多発した。1990(平成2)年には[ ア ]の発煙・発火事故が相次ぎ、1995(平成7)年には乳幼児が[ イ ]を喉に詰まらせて死亡した事故の情報が国民生活センターから公表された。
また 2000(平成 12)年以降、[ ウ ]やエレベーターによる死亡事故、食品偽装事件や中国産[ エ ]による中毒事故等、暮らしの安全・安心を脅かす消費者事故が社会問題化した。こうした中で 2009(平成 21)年、消費者行政の司令塔としての機能を果たす消費者庁が創設されるとともに、消費者安全法が制定された。
同法に基づき、行政機関の長、都道府県知事、市町村長及び国民生活センターの長が得た「消費者事故等」の情報は消費者庁へ一元的に集約されることとなった。特に、死亡や[ オ ]日以上の治療期間を要するなどの「重大事故等」は、[ カ ]内閣総理大臣に通知しなければならないとされている。

 【解答】ア:⑨カラーテレビ イ:⑥こんにゃくゼリー ウ:⑯瞬間湯沸かし器

     エ:③冷凍餃子  オ:⑪30日以上 カ:⑱直ちに

  • 1990年(H2年)主な消費者問題:カラーテレビの発煙・発火事故相次ぐ、リゾートクラブ会員権のトラブル増加、輸入レモンからポスト・ハーベスト農薬検出、湾岸岸情勢の影響で石油製品の値上げ相次ぐ、マルチ、マルチまがい商法被害増
    加、悪質電話勧誘に関する苦情増加
  • 1995年(H7年):国民生活センターこんにゃくゼリー窒息事故情報公表
  • 2006年(H18年):シュレッダーによる幼児の指切断事故、シンドラー社エレベーター事故、「消防法」改正(住宅用火災報知機等の設置義務付け)、パロマ工業社製のガス瞬間湯沸器の一酸化炭素中毒死亡事故問題の顕在化
  • 2008年(H20年):ミートホープ事件等の食品偽装表示事件の発覚、中国冷凍ギョウザ問題、事故米穀不正規流通問題
  • 消費者安全法上の「重大事故等」とは、死亡・負傷・疾病であって、治療に要する期間が 30 日以上であるもの・一酸化炭素中毒
  • 消費者安全法12条:行政機関の長、都道府県知事、市町村長及び国民生活センターの長は、重大事故等が発生した旨の情報を得たときは、直ちに内閣総理大臣に対し、その旨及び概要を通知しなければならない。

 

② 消費者安全法の改正により、2012(平成 24)年に[ キ ]委員会が消費者庁に設置された。同委員会は、「生命身体事故等」の原因について、必要があると認めるときは自ら調査を行っており、2014(平成 26)年6月には、同委員会として初の調査結果となる[ ク ]の報告書が公表された。
そのほか、同委員会は、他の行政機関等による調査結果を消費者安全の視点から[ ケ ]しており、2014(平成 26)年1月には[ ウ ]に関する[ ケ ]結果が公表された。また、調査や[ ケ ]の結果に基づき、被害の発生・拡大防止等のための施策・措置を関係省庁に提言している。
こうした各種措置を通して、消費者庁は被害の発生又は拡大防止等の対策の企画立案・執行や、消費者への[ コ ]等を行っている。

 【解答】キ:⑭消費者安全調査 ク:④幼稚園で発生したプール事故 

     ケ:⑮評価 コ:⑲注意喚起

  •  消費者安全調査委員会は、消費生活上の生命・身体に係る事故について、必要があると認めるときは、自ら調査を行うほか、他の行政機関等により調査が行われている場合には、その調査結果を評価する。
  • 調査委員会が自ら調査を終了したときは、消費者安全法第31条に基づき、報告書を作成し内閣総理大臣に提出するとともに、公表。
  • 自然災害や、労働災害、公害は含まれない。また、運輸安全委員会の調査対象である航空事故、鉄道事故、船舶事故も対象外。
  • これまでに取り扱った案件◎ガス湯沸器事故◎幼稚園で発生したプール事故◎機械式立体駐車場で発生した事故◎子供による医薬品誤飲事故◎ハンドル形電動車椅子を使用中の事故◎エレベーター事故◎玩具による乳幼児の気道閉塞事故 等

消費生活相談員資格試験 2019年度(2回目) 1問

2019年度(2回目) 消費生活相談員資格試験 1問

1. 次の各文章が、正しければ〇、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

消費者基本法は、事業者は、その供給する商品及び役務について、消費者との間に生じた苦情を適切かつ迅速に処理するために必要な体制の整備等に努め、当該苦情を適切に処理することを定めている。しかし、国又は地方公共団体が実施する消費者政策に協力する責務までは求めていない。

【解答】 ✖ 消費者基本法 第5条 事業者の責務等

  • 消費者の安全及び消費者との取引における公正を確保すること。
  •  消費者に対し必要な情報を明確かつ平易に提供すること。
  •  消費者との取引に際して、消費者の知識、経験及び財産の状況等に配慮すること。
  • 消費者との間に生じた苦情を適切かつ迅速に処理するために必要な体制の整備等
    に努め、当該苦情を適切に処理すること。
  • 国又は地方公共団体が実施する消費者政策に協力すること 

 

消費者基本法は、消費者団体は、消費生活の安定及び向上を図るための活動に努めるものとしており、その活動には消費者に対する啓発及び教育も含まれる。

【解答】 〇 (消費者基本法第8条)

  • 消費者団体は、消費生活に関する情報の収集及び提供並びに意見の表明、消費者に対する啓発及び教育、消費者の被害の防止及び救済のための活動その他の消費者の消費生活の安定及び向上を図るための健全かつ自主的な活動に努めるものとする

 

消費者基本法は、国は、経済社会の発展に即応して、消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念にのっとり、消費者政策を推進する責務を有するとしている。

【解答】 〇 (消費者基本法第3条 国の責務)

  • 国は、経済社会の発展に即応して、前条の消費者の権利の尊重及びその自立の支援その他の基本理念にのつとり、消費者政策を推進する責務を有する

 

④ 「訪日観光客消費者ホットライン」は、日本を訪れた外国人観光客が日本滞在中に消費者トラブルにあった場合に相談できる電話相談窓口であり、国民生活センターが運営している。

【解答】 〇

  • 日本国内での訪日観光客の消費者トラブルの増加が予想されることから、国民生活センターでは、平成 30 年 12 月 、訪日観光客向け(専用)の電話による消費者相談窓口(名称:訪日観光客消費者ホットライン)を開設
  • 対応言語は、英語、中国語、韓国語、タイ語ベトナム語、日本語の 6 ヵ国語
  • 相談対象:日本滞在中の消費者トラブル(商品の購入、飲食、宿泊、交通機関の利用等に伴うトラブル)※消費者トラブル以外の相談(観光情報、落とし物・忘れ物、事件・事故、病気・ケガなど)は他の相談窓口を紹介

 

⑤ 消費者委員会は、消費者庁内部に設置された審議会として、各種の消費者問題について自ら調査・審議を行うとともに、消費者行政全般に対する意見表明や内閣総理大臣等の諮問に応じた調査・審議を実施している。

【解答】 ✖ ➡ 消費者庁内部ではなく、内閣府に設置 

  • 消費者委員会は、独立した第三者機関として、平成21年(2009年)内閣府に設置

  •  各種の消費者問題について、自ら調査・審議を行い、消費者庁を含む関係省庁の消費者行政全般に対して意見表明(建議等)を行う

  • 内閣総理大臣、関係各大臣又は消費者庁長官の諮問に応じて調査・審議を実施

  •  消費者委員会は、内閣総理大臣が任命した委員(10人以内)で組織

  •  消費者委員会本会議のほか、新開発食品調査部会、食品表示部会、公共料金等専門調査会などの部会・専門調査会等を設置

 

医療機関ネットワーク事業は、消費者庁国民生活センターの共同事業として実施され、消費生活において生命又は身体に被害を生ずる事故にあい、医療機関を利用した被害者の事故情報を、医療機関から収集するものである。

【解答】 〇

  • 消費者庁国民生活センターが共同で実施し、消費生活において、製品やサービス、施設等を利用していてけがをするなどの事故に遭い、医療機関を受診した消費者から、事故の情報を収集

  • 収集した情報は、国の関係機関等で注意喚起や安全対策など事故の再発防止への取り組みに

 

⑦ 消費者安全法は、消費生活センターの設置基準の一つとして、消費生活相談・あっせん業務に係る窓口を、週3日以上開設していることを定めている。市町村の消費生活センターの設置基準は、都道府県のそれと基本的には同様である。

【解答】 ✖ ➡ 週3日以上ではなく、週4日以上

  • 消費生活センター設置要件(消費生活相談員を配置していること・電子情報処理組織(PIO-NET)を備えていること・週4日以上消費生活相談・あっせんを行っていること

 

都道府県及び市町村は、消費者安全法によって、消費生活相談員の適切な処遇や研修の実施等の措置を講じ、消費生活相談員等の人材の確保及び資質の向上を図るよう努めることとされている。

【解答】 〇 消費者安全法11条

  •  都道府県及び市町村は、消費生活相談員の適切な処遇、研修の実施、専任の職員の配置及び養成その他の措置を講じ、消費生活相談員の人材の確保及び資質の向上を図るよう努めるものとする

消費生活相談員資格試験 2109年度(1回目) 論文試験(文章例)

2019年度(1回目) 消費生活相談員資格試験 論文試験

次の2つのテーマのうち1 つを選び、1,000 字以上1,200 字以内で論文にまとめ、解
答用紙に記入しなさい。

【テーマ1】
 最近の消費者トラブルの状況などを踏まえ、消費者教育がなぜ必要か、また、消費
者教育はどうあるべきかについて論じなさい。なお、論述に当たっては、以下を踏ま
えること。
1.以下の指定語句をすべて用いること(順不同)。
2.指定語句は、単に語句として用いるだけでなく、その意味するところが明確になるよう
に、適切に用いること。
3.文章中の指定語句の箇所には、分かるように必ず下線を引くこと。同じ指定語句を複数
回用いる場合、下線は1回目の箇所についてのみ引けばよい。
4.消費生活センター・消費生活相談窓口、消費生活相談員等の役割を考慮すること。

指定語句

 消費者教育推進法、消費者市民社会、成年年齢の引下げ、学校教育、
 地域における消費者教育

 

 消費者は店舗販売における商品やサービスの購入だけでなく、インターネット通販やカタログ販売など、技術進歩、国際化、生活の多様化により、様々な商品やサービスを、様々な方法で購入している。

そして、それに伴い、消費者トラブルも多様化、複雑化、公になることが遅れる傾向がでてきている。

 全国の消費生活センターにも、携帯電話、パソコン等の通信機器の普及、アダルト、出会い系など悪質サイトからの不当請求や架空請求メール、インターネット通販、オンラインゲーム、SNS、ワンクリック請求など通信サービス、通信サービルを通じた消費トラブル相談が多く寄せられており、消費者トラブルの低年齢化も問題となっている。

 また、新しい商品の発売、便利な決済方法の出現、国境を越えた商品の購入が日常となり、消費者が身につけておくべき知識は日々変化している。

 これらに対応するため、消費者教育推進法が制定され、消費者は、生涯にわたって消費生活について学習する機会が求められ、学校、地域、家庭、職域その他の様々な場を通じ、消費生活に関する教育を充実する必要としている。

 特に、最近の民法改正により20歳から18歳へ成年年齢の引下げられたことは、商品の購入、契約の責任が18歳まで引き下がることになり、若者の消費、契約、様々な取引に関する判断能力を向上させることが急務であり、学校教育の場でも消費者教育の強化が求められている。

 また、都市部に限らず地方でも、高齢者の消費者被害状況を考えると、地域における消費者教育の場の確保も求められている。

 消費者教育は、書籍を読んだり、法律を覚えるだけでは、被害防止につながる効果が少ないことから、消費生活センター及び消費生活相談員等の知識、経験を活かした、事例をもとにした教育が必要と考える。

一方、消費者トラブル、被害から自分を守ることに加え、自ら消費することが、地域、日本、世界の人々にどのような影響を与えるのか、与えているのかを考えることも必要である。

 環境を損なわない、環境にやさしい消費を考える。児童労働、労働搾取、途上国のことを考慮した消費を考える。そして地域社会、経済を応援する消費についても考える。このような考えは「エシカル消費(倫理的な消費)」として、定着しつつある。

これら「消費者教育」「エシカル消費」などを推進していくにあたってのキーワードが「消費者市民社会である。

「消費者市民社会」とは、消費者一人一人が、自分だけでなく周りの人々や、将来生まれる人々の状況、内外の社会経済情勢や地球環境にまで思いを馳せて生活し、社会の発展と改善に積極的に参加する社会を意味している。

 このように高度化、複雑化する社会で、どのように消費をし、その消費を価値あるものにしていくのかそれは個人個人に問われている一方、消費生活センターなどが相談窓口に加え新たな役割としてとらえていくべきと考える。(1187文字)

 

 

  

【テーマ2】
 インターネット取引における消費者トラブルの事例と特徴を具体的に挙げつつ、被
害救済や被害防止のために、消費生活センターはどう対応すべきかについて論じなさ
い。なお、論述に当たっては、以下を踏まえること。
定語句

 非対面取引、SNS、個人間売買、越境消費者取引、特定商取引法

 

「有料の認識がないままサイトを進んだところ、料金の請求画面が表示された」「アダルトサイトの請求画面がパソコンの画面に張り付いて取れない」などアダルト情報サイトの相談は最近が減少してきているが、累積上一番多い相談ではないか。

 「サラサイト商法」は、サイト業者に雇われた“サクラ”が異性、芸能人、富裕者、占い師などのキャラクターになりすまして、消費者のさまざまな気持ちを利用し、サイトに誘導し、メール交換等の有料サービスを利用させ、その度に支払いを続けさせるサイトに関する相談も後を絶たない。

 「無料と思い孫に自分のスマートフォンを使わせたら、利用料金が3万円と高額な請求がきた」など、若者を中心にオンラインゲームの相談も多くなっている。これも、クレジットカード、電子マネーが気軽に使えることになったこと、消費者がこれらの支払いの仕組みをあまりよく理解していないことが原因と考えられる。

 インターネットでは非対面取引であるため、相手の顔、素性、信用性が分からないまま取引するのでトラブルが多くなる。消費生活センターでは、相談があった場合、特定商取引法や電子消費者取引法などを活用し契約の取り消し、返金交渉などを行いますが、相手と連絡がとれなくなると、解決方法がなくなります。

  また、「落札した中古車に、納車後すぐに不具合がおきた」「落札した携帯電話機が送られてこない」など、インターネット等のネットワークを利用して行われるオークションのトラブルも増加している。これは、個人間売買であるため、オークション主催のネット業者から「個人間で解決してください」と言われたり、相手が事業者でないと適用されない、消費者契約法特定商取引法が活用できないこともあり、簡潔な困難なケースである。

 さらに最近は、SNSに表示された広告がきっかけとなったトラブル「SNSの広告を見て「お試しサプリメント」を注文したが、定期購入になっていた」、SNSの知人がきっかけとなったトラブル「SNSの知人から、マルチ商法に勧誘された」など、SNSを利用したために、消費者トラブルに巻き込まれる相談も増加している。

 そして、ネットの世界は国境がない。日本人をターゲットに、日本語で運営されているサイトが多数確認されているが、サイトの表記は日本語だが、海外事業者が運営しており、日本語表記のため安心して取引できるように見せかけて、偽物の商品を販売するサイト、取引後に全く連絡が取れなくなるサイトなどのトラブル相談も多く寄せられている。このような越境消費者取引に対応するため国民生活センターでは、越境消費者センターを開設している。

 ネットトラブルは解決は困難なため、おかしいなと思ったら消費生活センターにすぐ相談すること、そしてこのような情報を集積している各地の消費生活センターが、様々な場所で出前講座や情報提供など啓発活動を積極的に行うことが必要である。(1190文字)

 

 

 

 

 

消費生活相談員資格試験 2019年度 21.22.23問

2019年度 消費生活相談員資格試験 21問 22問 23問

21. 次の文章の[ ]に入る最も適切な語句を、下記の語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

 

 【語群】

1. 120 万円   2. 5 年   3. 年単位でできる   4. 18 歳以上   5. 20 年

6. 上場不動産投資信託J-REIT)  7. 40 万円   8. 上場投資信託ETF)  9. 15 年

10. いつでもできる   11. 20 歳以上    12. 15 万円    13. 公社債投資信託   14. できない

   

 「つみたて NISA」は、2018(平成 30)年1月からスタートした、特に少額からの長期・積立・分散投資によって、家計の安定的な資産形成を支援するための非課税制度である。利用できるのは、日本在住で、口座を開設する年の1月1日に[ ア ]の個人である。対象商品は、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と[ イ ]に限定されている。非課税対象は、一定の投資信託への投資から得られる分配金や譲渡益で、非課税で運用できる期間は最長[ ウ ]、非課税投資枠は新規投資額で毎年[ エ ]が上限である。年間の投資額が[ エ ]の上限に満たない場合でも、未使用分を翌年以降に繰り越すことはできない。
「つみたて NISA」は「一般 NISA」との選択制であり、両者を同時に併用することはできない。非課税期間中、「一般 NISA」から「つみたて NISA」へ、あるいは「つみたて NISA」から「一般 NISA」への変更は[ オ ]。

 【解答】ア:⑪20歳以上 イ:⑧上場投資信託 ウ:⑤20年 エ:⑦40万円

     オ:③年単位でできる

  • 2018年1月から「つみたてNISA」(積立型の少額投資非課税制度)がスタート

  •  年間40万円まで、20年にわたって、株式投資信託やETFを一定額ずつ積み立てていき、その間に受け取る普通分配金や配当、解約したときの利益が非課税になる制度

  • 20歳以上で日本に住む人

  • 上限は40万円までです。非課税期間は20年なので、合計800万円まで投資することができる

  • 購入できる商品は厳格な要件を満たす株式投資信託とETFに「限定」されます。

【一般NISA】 

  • 利用できる方 日本にお住まいの20歳以上の方

  • 非課税対象   株式・投資信託等への投資から得られる配当金・分配金や譲渡益
  • 非課税投資枠  毎年120万円が上限  最長5年間 合計600万円

 

22 次の文章の[ ]に入る最も適切な語句を、下記の語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

 

 【語群】

1. 30 年  2. 改正銀行法  3. 10 年  4. 預金保険機構 5. できなくなる  6. 日本銀行

7. 社会保障  8. できる  9. 20 年 10. 公共投資  11. 休眠預金等活用法

12. 民間公益活動の促進 13. 厚生労働省  14. 金融庁

   

 

2018(平成 30)年1月、[ ア ]が全体施行され、2009(平成 21)年1月1日以降の取引から[ イ ]以上一度も入出金等の取引のない預金等は、当該預金等が預け入れられていた金融機関から[ ウ ]に移管され、内閣総理大臣が定めた基本計画に基づき、[ エ ]に活用されることになった。預金等が休眠預金等として移管された場合、預金者等は取引のあった金融機関で引き出すことが[ オ ]。

 【解答】ア:⑪休眠預金等活用法 イ:③10年 ウ:④預金保険機構

    エ:⑫民間公益活動の促進 オ:⑧できる

  • 「休眠預金等」とは、10年以上入出金等の「異動」がない「預金等」

  • 「預金者等」は、いつでも「預金等」があった金融機関の窓口で「休眠預金等」の払戻しを受けることが可能

  • 金融機関は、休眠預金等を預金保険機構に納付し、 預金保険機構は、事業計画の実施に必要な金額を指定活用団体に交付する

 

23. 次の文章の[ ]に入る最も適切な語句を、下記の語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

 

 【語群】

1. 国立公園指定 2. 自動車 NOx・PM 3. 大気汚染防止 4. 炭化水素

5. 石綿アスベスト)6. 道路運送車両 7. 世界遺産登録 8. PM2.5

9. フロンガス長期モニタリング計画 10. 酸性雨長期モニタリング計画 11. 大都市

   

大気汚染防止法で「特定粉じん」に指定されている[ ア ]は、耐熱性や耐火性に優れているため、日本の高度経済成長期には鉄骨造建築物等の軽量耐火被覆材等として多く使われてきた。しかし空中に浮遊した[ ア ]を吸い込んで、じん肺や肺がん、中皮腫等を引き起こすことがわかり、現在、使用は全面的に禁止されている。
大気汚染の原因物質が、風等によって他国から運ばれてくることもある。浮遊粒子状物質の中でも微小粒子状物質である[ イ ]は、肺の奥まで入り込みやすく、呼吸器系への影響に加え、循環器系への影響も懸念されている。また、酸性雨についても国境を越えた被害が懸念されている。環境省(当時環境庁)では、1983(昭和 58)年度から酸性雨モニタリングを開始し、現在では「越境大気汚染・[ ウ ]」を策定し、これに基づいて[ イ ]や酸性雨等のモニタリングを実施している。
大気汚染を防止する国内の取組の一つとして、自動車から排出される物質による大気の汚染を防止するため、いわゆる[ エ ]法による車種規制が行われている。この規制により、[ オ ]地域で所有し、使用できる車が制限されている。

 

 【解答】ア:⑤アスベスト イ:⑧PM2.5 ウ:⑩酸性雨長期モニタリング計画

    エ:②自動車 NOx・PM オ:⑪大都市

  • 大気汚染防止法:大気汚染を防止し、国民の健康保護、生活環境の保全、被害者の保護を図ることを目的として、建築物解体等の作業の届出、建築物解体等の作業基準(吹付けアスベストアスベストを含有する保温材等の除去等)を規定
  • 平成14年には、酸性雨対策を推進していくため、「酸性雨長期モニタリング計画」を策定。その後、平成21年には、越境大気汚染問題への関心の高まりを受け、PM2.5等の粒子状物質も対象に加え、計画の名称を「越境大気汚染・酸性雨長期モニタリング計画」に改め、モニタリングを継続
  • 自動車NOx・PM法: ディーゼル自動車から排出される窒素酸化物(NOx)を抑制することを目的に、1992年に関東地方と関西地方の大都市圏を対象に制定された「自動車NOx法」が元。その後、法律が改正され、自動車NOx・PM法となった。この改正によって、規制対象物質としてPMが加えられ、対象地域として中京地方が追加された。

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 20問

消費生活相談員資格試験  2019年度(1回目) 20問

20. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。

国債や地方債等の有価証券や、㋑集団投資スキーム持分等のみなし有価証券の売買等の取引は、金融商品取引法の規制対象となる。外国為替証拠金取引(FX)や株価指数先物取引等のデリバティブ取引は、同法の㋒規制対象とならない

【解答】 ✖ ウ ➡ デリバティブ取引も金融商取引法の対象

  • 集団投資スキーム(ファンド)の持分を有価証券とみなして規制対象にした。集団投資スキームとは他者から金銭等の出資(拠出)を受け、 集めた出資金を用いて事業を行い、その事業から生じる収益等を出資者等に分配する、仕組み
  • いわゆるデリバティブ取引についても、規制対象範囲を拡大(通貨・金利スワップ取引天候デリバティブ取引も対象

  

② 保険法は、生命保険・損害保険等について、保険契約に関する㋐民事ルールを定めた法律である。保険契約については、消費者契約法民法の適用がある。

【解答】 〇 

  • 保険法は、保険契約に関する一般的なルールを定めた法律。保険契約の締結から終了までの間における、保険契約における関係者の権利義務等が定められている。
  • 保険法の規定よりも保険契約者に不利な内容の約款の定めは無効

金融商品販売法では、金融商品販売業者に重要事項についての説明義務違反、断定的判断の提供等があった場合に、金融商品販売業者に対する㋐損害賠償請求権㋑契約の取消権が定められている。クーリング・オフは定められていない。

【解答】 ✖ イ ➡ 金融商品販売法には取消権、クーリングオフ規定はない

  • 契約内容(重要事項等)について記載した書面の交付を義務づけ

  •  

    重要な事項について販売業者に説明義務を課し、また、販売業者に断定的判断の提供等を禁止し、その違反により損害を被った場合、販売業者に損害賠償請求ができる。立証責任は消費者側

 

④ 2017(平成 29)年6月に改正された銀行法では、電子送金サービスや口座管理サービスを行う「電子決済等代行業者」を定義し、㋐登録制を導入した。「電子決済等代行業者」に対しては、利用者に対する説明義務、㋑利用者のため誠実に業務を遂行する義務㋒銀行との契約締結義務を課している。

【解答】 〇

  • 「電子決済等代行業者」とは、複数の振込先への銀行振込の依頼をワンクリックで行うことができるサービス、預金口座の残高や利用履歴等の情報を銀行から取得・集計し、自動的に家計簿を作成するサービス

  • 規制:登録制の導入、利用者への適切な情報提供、銀行との契約締結義務

 

⑤ 資金決済法において、商品券やプリペイドカード等の前払式支払手段発行者は、原則としてその保有者への払戻しが㋐禁止されている㋑前払式支払手段発行者が業務を廃止した場合、または㋒第三者型発行者が登録を取り消された場合、発行者には、当該前払式支払手段の残高として同法施行令で定める額の払戻しが義務づけられている。

【解答】 〇

  • 商品券やプリカなどの前払式支払手段は、原則として払戻しが認められていない。少額である場合、利用者のやむを得ない事情から利用が困難になった場合は、例外としての払戻しが認められている

  •  発行・利用が廃止されたり、第三者型発行者が登録を取り消されたときは、未使用分の払戻しを受けることができる。手続きにしたがって60日以上の一定期間内に利用者から申し出る必要がある

  •  発行者が破産した場合、還付の手続きにしたがって60日以上の一定の期間内に申出をすることにより優先的に弁済(配当)を受けることができる。ただし、未使用分全額が戻ってこない場合もある

 

⑥ 保険会社は、保険募集に際して、㋐消費者の意向を把握し、これに沿った保険契約の締結等の提案や、㋑当該保険契約の内容の説明をする保険業法上の義務を負う。消費者の意向と当該保険契約の内容が合致していることを消費者が確認する機会の提供は、保険業法㋒努力義務とされている。

【解答】 ✖ ウ ➡ 意向把握は義務

 

⑦ 利息制限法に定める㋐上限金利を超える部分については、民事上無効である。業として金銭の貸付けを行う場合において、㋑年 29.2%を超える割合による利息の契約、受領、要求をした場合の処罰について定めた法律は出資法である。個人間の金銭の貸付けであっても、㋒年 109.5%(うるう年は 109.8%)を超える割合による利息の契約、受領、要求も処罰の対象となる。

【解答】 ✖ イ ➡ 15~20%となった

  • 2010年6月に上限金利が引き下げられ上限金利は、借入金額に応じて年15%~20%

  •  元本の金額が10万円未満のときの → 年20%

  • 元本の金額が10万円以上から100万円未満のとき → 年18%

  •  元本の金額が100万円以上のときの上限金利 → 年15%

  •  2010年6月18日以降、出資法の上限金利が29.2%から20%に引き下げられ、「グレーゾーン金利」が撤廃された

  

金融商品取引法第 40 条第1号は、いわゆる「適合性の原則」について定めており、金融商品取引業者は、㋐顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行って投資者の保護に欠けることがないように業務を行わなければならないと定めている。最高裁判所判例では、株価指数オプションの売り取引の事案において、㋒この原則を著しく逸脱したときは、民法上の不法行為に基づく損害賠償請求ができる場合があるとしている。

【解答】 〇 

  • 金融商品取引業者等は、業務の運営の状況が、次に該当することのないように、業務を行わなければならない。金融商品取引行為について、顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして、不適当と認められる勧誘を行って投資者保護に欠け、又は欠けるおそれがあること
  • 【適合性の原則に違反した場合】 行政法行政処分金融商品取引法第52条第1項第6号) 民事法 ⇒ 損害賠償請求(金融商品販売法第5条等)
  • 判例適合性の原則から著しく逸脱した証券取引の勧誘をしてこれを行わせたときは、当該行為は不法行為法上も違法となる。 顧客の適合性を判断するに当たっては、一般的抽象的なリスクのみを考慮するのではなく、具体的な商品特性を踏まえて、これとの相関関係において、顧客の投資経験、証券取引の知識、投資意向、財産状態等の諸要素を総合的に考慮する必要がある。

 

デリバティブ取引のうち、特定の期日(又は一定の期間内)にあらかじめ定めた価格によって原資産を買い取る(又は売り渡す)ことができる権利を売買する取引のことを、㋐オプション取引という。取り引きされる権利の価格は、一般的に、原資産の価格変動性(ボラティリティ)が大きいほど㋑高くなる。また、権利行使期限が近づくと、権利の価格は㋒上昇する

【解答】 ✖ ウ ➡ オプション終了時間まで時間が短ければ価格は低下する。

  • オプションとは、自分の都合に合わせて使うか使わないか決められる選択権のこと。デリバティブのオプションも同じように、選択権。ある金融商品あらかじめ決めておいた価格で売買するかしないかを選べる権利。売買で得をするときだけ権利を行使し、損をするようなときは権利を放棄すればよい
  • 価格変動によってオプションの価値が高まるかもしれないという期待感の値段を上げる。そのため、オプション終了時刻までの時間が長ければ長い程、時間価値は高くなり価格は高くなり、反対に、短ければ短い程低くなり価格は低下する。

 

社債発行企業の経営悪化等により債券の利息の支払いや元本の償還が滞ったり、支払い不能が生じたりする可能性のことを、㋐信用リスクという。格付けは、格付会社が社債発行企業について債務の支払能力等を評価したものであり、一般に、格付けが㋑BBB もしくは Baa 以上のものが投資適格債券と呼ばれる。他の条件が同じであれば、格付けの高い債券の方が低い債券よりも利回りは㋒低いとされる。

【解答】 〇 

  • 投資適格債券とはBBB格以上に格付けされた債券のこと。それよりさらに、低い格付けのものを「投機的格付債」または「ハイ・イールド債」と呼ぶ。格付けの低い社債はリスクが高いので利回りは高くなる。(格付けの高い、リスクの低い社債は利回りは低い)

 

⑪ 外貨建て生命保険は、外貨で保険料を払い込み、外貨で保険金や解約返戻金等を受け取る商品であり、㋐為替変動リスクがある。外貨で受け取った保険金等を日本円に換算した場合、その保険金等の金額が、円ベースでの払込保険料総額を㋑下回る可能性がある。また、通常、外貨から円に両替する際に、㋒為替手数料が発生する

【解答】 〇 

  • 為替相場変動のリスクとは、外国為替市場によって時々刻々変動するため、外貨建ての金融商品には、為替変動によって予期せぬ損益が生じる場合がある。
  • たとえば10,000$の外貨を1$=110円で購入した場合、もし為替相場が同じだった場合は、その価値は110万円のままであるが、1$=120円(円安)になると、10,000$×120=120万円に上昇する。1$=100円(円高)になると、10,000$×100=100万円に下落する。
  • 購入時点より「円安」になると利息や償還金の手取り額が増え、購入時点より「円高」になると利息や償還金の手取り額が減る
  • 償還金や利息を外貨のままで受け取る場合には、この為替の影響は無視することができる。しかし、償還金や利息を「円」で受け取る場合には、為替相場の影響を受ける。

 

⑫ ラップ口座とは、金融機関と投資家との間で㋐投資一任契約を結び、金融機関が投資家に代わって投資判断や運用(売買)・管理を一括して行う口座(金融サービス)である。そのうち、投資対象が投資信託に限定されているものを㋑ファンドラップという。ラップ口座には、㋒元本保証はない

【解答】 〇 

  • ラップ口座では、投資一任契約にもとづいて、運用管理を行う口座。
  • 投資一任契約とは、運用会社に、投資判断の全部を一任し、この投資判断にもとづいてお客様にかわって投資するために必要な権限を当社に委任する契約
  • 投資信託を中心に投資するラップ口座」は、「ファンド(投資信託)・ラップ」という名称で呼ばれている。
  • 投資信託等を主な投資対象として運用を行うため、投資元本は保証されるものではない 

  

少額短期保険業とは、保険金額が少額かつ保険期間が短期の保険の引受けのみを行う事業であり、少額短期保険業者は、内閣総理大臣㋐免許が必要である。少額短期保険には、クーリング・オフ制度が㋑適用される場合がある。また、少額短期保険業者が破たんした場合は、保険契約者保護機構の制度による㋒補償を受けることはできない

【解答】 ✖ ア ➡ 免許制ではなく登録制

  • 保険業のうち、保険期間が2年以内であって、保険金額が1,000万円を超えない範囲内
  • 保険契約者保護機構はなし(その旨、募集時に書面交付により説明し、保険契約者から当該書面を受領した旨の署名又は押印を得る。)
  • クーリングオフは保険期間が1年を超える保険契約を対象としている。したがって、保険期間が1年以内の少額短期保険契約は、原則としてクーリング・オフの対象となりません。