消費生活相談員資格試験 過去問解説

消費生活相談員資格試験対策としては過去問を多く解くことが近道です。しかし、過去問の回答の解説がなかなか市販されていないため、独自で作成

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 18問

消費生活相談員資格試験  2019年度(1回目) 18問

18. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。

民事訴訟法では、地方裁判所民事訴訟において、訴えは、㋐判決が確定するまで㋑その全部又は一部を取り下げることができる。相手方が本案について準備書面を提出し、弁論準備手続において申述をし、又は口頭弁論をした後は、㋒相手方の同意がなくても取下げの効力が生じる

【解答】 ✖ ウ 民事訴訟法 261条 口頭弁論後は、相手の同意がなければその効力を生じない。

  • 訴えは、判決が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる

  • 訴えの取下げは、相手方が準備書面を提出し、又は口頭弁論をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない
  • 訴えの取下げは、書面でしなければならない。ただし、口頭弁論期日においては、口頭ですることを妨げない。
  • 訴えの取下げの書面の送達を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、訴えの取下げに同意したものとみなす。

  

民事訴訟法では、金銭㋐その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、公示送達によらずに送達することができる場合、債権者の申立てにより、裁判所書記官は、書類審査のみで支払督促を発することができる。なお、仮執行の宣言を付した支払督促に対し督促異議の申立てがないときは、支払督促は㋒確定判決と同一の効力を有する。

【解答】 〇 

  • 支払督促は、金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について、債権者が簡易迅速に債務名義を取得するため、簡易裁判所書記官が行う処分のことです。
  • 債権者が簡易裁判所の書記官に申立てを行い、債務者の言い分を聞くことなく、支払督促を債務者に送達。債務者は、2週間以内に異議申立てがない場合、仮執行宣言付き支払督促を送達

  • さらに、債務者は、2週間以内に異議申立てがない場合、確定判決と同一の効力

 

③ 民事裁判において、被告は、裁判所に答弁書を提出して第1回期日に欠席した場合、答弁書の記載事項を陳述したものとみなされる答弁書を提出せずに第1回期日に欠席した場合、原則として㋑原告主張の事実を自白したものとみなされる。判決が下された場合、その判決に不服がある当事者は、判決書等の送達を受けた日の翌日から、原則として㋒2週間以内に控訴することができる。

【解答】 〇

  • 第1回目の口頭弁論期日において、原告は 訴状 を陳述し、また、被告は 答弁書 を陳述する

  • いずれかが欠席しても審理を開始するため、訴状または答弁書、その他の準備書面に記載した事項が陳述したものとみなされる。つまり、原告が欠席する場合には、訴状や準備書面に書かれたことが陳述したものとして扱われ、また、被告が欠席する場合には、答弁書準備書面に記載された事項が陳述されたものとして扱われる

  •  第2回目以降の口頭弁論期日に当事者が欠席する場合には陳述擬制は行われず、欠席した当事者は不利な扱いを受ける。つまり、相手方の主張を認めるという扱いを受ける

  •  第一審裁判所の判決に不服のある当事者は,判決送達日から2週間以内に上級裁判所に対して控訴をすることができ,第二審(控訴審)裁判所の判決に不服のある当事者は,上告をすることができます

 

景品表示法は、㋐商品及び役務の取引について、一般消費者による㋑自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為を規制している。所管省庁は、消費者庁である。

【解答】 〇

  • 景品表示法は、正式には、不当景品類及び不当表示防止法
  • 実際より良く見せかける表示が行われたり、過大な景品付き販売が行われると、それらにつられて消費者が不利益を被るおそれがある。
  • 景品表示法は、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを規制するとともに、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限
  • 地方における執行体制の確保等のため公取委に調査権限を委任。

 

景品表示法に違反する優良誤認表示又は㋐有利誤認表示を行った事業者に対しては、内閣総理大臣は、課徴金の納付を命じなければならない。ただし、当該事業者が、㋑不当表示に該当することを知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠った者ではないと認められるときは、課徴金の納付を命じることができない。当該事業者より課徴金対象行為に該当する事実の報告があった場合、原則として、㋒課徴金の額の全額が免除される

【解答】 ✖ ウ ➡(景品表示法9条)事業者が、課徴金対象行為に該当する事実を、消費者庁長官に報告したときは、課徴金額が50%相当額減額されます

  • 優良誤認表示や有利誤認表示をした事業者に対する課徴金制度
  • 景品表示法8条1項:自らした表示が景品表示法8条1項1号または2号に該当しないことを「知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠つた者でないと認められるとき」は、消費者庁長官は、課徴金の納付を命ずることができない
  • 課徴金対象行為の対象となった商品・サービスの「売上額」が5,000万円未満(課徴金額が150万円未満)であるときは、課徴金納付命令を受けることはない

 

消費者契約法に規定される㋐適格消費者団体は、事業者が、不特定かつ多数の一般消費者に対して景品表示法に違反する所定の行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、差止請求権を行使できる。差止請求の対象となるのは、㋑不当な景品類の提供㋒不当表示(優良誤認、有利誤認)である。

【解答】 ✖ イ ➡ 景品の提供は差し止め請求権の対象外

  • 事業者の不当な行為に対して、適格消費者団体が差止めを求めることができる
  • 事業者に対し、業務改善を申し入れ、(交渉不成立の場合)事業者に対し、提訴前の書面による事前請求、裁判所への訴え提起、判決または裁判上の和解
  • 消費者契約法」「景品表示法」「特定商取引法」「食品表示法」に違反する不当な行為
  • 具体的には、「不当な勧誘」「不当な契約条項」「不当な表示」

  

個人情報保護法では、「匿名加工情報取扱事業者」は、匿名加工情報(自ら個人情報を加工して作成したものを除く)を第三者に提供するときは、あらかじめ、第三者に提供される匿名加工情報に含まれる㋐個人に関する情報の項目及びその㋑提供の方法について公表する必要がある。当該第三者に対して、当該提供に係る情報が匿名加工情報である旨を㋒明示することは不要である

【解答】 ✖ ウ ➡  匿名加工情報を第三者に提供するときは、項目及び匿名加工情報の提供の方法を公表が必要

  • 匿名加工情報とは、特定の個人を識別することができないように個人情報を加工し、当該個人情報を復元できないようにした情報
  • 匿名加工情報は、一定のルールの下で、本人同意を得ることなく、事業者間におけるデータ取引やデータ連携を含むパーソナルデータの利活用を促進することを目的に個人情報保護法の改正により導入
  • 匿名加工情報を作成した事業者は、遅滞なく、ホームページ等を利用し、当該匿名加工情報に含まれる個人に関する情報の項目を公表
  •  匿名加工情報を第三者に提供するときは、予めホームページ等で第三者に提供する匿名加工情報に含まれる項目及び匿名加工情報の提供の方法を公表

  

個人情報保護法において、「個人情報取扱事業者」は、個人情報を取り扱うにあたっては、その利用の目的を㋐できる限り特定しなければならない。「個人情報取扱事業者」が、その利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と㋑関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて変更してはならず、変更された利用目的を㋒本人に通知し、又は公表しなければならない

【解答】 〇 

  • 個人情報保護法第 15 条第 1 項)個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たって、利用目的をできる限り特定しなければならない
  • 取得した個人情報は、特定した利用目的の範囲内で利用する必要がある
  • (16 条第1項)特定した利用範囲以外のことに利用する場合は、あらかじめ本人の同意が必要