消費生活相談員資格試験 過去問解説

消費生活相談員資格試験対策としては過去問を多く解くことが近道です。しかし、過去問の回答の解説がなかなか市販されていないため、独自で作成

消費生活相談員資格試験 30年度 16問

平成30年度 消費生活相談員資格試験 16問

16. 次の各文章が、正しければ〇、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

電気通信事業法では、電気通信事業者及び代理店は、所定の電気通信の役務の提供に関する契約をしようとするときは、原則、㋐書面を交付して電気通信役務に関する料金等の概要を消費者に説明する義務がある。説明に際しては、消費者の知識、経験、契約締結の目的に照らして、㋑当該消費者に理解されるために必要な方法及び程度によるものでなければならない。事業者が説明義務を果たさなかった場合、消費者は、電気通信事業法の規定に基づいて、㋒その契約を解除することができる

【解答】 ✖ ウ ➡ 規定事項であるが契約解除要件ではない

  • イは適合性の原則電気通信事業者は、利用者の知識、経験、契約の目的に照らし合わせて、利用者に理解されるために必要な方法、程度で提供条件概要を説明しなければならない。 

 

電気通信事業法において、電気通信事業者は、所定の電気通信の役務の提供に関する契約が成立したときは、その契約内容を明らかにした書面(契約書面)を㋐遅滞なく消費者に交付しなければならないが、㋑事業者の判断により書面に代えて電磁的な方法で提供することも認められている。また、契約書面には㋒「契約書面の内容を十分に読むべき旨」の記載をしなければならない

【解答】 ✖  イ ➡ 書面を電子交付する場合は、消費者の承諾が必要

  • 電気通信事業者は、契約が成立したときは、遅滞なく利用者に契約書面を(8ポイント以上の文字)交付しなけれなばならない。
  • 書面を電子交付するときは、あらかじめ利用者に電子交付方法の種類内容を提示して、電子メール、ウエブサイト等により、利用者の明示的な承諾を得なければならない。電話や口頭のみでの承諾取得は認められず署名・クリック等により利用者からの能動的な意思表示が必要。
  • 電子交付のみしか選択肢がないのは不適切。 

 

③ インターネット上で商品を購入するため、消費者がクリック等の画面上の操作により事業者に申込みの意思表示をしたとき、事業者の承諾の意思表示が消費者に到達しなかった場合は、電子消費者契約法により㋐契約は成立しない。また、事業者が消費者の申込みの意思表示について確認を求める措置を行っている状況で、申込みの意思表示をした消費者自身に重過失による錯誤があった場合、消費者は㋑契約の無効を主張することができない。消費者がウェブ上の情報を見て商品の購入を決断し、事業者が準備した申込みフォームを利用せずに、事業者に電子メールを送信して契約を締結した場合、電子消費者契約法㋒対象とならない

【解答】 〇

  • 電子消費者契約法で、消費者がウエブ上で申し込み、事業者から承諾通知が電子メール等で到達時に契約が成立する。電子メールの場合、承諾メールが申込者のサーバーの中のメールボックスに記録された時点で契約が成立する。
  • ウエブ上フォームで申し込むところを、消費者が自由に契約内容を入力した内容を電子メール等で送信して申し込む場合はクリック等の錯誤無効を主張できない。電子消費者契約の対象外。 

 

④ 割賦販売法上、包括信用購入あっせん業者には登録制が導入されており、個別信用購入あっせん業者には㋐届出制が導入されている。また、包括信用購入あっせん業者には㋑苦情発生時の適切処理義務があり、個別信用購入あっせん業者には訪問販売業者等の加盟店契約締結時や苦情発生時等の加盟店調査義務がある。包括信用購入あっせん業者、個別信用購入あっせん業者のいずれにも、㋒過剰与信防止義務がある

【解答】 ✖ ア ➡ 個別信用購入あっせん業者も登録制 

  • 【割賦販売法上の開業費規制】「個品割賦」なし、「包括信用購入あっせん業者」:登録制、「個別信用購入あっせん業者」登録制
  • カード会社には業務適正化義務(割販法30条の5の2)があり、購入者等からの苦情の適切かつ迅速な処理をしなければならない。
  • 2016年(H28)の法改正により、イシュア―の加盟店調査義務が、アクワイアラーへの苦情伝達義務に修正された。
  • 業務適正化義務はマンスリークリアーには適用されないが、クレジット協会の自主規制には苦情の伝達に努めるとの設定が設けられた。
  • 過剰与信禁止、支払総額のうち、1年間の支払額が、調査した「個別支払い可能見込み額」を上回る時は、クレジット契約の締結は禁止。 

 

⑤ 包括信用購入あっせんを利用して通信販売業者から商品(4万円以上)を購入した場合、割賦販売法上、通信販売業者の債務不履行を理由とする解除は包括信用購入あっせん業者に対する㋐抗弁事由となる㋑広告に返品の可否等の記載がない場合の特定商取引法に規定する解約返品権㋒広告に記載された解約返品特約による解約申出は、抗弁事由となる。

【解答】 〇

  • 個別信用購入あっせんに導入されたクーリングオフ、過量販売解除権、不実告知取消権ルールは包括信用には導入されておらず、支払い停止抗弁で対応するしかない。
  • 支払い停止抗弁の適用は、分割の場合4万円以上リボ払いの場合、現金販売価格が3万8千円以上。  

 

⑥ 2016(平成 28)年改正以前の割賦販売法においては、クレジットカード番号情報の安全管理義務は、包括信用購入あっせん業者のほか、㋐二月払購入あっせん業者㋑立替払取次業者について規定されていた。改正により、㋒カード加盟店にも規定された。

【解答】 〇 

  • 「クレジットカード番号等取扱業者」(イシュア―、アクワイアラー、加盟店)はカード番号の漏洩、滅失等の防止など適切な措置を講じる。
  • また、「クレジット番号等取扱受託業者」(決済代行業者)に対し、必要な指導、措置を講じる義務を負う。
  • 加盟店はクレジットカード端末のIC化によるクレジットカード番号の不正防止の措置の義務を負う。 

 

⑦ 割賦販売法上の個別信用購入あっせんを利用した訪問販売による取引の際に、個別信用購入あっせん業者は、購入者の支払可能見込額を調査するため㋐指定信用情報機関の信用情報を照会する義務を負い㋑購入者から年収を確認する資料の提出を受ける義務を負う。購入者の保護に欠ける加盟店の行為に関する情報を取得したときは、㋒加盟店情報交換制度を運営する認定割賦販売協会に報告する義務を負う。

【解答】 ✖ イ ➡ 支払い能力調査義務はあるが、年収等は自己申告等により提出の義務はない。 

  • 指定信用情報機関CIC、JICC
  • 加盟店調査義務:個別信用購入あっせん業者には特定商取引を行う事業者の、加盟店調査義務があり、経済産業大臣から認定を受けた「加盟店情報交換センター」に利用者保護にかける行為に関する情報を報告する。

 

⑧ 割賦販売法上の個別信用購入あっせんを利用して訪問販売により商品を購入する取引で、その取引は特定商取引法上において規定する過量販売ではないが、過去の取引と合わせると過量販売となる場合、㋐過去の取引を含めて過量販売となることを今回の販売業者が認識していることが、購入者が当該販売契約を過量販売解除するための要件である。購入者が当該販売契約とともに個別信用購入あっせん契約も過量販売解除するには、㋑個別信用購入あっせん業者については過量性の認識は要件とされない。個別信用購入あっせん契約を過量販売解除した場合、購入者は㋒個別信用購入あっせん業者に対して既払金の返還を請求できる

【解答】 〇  

  • 過量販売解除で次々販売の場合、すでに消費者の日常生活において通常日知用とされる分量を著しく超える状態であることを知りながら、販売した場合は解除できる。
  • 2008年(H20)改正により、個別クレジット契約にも過量販売解除権が導入された。個別クレジット会社が過量販売であることを知っていたかは要件ではなく、個別クレジット会社が知らなかった場合でも解除できる
  • 個別クレジット会社は消費者に違約金、建て替え相当額の請求はできない。 

 

⑨ 割賦販売法上の個別信用購入あっせんを利用して訪問販売により商品を購入する取引で、販売業者が商品の性能について不実告知を行った場合において、㋐個別信用購入あっせん業者が加盟店調査義務を怠ったか否かにかかわらず、購入者は個別信用購入あっせん契約の取消しが主張できる。個別信用購入あっせん業者が購入者からの不実告知取消しに関する苦情を確認したときは、㋑1件の苦情でも加盟店調査義務が発生する。不実告知取消しが認められる場合は、購入者は㋒未払いのクレジット債務の支払拒絶だけでなく、既払金の返還請求もできる。

【解答】 〇 

  • クーリングオフと異なり、みなし規定はないので、特商法上の取り消しと、個別クレジットカードの契約の取り消しはそれぞれ行わなければならない
  • 取り消しの行使期間は追認できる時から6か月が1年に伸びた。契約締結時から5年で時効。