消費生活相談員資格試験 過去問解説

消費生活相談員資格試験対策としては過去問を多く解くことが近道です。しかし、過去問の回答の解説がなかなか市販されていないため、独自で作成

消費生活相談員資格試験 30年度 5問

平成30年度 消費生活相談員資格試験 5問

5. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は○を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。※誤っている箇所がある場合は、1ヵ所である。 。

 

① 消費者教育の推進に関する法律には、消費者教育の「基本理念」が定められている。具体的には、消費者教育は㋐年齢、障害の有無その他の消費者の特性に配慮した適切な方法で行われることが必要であること、㋑それぞれの場における消費者教育を推進する多様な主体の連携が必要であること、また、㋒災害その他非常の事態においても消費者が合理的に行動することができるよう、消費者教育を行わなければならないこと等である。

【解答】 〇

  • 消費者教育推進法(3条:基本理念)には、①消費生活に関する知識を修得し、適切に行動に結びつける実践的な能力が育まれること。②主体的に消費者市民社会の形成に参画し、発展に寄与できる消費者の育成を支援すること。③幼児期から高齢期までの各段階に応じて体系的に行うとともに、年齢、障害の有無その他の消費者の特性に応じた適切な方法で行うこと。④学校、地域、家族、職域など様々な場の特性に応じた適切な方法により、かつ、消費者教育を推進する多様な主体の連携及び消費者政策との有機的な連携を確保しつつ効果的に行うこと。⑤消費者市民社会の形成に関し、多角的視点に立った情報を提供すること。⑥災害その他非常の事態においても消費者が合理的に行動ができるように、非常事態における消費生活に関する知識と理解を深めること。⑦環境教育、食育、国際理解教育などの消費生活に関連する教育に関する施策との有機的な連携が図られること。

 

② 2015(平成 27)年9月の国連サミットで、「持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」が採択された。この中に掲げられた「持続可能な開発目標(SDGs)」では、発展途上国向けの開発目標として㋑2030 年を期限とする包括的な17 の目標を設定している。その目標の一つとして、㋒持続可能な生産消費形態を確保することが掲げられている。

【解答】 ✖ア

  • アジェンダでは、持続可能な社会の実現に向けた2030年までの具体的な目標として、貧困や飢餓の撲滅、クリーンエネルギーの普及、気候変動対策、平和的社会の構築など17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標」が掲げられ、「誰一人取り残さない」社会の実現に向けての国際目標であり、発展途上国向けの開発目標ではない。

 

③ 消費者教育の推進に関する法律において、政府は、㋐「消費者教育の推進に関する基本的な方針(基本方針)」を定めなければならないと規定されている。その内容については、㋑消費者基本法に規定する㋒消費者基本計画との調和が保たれたものでなければならないとされている。

【解答】 〇

  • 消費者教育推進法(9条:基本方針等)には、政府は「消費者教育の推進に関する基本的な方針(基本方針)」を定めなければならない。基本方針では、消費者教育の推進の意義及び基本的な方向に関する事項、推進の内容に関する事項等を定めなければならない。
  • 基本方針の案は内閣総理大臣文部科学大臣が作成し、閣議で決定される。
  • その案の作成にあたっては、関係行政機関の長と協議した上で、消費者教育推進会議及び消費者委員会の意見を聞く。
  • 消費者基本法に基づく消費者計画において、消費者啓発、教育に関する施策が盛り込まれていることから、消費者基本計画と整合性がとれるよう策定される。
  • 概ね5年ごとに基本方針に検討を加える。

 

日本銀行は、景気低迷時に経済活動を活発化させるため、市中の資金量の㋐増加金利の㋑低下を通して投資を刺激することを狙いとした、㋒売りオペレーション(金融機関への国債等の売却)を実施することがある。

【解答】 ✖ウ

  • 経済を活性化させるには、資金(紙幣)を市中に多く行き渡らせることが金融政策。
  • また、金利が低い方が、資金を借りやすく、投資しやすくなり経済活性化に有効。
  • 日銀が売りオペ(金融機関へ国債を売却)すると、資金が金融機関から日銀へ吸い上げられるので資金が減少してしまう。よって、経済活性化のためには、買いオペ(金融機関から国債を購入)することで、金融機関に資金を流すことで、金融機関を通じて市中に資金を供給する。

  

⑤ インターネットを介して多数の者から少額ずつ資金を集める、いわゆる「クラウドファンディング」は、一般に㋐寄付型(資金提供者が無償で資金を提供する)、購入型(資金提供者は対価として財・サービスを受ける)、投資型(資金提供者は対価として収益の配当又は財産の分配を受ける)に大別される。このうち投資型のクラウドファンディングには、㋑金融商品取引法が適用される。また、投資者に対する分配金・配当金は、法律上、㋒保証される。

【解答】 ✖ウ

  • 投資型クラウディングファンドも投資であり、元本、配当金は保証されない。
  • 投資型のクラウディングファンドについては、少額なもののみ扱う業者について、兼業規制を課さないこととし、登録に必要な最低資本金基準を引き下げた。
  • 非上場株式の勧誘を、少額のクラウディングファンドに限って解禁した。
  • 悪用されることがないよう、クラウディングファンド業者に対して「ネットを通じた適切な情報提供」「ベンチャー企業の事業内容のチェック」を義務付けた。
  • ネットを通じて非上場株式、私募債を集める場合、最低資本金として1千万円用意すれば第一種少額電子募集取扱業者の登録が可能。
  • ファンドの場合、500万円の最低資金を用意することで登録が可能。

  

⑥ 国の経済規模を測る指標として用いられるGDPは、㋐国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額である。GDPには、日本企業が海外拠点で生産したモノやサービスの付加価値は㋑含まれない。名目GDPが実質GDPを下回る状況は、㋒物価が下落状況にあることを意味する。

【解答】 〇

  • GDPとは一定期間内に国民、外国人を問わず国内で新しく生産された財やサービスの付加価値の合計。
  • GDPデフレーターは名目GDPを実質GDPで割って求める。GDPデフレーターがプラスの時はインフレ、マイナスの時はデフレ。
  • 分母の名目GDPが大きくなればインフレになるので、名目GDPを実質GDPを下回る状況はデフレなので、物価が下落状況にある。

 

⑦ 容器包装リサイクル法は、容器包装廃棄物のリサイクルの促進等により、㋐一般廃棄物の減量及び再生資源の十分な利用等を通じて、廃棄物の適正な処理及び資源の有効な利用の確保を図り、もって㋑生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的としている。同法における容器包装とは、㋒容器及び包装のうち、中身の商品が消費されたり、中身の商品と分離されたりした際に不要になるものである。

【解答】 〇

  • 容器包装リサイクル法(2000年施行)の目的は、一般廃棄物の容積比で半分強を占める容器包装の減量化とリサイクルを進める。
  • 容器包装とは、商品の容器及び包装(容器・包装自体が有償の場合も含む)であって、その商品が消費されたり、その商品と分離された場合に不要となるものをいう。
  • 関係者の役割分担:消費者→分別 市町村:分別収集 事業者:再商品化

 

⑧ PCB は不燃性、電気絶縁性が高く化学的に安定な性質を有することから電気機器をはじめ幅広い用途で利用されてきたが、1968(昭和 43)年に㋐カネミ油症事件が発生し、その毒性が社会問題化し、現在は、㋑製造・輸入ともに禁止されている。PCB 廃棄物の保管の長期化による環境汚染が懸念され、確実かつ適正な処理を推進するため、2001(平成 13)年に PCB 特別措置法が公布・施行された。同法は 2016(平成 28)年に改正され、高濃度 PCB 廃棄物を保管する事業者が㋒一定期間内にその処分を行うことを義務づける等、対策が強化された。

【解答】 〇

  • PCBは、カネミ油症事件の原因となった有機塩素化合物で、耐熱性、耐薬品性、絶縁性に優れているために、かつてはコンデンサやトランスの絶縁体等広範囲に使用されていた。
  • 学校の蛍光灯の安定期においてもPCBの飛散、漏洩事故等が発生している。
  • 1974年(S49)PCBの製造、新規使用の禁止、廃棄物処理法での保管が義務付けられた。しかし、30年以上保管している間に、一部が行方不明になり、それによる環境汚染が進んでいると判明したため、国が無害化処理に乗り出した。