消費生活相談員資格試験 過去問解説

消費生活相談員資格試験対策としては過去問を多く解くことが近道です。しかし、過去問の回答の解説がなかなか市販されていないため、独自で作成

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 6問

消費生活相談員資格試験  2019年度(1回目) 6問

6. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

① 「クリーニング事故賠償基準」では、賠償額は、㋐物品の再取得価格に、物品の購入時からの経過月数に対応して定める補償割合を乗じて算定する。一方、クリーニング業者が賠償額の支払いと同時に利用者の求めにより事故物品を利用者に引き渡すときは、㋑賠償額の一部を免れることができると規定されている。なお、利用者とクリーニング業者との間で㋒賠償額の特約を結ぶことも可能であると規定されている。

【解答】 〇 

  • (賠償基準第4条)賠償額=物品の再取得価格×物品の購入時からの経過月数に対応して別表に定める補償割合
  • (6条)クリーニング業者が洗たく物を受け取った日より90日を過ぎても仕事の完成した洗たく物を客が受け取らず、かつ、これについて客の側に責任があるときは、クリーニング業者は受け取りの遅延によって生じた損害についてはその賠償責任を免れる。

  •  (7条)客が洗たく物を受け取った後6ヵ月を経過したときは、クリーニング業者は本基準による賠償額の支払いを免れる

  • 民法上、賠償基準とは別に、お互いの合意で特約を締結することは可能。(例えば、母親の形見の衣類なので事故にあった場合は、基準額の2倍を請求できるなど

 

 

② 繊維製品品質表示規程における「取扱い表示」は、日本工業規格(JIS)に規定する記号で、㋑洗濯処理記号、漂白処理記号、乾燥処理記号、アイロン仕上げ処理記号、商業クリーニング処理記号の5個の「基本記号」と、「付加記号」や「数字」の組合せで構成される。「取扱い表示」は、㋒着用などによって付着する汚れを最も効率的に除去できる方法を表示することになっている。

【解答】 ✖ ウ ➡

  •  「取扱表示」とは、日本工業規格L〇〇〇一(繊維製品の取扱いに関する表示記号及びその表示方法)の三に規定する記号
  • 取扱表示は必要な情報を消費者に提供するためにあり、最も効率的に行うため、結果を重視したものではない。

  

③ 消防法において、旅館、ホテル、病院など不特定多数の人が出入りする施設・建築物で使用される㋐カーテン㋑じゅうたん㋒劇場等で使用される舞台幕等は、消防法に定められた防炎性能基準の条件を満たした「防炎物品」であることが義務づけられている。

【解答】 〇 

  • ホテルや旅館などの火災では、火災時にカーテンやじゅうたんなどが火災を拡大する原因になりやすいため、カーテンやじゅうたんなどには防炎物品の使用が義務づけられている。

 

 

④ 栄養機能食品の対象食品は、消費者に販売される容器包装に入れられた㋐一般用加工食品及び一般用生鮮食品である。栄養機能食品では、食品表示基準別表に掲げる表示以外の機能表示は認められておらず、例えば、㋑「ビタミンB1は、夜間の視力の維持を助け、疲れ目の解消に役立つ栄養素です」㋒「ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です」などは認められている。

【解答】 ✖ イ ➡ 疲れ目の方になど特定の保険用途は表示できない

  • 例えば、「ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です。」や「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。」のように、その機能を表示することができる。
  • 機能の表記は、食品表示基準に従い、規格に定められた栄養成分以外の成分の機能や、「疲れ目の方に」などといった特定の保健の用途は表示できない

 

⑤ 機能性表示食品制度は、生鮮食品を含むすべての食品が対象である。しかし、㋐アルコールを含有する飲料等は対象外とされている。事業者は、届出をしようとする食品の安全性について、まず食経験の評価を行い、食経験に関する情報が不十分である場合には、㋑既存情報により評価を行う。それでも不十分な場合には、㋒安全性試験を実施して評価を行う。

【解答】 〇 

  • 生鮮食品を含め、すべての食品が対象となるが、特別用途食品(特定保健用食品を含む。)、栄養機能食品、アルコールを含有する飲料等は除く
  • 安全性の確保は、喫食実績による食経験の評価・データベースの2次情報などを用いた情報収集・最終製品又は機能性関与成分における安全性試験の実施による。

 

⑥ 遺伝子組換え食品には、遺伝子組換え農作物とそれから作られた食品、遺伝子組換え微生物を利用して作られた食品添加物がある。遺伝子組換え食品については、㋑安全性が確認されたもののみを流通させることができる仕組みとなっている。遺伝子組換え農作物を原材料とした加工食品で、遺伝子組換えの痕跡が検出できない油やしょうゆ等については、遺伝子組換えに関する㋒表示義務はない。

【解答】 〇 

  • 日本で流通している遺伝子組換え食品には、①遺伝子組換え農作物とそれから作られた加工食品、②遺伝子組換え微生物を利用して作られた食品添加物がある。
  • 科学的な評価を行い、流通させることが認められている遺伝子組換え食品は、平成30年2月時点では、じゃがいも、大豆、てんさい、とうもろこし、なたね、わた、アルファルファ、パパイヤ8品目です。
  • 油やしょうゆなど、組み換えられたDNA及びこれによって生じたたんぱく質が加工工程で除去・分解され、検出が不可能とされている加工食品については、遺伝子組換えに関する表示義務はない。

 

⑦ 食品の安全を守るための仕組みはリスク分析という考え方を基本としており、次の3要素から構成されている。食品安全委員会が科学的知見に基づいて食品健康影響評価(リスク評価)を行い、その結果に基づき厚生労働省農林水産省消費者庁環境省等が規制等の措置(リスク管理)を実施する。施策の策定にあたっては、消費者庁の総合調整のもと、行政機関、消費者、生産者、食品事業者等の間で情報の共有や意見の交換(リスクコミュニケーション)が行われる。

【解答】 〇

  • リスク評価:どのくらいの確率でどの程度ヒトの健康への悪影響が起きるかを科学的に評価すること。
  • リスク管理:リスク評価の結果を踏まえて、リスクを低減するための科学的に妥当で適切な措置(規格や基準の設定等)を実施すること。
  • リスクコミュニケーション:行政機関、消費者、生産者、食品事業者との間で、それぞれの立場から情報の共有や意見を交換すること。
  • リスク評価機関(食品安全委員会)リスク管理機関(厚生労働省農林水産省消費者庁環境省等)がそれぞれ独立して業務を行いながらも、消費者庁が総合調整をしながら、相互に連携している。

 

⑧ 一般用加工食品には、栄養成分表示が義務づけられている。食品単位は100g、100ml、㋐1食分、1包装、その他の1単位のいずれかとし、㋑熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量に換算したもの)の順に表示しなければならない。表示値は、㋒分析により値を得るほか、計算等によって求めることも可能である。

【解答】 〇 

  • 熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量に換算したもの)の表示が義務付けられている。
  • 食品単位は、100g、100ml、1食分、1包装、その他の1単位のいずれかを表示する(1食分である場合、1食分の量を併記して表示する。)。
  • 類似性が高い食品がデータベース等にある場合、その値を用いて計算する等、分析以外でも表示値を求めることができる。

 

⑨ 「食品表示基準」では、食品関連事業者に加工食品の製造所等の所在地及び製造者等の氏名又は名称の表示を義務づけている。ただし、製造所固有記号制度では、原則として同一製品を㋐2ヵ所以上の製造所で製造する場合、あらかじめ都道府県知事に届け出た㋒製造所固有記号の表示をもって、上記の表示に代えることができる。

【解答】 ✖ イ ➡ 都道府県知事」ではなく、「消費者庁

  • 「製造所の所在地及び製造者の氏名又は名称」等の表示を義務付けている。
  • 同一製品を2以上の製造所で製造している場合には、あらかじめ消費者庁長官に届け出た製造所固有記号の表示をもって「製造所の所在地及び製造者の氏名又は名称」の表示に代えることができる。