消費生活相談員資格試験 30年度 13問
平成30年度 消費生活相談員資格試験 13問
13. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。※誤っている箇所がある場合は、1ヵ所である。
① 消費者契約法は、㋐労働契約を除く、すべての消費者契約を適用対象とする。消費者契約とは、㋑事業者と消費者との間で締結される契約である。消費者契約法において、消費者とは、㋒個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く)のことをいう。 |
【解答】 〇
- 消費者契約法は事業者との間で締結される全ての契約だが、労働契約だけは対象外。
- 法律の条文には事業者の定義はあるが、事業の定義はない。事業とは「一定の目的を持ってなされる同種行為の反復継続的遂行」であるが、営利・公益・非営利は関係ない。
- 公益法人、NPO法人、自治体、町内会等も対象となる。
② 消費者契約法第9条第2号は、消費者契約において、消費者が契約に基づく㋐金銭の支払い又は物の引渡しを遅延した場合の損害賠償額の予定又は違約金を定める条項について規定している。損害賠償又は違約金の額が、本号に定める額を超える場合、㋑超える部分は無効となる。事業者は、当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に㋒年 14.6%の割合を乗じて計算した額を超える損害賠償又は違約金を請求することができない。 |
【解答】 ✖ ア ➡ 事業者の物の引き渡しの遅延は関係がない
- 消費者契約法9条2項は、消費者契約に基づき消費者が支払うべき金銭債務を規定しているので、事業者の引き渡しを遅延した場合の規定ではない。
- 支払期日まで支払わない場合における損害賠償額を予定し、又は違約金を定める上限があり、それらの合計額が年14.6%を超える場合は、超えた部分は無効。
③ 消費者契約法において、事業者が、消費者契約の締結を勧誘するに際し㋐「重要事項」について事実と異なることを告げることは、取消事由とされている。「告げる」とは、㋑書類に記載して消費者に知らせるような場合を含む。中古車の走行メーターを巻き戻し、走行距離を短く見せてこれを消費者に示して販売する行為は㋒「告げる」に該当する。 |
【解答】 〇
- 消費者契約法(4条1項1号 不実告知による取り消し)は、事業者が勧誘する際に、重要事項について、事実と異なる事を告げ、消費者が誤認して契約した場合取り消しができる。
- 重要事項とは、商品の質、用途等、対価その他取引条件
- そのほか、契約の目的となるものが生命、身体、財産等の利益について、損害、危険を回避するために必要であると判断される場合(タイヤがすり減って危険なので買い替えるべきだ➡タイヤがすり減っているのは事実だが、危険か否かの判断でその部分に大げさなど不実告知があれば取り消し可能)
④ 消費者契約法においては、事業者が、消費者契約の締結について消費者を勧誘するに際し、㋐当該消費者契約の目的となるものの分量、㋑回数又は期間(以下、「分量等」という。)が当該消費者にとっての通常の「分量等」を著しく超えるものである場合、そのことを㋒事業者が知らなくても、その勧誘により消費者が当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。 |
【解答】 ✖ ウ ➡ 事業者が知っていた場合、取り消しができる
- 過量販売の取り消し要件で、勧誘に際し、商品等の分量・回数・期間等が消費者にとって通常の分量を著しく超え、事業者が過量であることを知っている場合、取り消しができる。
- 次々販売の場合は、同種契約をしていて、同じ事業者か他の事業者かを問わず、合算した分量が通常の分量を著しく超えることを事業者が知っていた場合取り消しができる。
⑤ 最高裁判所は、賃貸借契約書に㋐一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が㋑賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎる等の特段の事情がない限り、㋒消費者契約法第 10 条により無効であるということはできないと判断している。 |
【解答】 〇
- 代表的な無効は「錯誤無効」「公序良俗違反」「意思能力のない者の意思表示」
- 初めから、法律行為の効果がなかったとされる。
- 無効を主張できる期間の制限はなく、無効を主張するにも制限がなく、第三者もできる。
⑥ 2016(平成 28)年の消費者契約法の改正により、消費者に、解除権をあらかじめ放棄させる消費者契約の条項は無効とするとの規定が新設された。この場合の解除権とは、㋐事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権、㋑継続的契約における消費者の中途解約権、㋒有償の消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があることにより生じた消費者の解除権である。 |
【解答】✖ イ ➡ 中途契約の解約権放棄の無効までは規定されていない
⑦ 消費者団体訴訟制度において、同種紛争の未然防止・拡大防止を図るという同制度の趣旨から、適格消費者団体は、消費者契約法に基づく差止請求の内容として、事業者の一定の不当行為の㋐停止、㋑予防又は㋒当該行為に供した物の廃棄若しくは除去等を請求することができる。 |
【解答】 〇
- 差止請求の内容は違反行為の「停止」「予防」「停止・予防に必要な措置(供用物の破棄又は除去等」を求めることができる。
- 差止請求権の対象は「消費者契約法(不当勧誘・不当条項)」「景品表示法(優良誤認・有利誤認表示)」「特商法」「食品表示法(食品表示基準)」