消費生活相談員資格試験 過去問解説

消費生活相談員資格試験対策としては過去問を多く解くことが近道です。しかし、過去問の回答の解説がなかなか市販されていないため、独自で作成

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 5問

消費生活相談員資格試験  2019年度(1回目) 5問

5. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

① 消費者教育推進法第1条においては、「消費者教育が、消費者と事業者との間の㋐情報の質及び量並びに判断力の格差等に起因する消費者被害を防止するとともに、消費者が自らの利益の擁護及び増進のため㋑自主的かつ合理的に行動することができるようその自立を支援する上で重要であることに鑑み、㋒消費者教育の機会が提供されることが消費者の権利である」としている。

【解答】 ✖ ア ➡「判断力の格差」ではなく「交渉力の格差」消費者基本法も同様

  • 消費者教育推進法1条:消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差等に起因する消費者被害を防止するとともに、消費者が自らの利益の擁護及び増進のため自主的かつ合理的に行動することができるようその自立を支援する上で重要であることに鑑み、消費者教育の機会が提供されることが消費者の権利であることを・・・・・・

 

② 消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮し、人や㋐社会㋑環境に配慮しながら消費活動を行うことを「倫理的消費(エシカル消費)」という。エシカル消費に関連する認証ラベル・マークを目安に商品を購入することも、エシカル消費の一つの方法である。これは持続可能な開発目標(SDGs)の 12 番目㋒「つくる責任 つかう責任」に関連する取組である。

【解答】 〇

  • エシカル消費」とは、地域の活性化や雇用なども含む、人や社会・環境に配慮した消費行動

  • 2015年9月に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の17のゴールのうち、特にゴール12に関連する取組「つくる責任 つかう責任」

  

③ 2018(平成 30)年に高等学校学習指導要領が改訂され、2022(令和4)年から実施される。重視されるポイントの一つは、知識の理解の質を高め資質・能力を育む㋐「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善である。消費者教育との関わりの深い教科である公民科においては、必履修科目として㋑「現代社会」が新設された。選挙権年齢が㋒18 歳以上に引き下げられた
ことで、高校での主権者教育の役割がこれまで以上に重要となった。主権者教育の内容とともに、多様な契約及び消費者の権利と責任等についても学ぶこととなっている。

【解答】 ✖ イ ➡ 現代社会」ではく、「公共」

  • 学習指導要領改訂:主体的・対話的で深い学び(「アクティブ・ラーニング」)の視点からの学習過程の改善

  • 高校の新科目「公共(仮称)」の新設など
  • 国民投票年齢が満18歳以上となることなども踏まえ、国家・社会の責任ある形成者となるための教養と行動規範や、主体的に社会に参画し自立して社会生活を営むために必要な力を、実践的に身に付ける。

 

日本銀行は、「経済・物価情勢の展望(2019 年1月)」において、「物価安定目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、㋐『長短金利操作付き量的・質的金融緩和』を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に㋑2%を超えるまで、通貨供給量を拡大する方針を継続する」旨を公表した。

【解答】 〇

  • 日本はいまだデフレ状態であり、インフレ方向に持っていくため(インフレになると物価上昇になるが経済は活性化する。大きなインフレでなければ)通貨供給量を拡大、金融緩和を進め、インフレ率2%の目標を達成する

 

⑤ 国は「未来投資戦略 2017」において、2027(令和9)年までにキャッシュレス決済比率を、㋐4割程度とすることを目指すとした。経済産業省が 2018(平成 30)年4月に公表した「キャッシュレス・ビジョン」で示された世界各国のキャッシュレス決済比率をみると、2015(平成 27)年時点で、日本での家計最終消費支出に占めるキャッシュレス支払手段による年間支払金額の割合
は韓国、中国、アメリカより㋑高い。日本でのキャッシュレス支払手段の支払額は、デビットカード電子マネーより、クレジットカードの方が㋒多い

【解答】 ✖ イ ➡ 低い。日本のキャッシュレス比率は他の国々より低い。

  • 「未来投資戦略 2017」において、海外諸国と比較して、キャッシュレス化が十分に進展していない。キャッシュレス決済の安全性・利便性の向上、事務手続の効率化、ビッグデータ活用による販売機会の拡大等を図ることが挙げられている。
  • また2027 年 6 月までに、キャッシュレス決済比率を倍増し、4 割程度とすることを目指す
  • キャッシュレス比率「プリペイド(前払い・交通流通系)1.7%」「リアルタイムペイ(デビッドカード)0.3%、(モバイルウォレットQコード)0%」「クレジットカード18.0%

 

金融広報中央委員会が 2018(平成 30)年に2人以上世帯を対象に実施した「家計の金融行動に関する世論調査」では、金融資産保有世帯の金融資産保有額の平均値は 1,519 万円であり、金融商品別にその構成比をみると預貯金が㋐4割を超え、債券、株式、投資信託を含む有価証券はおよそ㋑2割を占めた。また、金融資産残高が1年前と比べ「減った」と回答した世帯は金融資産保有世帯全体の3割程度であり、昨年の同調査結果より㋒増加している。

【解答】 〇 

  • 金融資産保有世帯の金融資産保有額は、平均値は 1,519 万円と前回(1,729 万円)比減少した。

  • 金融商品別の構成比をみると、預貯金は 43.9%と前回(54.1%)比低下した。有価証券(債券・株式・投資信託)は 19.2%と前回(18.0%)比上昇した。生命保険も 22.4%と前回(16.7%)比上昇した。

  •  なお、一般 NISA保有している世帯における平均保有額は、198 万円と前回(183 万円)増加した

 

循環型社会形成推進基本法は、㋐環境基本法の基本理念にのっとり、循環型社会の実現に向けた基本的枠組みを示し、その道程を明らかにすることを目的としている。㋑天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会を形成するための国民の責務として、㋒製品の長期使用、再生品の使用、分別回収への協力等を挙げている。

【解答】 〇

  • 循環基本法では、①廃棄物の発生抑制、②循環資源の循環的な利用、③適正な処分が確保されることによって、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される「循環型社会」の形成の姿が示されている。
  • 廃棄物・循環資源の処理の優先順位を、①発生抑制、②再使用③再生利用、④熱回収、⑤適正処分と初めて法制化した。
  • また、国、地方公共団体、事業者、国民の役割分担を明確化。事業者の排出者責任、適正な処分に関して国および地方公共団体の施策に協力するという国民の責務、拡大生産者責任が明確に位置づけられました。

 

⑧ 「食品ロス」とは ㋐食べられる・食べられないにかかわらず、捨てられる食品のことをいう。日本における 2014(平成 26)年度の食品ロスの発生量は621 万トンと試算されており、これは 2015(平成 27)年の世界全体の食糧援助量の㋑約2倍に相当する。食品ロスは国際的な課題でもあり、「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標 12 のターゲットの一つとして「2030(令和 12)年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を㋒半減させる」ことが設定されている。

【解答】 ✖ ア ➡ 食べられるのに破棄される食品

  • 食品ロスとは、まだ食べられるのに廃棄される食品のことです。
  • 日本では、年間2,759万トンの食品廃棄物等が出されている。このうち、まだ食べられるのに廃棄される食品、いわゆる「食品ロス」は643万トン。
  • これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧援助量(平成29年で年間約380万トン)の1.7倍に相当。
  • 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる。