消費生活相談員資格試験 過去問解説

消費生活相談員資格試験対策としては過去問を多く解くことが近道です。しかし、過去問の回答の解説がなかなか市販されていないため、独自で作成

消費生活相談員資格試験 30年度 4問

平成30年度 消費生活相談員資格試験 4問

 4. 問題①から⑤のそれぞれについてア~オの文章の中から、誤っている文章を2つ選んで、その記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。

 

① 以下ア~オは、消費者安全法に関する問題である。
ア 事業者がその事業として供給する商品等の消費者による使用等に伴い生じた事故であって、その事故に係る商品等が消費安全性を欠くことにより生じたものでないことが明らかなときは、消費者安全法上の「消費者事故等」にあたらない。


イ 事業者がその事業として供給する商品等の消費者による使用等に伴い火災が発生した場合であっても、消費者の生命又は身体に被害が及ばなかった場合は、消費者安全法上の「重大事故等」にあたらない。


ウ 事業者がその事業として供給する商品等の消費者による使用等に伴い窒息事故が発生した場合であって、その治療に要する期間が 30 日未満であるときは、消費者安全法上の「重大事故等」にあたらない。


エ 事業者により、虚偽の又は誇大な広告その他の消費者の利益を不当に害し、又は消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為が行われた事態は、消費者安全法上の「消費者事故等」にあたりうる。


オ 「多数消費者財産被害事態」とは、「生命身体事故等」を除く「消費者事故等」のうち、一定の重大な財産被害が多数の消費者に生じ、又は生じさせるおそれのあるものをいう。

【解答】 誤っているもの イ・ウ

  • ア〇:消費者安全法(2条5項1号)により、商品等の使用に伴い生じた事故であり政令で定める「死亡、1日以上の負傷疾病、一酸化炭素中毒」事故を「消費者事故等」という。ただし、商品等が安全性を欠くことにより発生した事故でないことが明らかなものは除く。
  • イ✖:消費者安全法(2条7項)により、「消費者事故等」のうち被害が重大であるものとして政令に定める「死亡・30日以上の負傷疾病」「身体の障害」「一酸化炭素中毒」は「重大事故等」いう。また、上記を発生させる恐れのあるものとして政令に定める「重要な部分の破損・損壊汚染等」「劇物・毒薬・劇薬等の含有付着」「窒息など著しい危険の発生」火災その他の異常事態も重大事故等に該当する。
  • ウ✖:上記イの窒息に該当するので重大事故に該当する。
  • エ〇:消費者安全法(2条5項3号)により、虚偽、誇大広告その他消費者の利益を不当に害し、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害する恐れがあり、政令が定める「虚偽・誇大な広告表示」「不当勧誘や不当な解約妨害」「景品表示法に違反」した場合なども「消費者事故等」に該当する
  • オ〇:消費者安全法(2条8項)により、消費者事故のうち、消費者の財産上の利益を侵害することとなる不当な取引であり、多数の消費者に被害を生じさせる場合「多数消費者財産被害事態」といい消費者庁内閣総理大臣)による勧告等の対象となる。

 

② 以下ア~オは、消費者安全法に関する問題である。


ア  消費者安全法上の「消費者安全確保地域協議会」には、病院や教育機関をその構成員に加えることができる。


イ  消費者安全法上、消費生活協力団体又は消費生活協力員は、内閣総理大臣により委嘱される。


ウ  消費者安全法上、消費生活協力団体及び消費生活協力員の活動のひとつとして、消費者安全の確保のための活動を行う住民に対し、当該活動に関する情報の提供その他の協力をすることが規定されている。


エ   消費者安全法上、消費生活協力団体及び消費生活協力員の活動のひとつとして、消費者安全の確保のために必要な情報を地方公共団体に提供することが規定されている。


オ   消費者安全法上、「消費者安全確保地域協議会」の事務に従事する者は、協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないが、過去に事務に従事していた者についてはこの限りではない。

【解答】 誤っているもの イ・オ

  • ア〇:消費者安全法(11条)により、消費者安全確保地域協議会を組織する関係機関は、病院、教育機関、消費生活協力団体、消費生活協力員等を構成することができる。
  • イ〇:消費者安全法(11条の7)により、内閣総理大臣ではなく、地方団体の長は、消費者の利益の擁護又は増進を図るための活動を行う民間団体、個人から消費生活協力団体、消費生活協力員を委嘱することができる。
  • ウ✖:消費者安全法(11条の7)により、消費生活協力団体、消費生活協力員の活動内容は「消費者の安全の確保に関し住民の理解を深めること」「消費者安全の確保のための活動を行う住民に対し、当該活動に関する情報提供・協力を行うこと」「消費者安全確保のため、必要な情報を地方公共団体に提供すること」
  • エ〇:上記ウと同様
  • オ✖:消費者安全法(11条の7)により、団体役職員や協力員(辞めたものも含む)は秘密保持義務がある

 

③ 以下ア~オは、特定商取引法に関する問題である。


ア  訪問販売で、政令で定める消耗品を購入し、それを自らの意思で使用もしくは消費した場合であっても、「使用し又はその全部若しくは一部を消費したらクーリング・オフできない」旨の記載が申込時又は契約締結時に交付された書面になければ、クーリング・オフすることができる。


イ  電話勧誘販売において、事業者からクーリング・オフに関する不実のことを告げられ、誤認してクーリング・オフしなかったときは、事業者から改めてクーリング・オフできる旨を記載した書面が交付されなければ、クーリング・オフ期間は進行しない。


ウ  訪問販売において、代金額が 3,000 円(税込)未満であれば、クレジットカード決済であっても、クーリング・オフの適用除外となる。


エ  連鎖販売取引において、その契約に係る特定負担が、再販売をする商品の購入代金である場合で、契約締結時に交付された不備がない書面の受領日より商品の引渡しの方が後の場合には、商品の引渡しを受けた日から 20日間、クーリング・オフすることができる。


オ  特定継続的役務提供契約に該当するエステティックサロンとの契約を締結し、関連商品として化粧品を購入した際に、その場で販売員に促されて化粧品を使用させられた場合、当該化粧品のクーリング・オフはできなくなる。

【解答】 誤っているもの ウ・オ

  • ア〇:【訪問販売のク・オフ】使用・消費することで価値が著しく減少の恐れのある商品として政令で指定された8商品(健康食品・織物・コンドーム生理用品・防虫剤殺虫剤防臭剤・化粧品石鹸歯ブラシ等・履物・壁紙・配置薬)は、使用・消費するとク・オフできなくなる。しかし、この適用除外は、訪問販売時の書面交付が必要であり、その書面に「使用・消費した場合はク・オフできない」旨を記載していなければク・オフできる。また、事業者に開封して消費するよう誘導した場合もク・オフが可能となる。
  • イ〇:【ク・オフ妨害】事業者がク・オフさせないために「特別価格だからク・オフできない」「工事が終了しているからク・オフできない」など不実を告げられたり、威迫されク・オフを思いとどまらせた場合、事業者が改めて法廷書面を再交付する必要があり、再交付された日が新たなク・オフの起算日となる。
  • ウ✖:【ク・オフの適用除外】海上タクシー・飲食店・あんまマッサージ・カラオケボックス(書面交付義務もない)。自動車・電気・ガス・葬儀等はク・オフ適用なし。3000円未満の現金取引。(クレジット、割賦契約は3000円未満でも適用される)
  • エ〇:【連鎖販売のク・オフ】再販型の場合、商品引き渡しと契約書面の交付の遅いほうがク・オフ起算日。
  • オ✖:【特役の関連商品】役務提供とともに、役務に関連する商品も一緒に契約解除できる。しかし、政令で指定商品に指定された健康食品や化粧品などについては、消費することでク・オフできなくなると書面に記載があった場合、消費するとク・オフできない。しかし、この問題の場合、販売に誘導され使用しているのでク・オフできる。

 

 

④ 以下ア~オは、資金決済法に関する問題である。


ア  自然人たる個人は、「仮想通貨交換業者」には登録できない。


イ  資金決済法においては、「仮想通貨交換業者」と取引する利用者も、情報の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の情報の安全管理のために必要な措置を講じなければならないと規定されている。


ウ  「仮想通貨交換業者」は、利用者に対して仮想通貨交換業に係る取引の内容、取り扱う仮想通貨の概要を説明すれば、価値変動を直接の原因として損失が発生するおそれがある旨及び理由等の説明は、契約締結後でもよい。


エ  資金決済法では、利用者が預けた仮想通貨交換等に係る金銭又は仮想通貨は、「仮想通貨交換業者」において業者自身の金銭又は仮想通貨とは分別して管理されるものとされており、違反した業者には刑事罰の定めがある。


オ  外国仮想通貨交換業者は、日本の資金決済法による「仮想通貨交換業者」の登録を受けていない場合、国内にある者に対して、仮想通貨の売買、他の仮想通貨との交換、これらの媒介、取次ぎ又は代理の勧誘をしてはならない。

 

【解答】 誤っているもの イ・ウ

  • ア〇:2016年(H28)改正資金決済法で仮想通貨の定義され、仮想通貨交換業に規制。資金決済法(63条の2)で、仮想通貨交換業は、内閣総理大臣の登録を受けた法人でなければならない。
  • イ✖:利用者に関する規定はない。
  • ウ✖:仮想通貨交換業者は、利用者との間で仮想通関交換業に関する取引を行うときは、あらかじめ、当該利用者に対して、書面の交付その他の適切な方法により、次に掲げる事項について情報を提供しなければならない。「取り扱う仮想通貨の変動を直接の原因として損失が生ずる恐れがある時は、その旨及びその理由」
  • エ〇:資金決済法(63条の11)により、利用者財産と自己資金の分別管理義務が定められ、違反した場合は同法(108条)により2年以下300万円以下の罰金。
  • オ〇:外国仮想通貨交換業者が、日本で取引をする場合は、日本での登録が必要となる。株式会社である必要はなく、日本国内に営業所を設置すること、日本国内に住所のある個人の代表者が必要となる。

  

⑤ 以下ア~オは、全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)に登録された消費生活相談情報に関する問題である。


ア  2016(平成 28)年の消費生活相談について、商品・サービス別でみると、「通信サービス」に関する相談件数が最も多く、次いで多いのが「金融・保険サービス」である。


イ  2016(平成 28)年の消費生活相談について、販売購入形態別でみると、前年と比べ「電話勧誘販売」の割合が減少しており、一方で、「店舗購入」の割合が増加している。


ウ  2016(平成 28)年の消費生活相談では、インターネット通販等で消費者が、健康食品や化粧品等をお試しのつもりで申し込んだが、実は定期的に購入する契約であったというような「定期購入」に関する相談が前年と比べ急増している。


エ  2011(平成 23)年から 2016(平成 28)年の間の消費生活相談では、身に覚えのない請求を受ける、いわゆる「架空請求」に関する消費生活相談件数が、大幅に増加している。


オ  2016(平成 28)年の消費生活相談では、契約当事者が 10 歳代の消費生活相談件数が 20 歳代の消費生活相談件数よりも多い。

 

【解答】 誤っているもの イ・オ

  • ア〇:通信販売に関する相談は全体の33.7%であり、2013年以降、販売購入形態別で最も多い。
  • イ✖:店舗購入に関する相談件数は、2014年以降減少傾向にあり、2017年度も引き続き減少している。
  • ウ〇:「化粧品」「健康食品」の相談は2016年度に引き続き増加した。これらの商品の「定期購入」に関する相談が依然として寄せられたためである。また、「ファンド型投資商品」「その他金融関連サービス」に関する相談も増加している。これは、多数の高齢者から資金を集め、破産手続き開始決定を受けた事業者に関する相談や、仮想通貨に関する実態不明な投資話に関する相談がみられた。「土地」に関する相談が増加している。過去に「原野商法」のトラブルにあった消費者や、その原野を相続した消費者が再度トラブルにあう「原野商法二次被害」の相談が増加した。
  • エ〇:利用した覚えのないサイト利用料の請求など「架空請求」の相談は2012年度から再び増加傾向にある。2017年度は約19.9万件であり、2016年度8.3万件に比べ大幅に増加した。
  • オ✖:契約当事者の年代割合をみると、70歳以上は2013年度以降2割前後と各年代の中では最も高く、2017年度は20.2%。50、60歳代は近年増加する一方、40歳以下は減少している。