消費生活相談員資格試験 過去問解説

消費生活相談員資格試験対策としては過去問を多く解くことが近道です。しかし、過去問の回答の解説がなかなか市販されていないため、独自で作成

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 7問

2019年度(1回目) 消費生活相談員資格試験 7問

7. 次の各文章が、正しければ〇、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

宅地建物取引業者は、不動産登記上の地目が「宅地」ではなく、「山林」や「原野」となっている土地を売却する場合にも、重要事項説明義務を負うことがある。

【解答】 〇 

  • 宅地建物の取引において、宅地建物取引業者が宅地建物取引士をして取引当事者に対して契約上重要な事項を説明が必要。
  • 説明の内容を記載して当事者に交付する書面を、重要事項説明書という。 宅地建物取引業法第35条に規定されているため、業界用語で「35条書面」と呼ばれる。
  • 地目に関わらず宅地とは「建物の敷地に供せられている土地」「建物を建てる目的で取引される土地」

 

宅地建物取引業法によれば、宅地建物取引業者が売主となる場合に、その事務所等以外の場所において、宅地又は建物の買受けの申込みをした者は、原則として、宅地建物取引業者から書面によりクーリング・オフ制度について告げられた日から8日以内に限り、書面により申込みの撤回を行うことができる。

【解答】 〇 

 

③ 2017(平成 29)年4月に「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」(住宅セーフティネット法)が改正され、民間の空き家、空き室を活用して、高齢者、低額所得者、子育て世帯等の「住宅確保要配慮者」の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度が創設された。

【解答】 〇 

  • 高齢者、障害者、子育て世帯等の住宅の確保に配慮が必要な方が今後も増加する見込みだが、公営住宅については増加が見込めず、一方で、民間の空き家・空き室は増加していることから、それらを活用した住宅セーフティネット制度
  • 住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度
  •  登録住宅の改修や入居者への経済的な支援(改修への補助・入居者負担の軽減)
  • 住宅確保要配慮者に対する居住支援(居住支援協議会・居住支援法人・家賃債務保証業者登録制度)

 

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」によれば、建物の賃貸借の終了時に賃借人が負担する原状回復の内容は、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少をすべて復旧することとされている。

【解答】 ✖ ➡ 全ての減少分ではない

  • 原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、その費用は賃借人負担としました。
  • そして、いわゆる経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれる

 

⑤ 建設業法によれば、住宅リフォーム工事を行う事業者は、建設業法に基づく建設業の許可を受けていることが必要である。ただし、500 万円未満の住宅リフォーム工事のみを請け負う場合においては、その限りではない。

【解答】 〇 

  • 軽微な工事のみを請け負う者について、建設業法の許可制度を適用除外とした
  • 軽微な工事のみを請け負う業者や建造物の主体をなさない工事のみを請け負う業者は、公共の福祉との関係が希薄であること、修繕工事程度のみを行う小規模事業者に建設業法を適用することは過度な負担となるため
  • 「軽微な工事」の額については、請負金額が500万円未満(建築一式工事については1,500万円又は150㎡未満)の工事とされている、

 

建築基準法上、いわゆる違反建築物については、特定行政庁が請負人に対して違反を是正するための措置を命令する制度はあるが、建築物の建築主に対して違反是正の措置を命じる制度はない。

【解答】 ✖ 建築主、請負人等に対して是正措置を命じることができる

  • 違反した建築物又は建築物の敷地については、建築主、工事の請負人(請負工事の下請人を含む)若しくは現場管理者又は建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、改築、修繕、使用禁止など、違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

  

⑦ 転貸事業を行う目的で、建物賃貸借契約を締結して、建物所有者からオフィスビルやマンション等を一括して借り上げる形態のサブリース契約については、最高裁判所判例では、賃料増減額請求権を定めた借地借家法第 32 条第1項の適用が排除されるものではない、としている。建物の賃借人である事業者は、同項に基づき、賃貸人である建物所有者に対して、賃料の減額を請求し得る。

【解答】 〇 平成15年10月21日最高裁判例

  • 「サブリース契約」とは、不動産会社が貸主から賃貸物件を一括で借り上げ入居者に転貸する。貸主は入居者がいようといまいと一定の家賃が保証されるとともに、入退去に関する手続きや家賃の集金業務などから開放される。
  • 最高裁判例「サブリース契約であっても借地借家法32条の賃料減額請求ができるのか?」。このようなサブリース契約の本質は、自ら住むためのアパート賃貸等とは違い、家賃保証というリスクを取って収益を得ようとする事業上の契約であって賃貸借契約ではない。だから借地借家法の適用はないので賃料減額請求権はなく賃料引下げはないとの主張に
  • 最高裁は、たとえサブリース契約であっても、それが建物賃貸借契約である限りは、借地借家法32条1項の賃料減額請求が可能だと判断した。

  

⑧ 有料老人ホームの設置者は、入居者から家賃等の前払金を受領する場合においては、入居契約の締結日から3ヵ月を経過する日までの間に、その契約が解除された場合に、上記の前払金の額から厚生労働省令に基づき算定される額を控除した額を返還する旨の契約を締結しなければならない。

【解答】 ✖ 3月以内での契約終了の場合の前払い金の返還規定が、法律により義務づけられているので契約書に明記する必要はない。入居契約書や重要事項説明書に記載される。

  • 老人ホームは家賃や敷金、サービス提供費用以外の対価性のない金品を受領してはならないこ。例えば、「権利金」や、その他の名目の如何を問わず受領することはできない。
  • 「前払金」は、算定根拠を明確にすることで、受領することができる。
  • 前払金を受領するホームに対し、3月以内での契約終了の場合の返還規定が、法律により義務づけられている。
  • これは、有料老人ホームへの入居後3月以内に解除または入居者の死亡により入居契約が終了した場合前払金から入居日数分の家賃、サービス提供費用などの実費相当額を差し引いた金額を返還するというものです。

 

⑨ 新築住宅の建築工事請負契約では、建設業の許可を受けた請負人は、当該住宅のすべての瑕疵について、住宅を注文者に引き渡した時から 10 年間瑕疵担保責任を負い、これに反する特約は無効とされている。

【解答】 ✖ 品確法の10年以上の瑕疵担保責任とする特約は有効

 

⑩ 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく指定住宅紛争処理機関は、同法に基づく建設住宅性能評価書が交付された住宅について、その建設工事の請負契約又は売買契約に関する紛争について、あっせん、調停等の住宅紛争処理を行うが、設計住宅性能評価書のみが交付された住宅に関する紛争は取り扱うことができない。

【解答】 〇

  • 「指定住宅紛争処理機関」とは、建設工事の請負契約または売買契約に関する紛争が発生した場合に、紛争の当事者の双方または一方からの申請により、紛争のあっせん・調停・仲裁の業務を行なう機関
  • 処理機関を利用するには、建設住宅性能評価書が交付されている住宅であることを要する。住宅性能評価を受けていない住宅は、指定住宅紛争処理機関による紛争処理を申請することができない。
  • 住宅性能評価書には設計住宅性能評価書・建設住宅性能評価書の2種類が存在するが、設計住宅性能評価書だけが交付されている場合にはこの紛争処理を申請することができない。