消費生活相談員資格試験 過去問解説

消費生活相談員資格試験対策としては過去問を多く解くことが近道です。しかし、過去問の回答の解説がなかなか市販されていないため、独自で作成

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 19問

消費生活相談員資格試験   2019年度 19問 

19.次の文章の[ ]に入る最も適切な語句を、下記の語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。 

 【語群】

1. 信用情報機関   2. 割賦販売法   3. 本店   4. 増加   5. 減少  6. 利息制限法

 7. みなし弁済規定 8. 総量規制  9. グレーゾーン金利   10. 取立行為規制   11. 保証会社

 12. 横ばい

 

 

2006(平成 18)年の貸金業法改正以降、貸金業者による消費者向け貸付残高は大幅に[ ア ]した。銀行カードローンについては、2011(平成 23)年度以降 2017(平成 29)年度まで融資残高の[ イ ]が続いた。
銀行カードローンについて、全国銀行協会では、改正貸金業法の趣旨を踏まえた広告等の実施及び審査態勢等の整備を徹底するため、2017(平成 29)年3月に「銀行による消費者向け貸付けに係る申し合わせ」を公表し、各銀行はこれを踏まえた業務運営の見直しを検討・実施している。また、金融庁は各銀行を対象に、融資の審査を[ ウ ]に過度に依存していないか、過剰な貸付けを防止するための融資審査態勢が構築されているか等の着眼点から検査・調査を実施した。
銀行カードローンには、貸金業法が定める[ エ ]の適用がないことが過剰な貸付けの原因とされている。なお、銀行カードローンについても[ オ ]の適用はある。

 【解答】ア:⑤減少 イ:④増加 ウ:⑪保証会社 エ:⑧総量規制

     オ:⑥利息制限法

  • ウ:銀行カードローンの保証会社は、「審査に関する保証業務を請け負っている会社」。銀行カードローンは、消費者金融を子会社化していたり、審査に関する保証業務を消費者金融に委託していたりと、外部に保証業務を任せているケースが多い。

  • エ:総量規制の対象外:住宅ローン、自動車ローンについて銀行のカードローン、クレジットカード(キャッシングは規制対象)、また50万円未満の借り入れは収入の書類提出不要

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 18問

消費生活相談員資格試験  2019年度(1回目) 18問

18. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。

民事訴訟法では、地方裁判所民事訴訟において、訴えは、㋐判決が確定するまで㋑その全部又は一部を取り下げることができる。相手方が本案について準備書面を提出し、弁論準備手続において申述をし、又は口頭弁論をした後は、㋒相手方の同意がなくても取下げの効力が生じる

【解答】 ✖ ウ 民事訴訟法 261条 口頭弁論後は、相手の同意がなければその効力を生じない。

  • 訴えは、判決が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる

  • 訴えの取下げは、相手方が準備書面を提出し、又は口頭弁論をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない
  • 訴えの取下げは、書面でしなければならない。ただし、口頭弁論期日においては、口頭ですることを妨げない。
  • 訴えの取下げの書面の送達を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、訴えの取下げに同意したものとみなす。

  

民事訴訟法では、金銭㋐その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、公示送達によらずに送達することができる場合、債権者の申立てにより、裁判所書記官は、書類審査のみで支払督促を発することができる。なお、仮執行の宣言を付した支払督促に対し督促異議の申立てがないときは、支払督促は㋒確定判決と同一の効力を有する。

【解答】 〇 

  • 支払督促は、金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について、債権者が簡易迅速に債務名義を取得するため、簡易裁判所書記官が行う処分のことです。
  • 債権者が簡易裁判所の書記官に申立てを行い、債務者の言い分を聞くことなく、支払督促を債務者に送達。債務者は、2週間以内に異議申立てがない場合、仮執行宣言付き支払督促を送達

  • さらに、債務者は、2週間以内に異議申立てがない場合、確定判決と同一の効力

 

③ 民事裁判において、被告は、裁判所に答弁書を提出して第1回期日に欠席した場合、答弁書の記載事項を陳述したものとみなされる答弁書を提出せずに第1回期日に欠席した場合、原則として㋑原告主張の事実を自白したものとみなされる。判決が下された場合、その判決に不服がある当事者は、判決書等の送達を受けた日の翌日から、原則として㋒2週間以内に控訴することができる。

【解答】 〇

  • 第1回目の口頭弁論期日において、原告は 訴状 を陳述し、また、被告は 答弁書 を陳述する

  • いずれかが欠席しても審理を開始するため、訴状または答弁書、その他の準備書面に記載した事項が陳述したものとみなされる。つまり、原告が欠席する場合には、訴状や準備書面に書かれたことが陳述したものとして扱われ、また、被告が欠席する場合には、答弁書準備書面に記載された事項が陳述されたものとして扱われる

  •  第2回目以降の口頭弁論期日に当事者が欠席する場合には陳述擬制は行われず、欠席した当事者は不利な扱いを受ける。つまり、相手方の主張を認めるという扱いを受ける

  •  第一審裁判所の判決に不服のある当事者は,判決送達日から2週間以内に上級裁判所に対して控訴をすることができ,第二審(控訴審)裁判所の判決に不服のある当事者は,上告をすることができます

 

景品表示法は、㋐商品及び役務の取引について、一般消費者による㋑自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為を規制している。所管省庁は、消費者庁である。

【解答】 〇

  • 景品表示法は、正式には、不当景品類及び不当表示防止法
  • 実際より良く見せかける表示が行われたり、過大な景品付き販売が行われると、それらにつられて消費者が不利益を被るおそれがある。
  • 景品表示法は、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを規制するとともに、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限
  • 地方における執行体制の確保等のため公取委に調査権限を委任。

 

景品表示法に違反する優良誤認表示又は㋐有利誤認表示を行った事業者に対しては、内閣総理大臣は、課徴金の納付を命じなければならない。ただし、当該事業者が、㋑不当表示に該当することを知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠った者ではないと認められるときは、課徴金の納付を命じることができない。当該事業者より課徴金対象行為に該当する事実の報告があった場合、原則として、㋒課徴金の額の全額が免除される

【解答】 ✖ ウ ➡(景品表示法9条)事業者が、課徴金対象行為に該当する事実を、消費者庁長官に報告したときは、課徴金額が50%相当額減額されます

  • 優良誤認表示や有利誤認表示をした事業者に対する課徴金制度
  • 景品表示法8条1項:自らした表示が景品表示法8条1項1号または2号に該当しないことを「知らず、かつ、知らないことにつき相当の注意を怠つた者でないと認められるとき」は、消費者庁長官は、課徴金の納付を命ずることができない
  • 課徴金対象行為の対象となった商品・サービスの「売上額」が5,000万円未満(課徴金額が150万円未満)であるときは、課徴金納付命令を受けることはない

 

消費者契約法に規定される㋐適格消費者団体は、事業者が、不特定かつ多数の一般消費者に対して景品表示法に違反する所定の行為を現に行い又は行うおそれがあるときは、差止請求権を行使できる。差止請求の対象となるのは、㋑不当な景品類の提供㋒不当表示(優良誤認、有利誤認)である。

【解答】 ✖ イ ➡ 景品の提供は差し止め請求権の対象外

  • 事業者の不当な行為に対して、適格消費者団体が差止めを求めることができる
  • 事業者に対し、業務改善を申し入れ、(交渉不成立の場合)事業者に対し、提訴前の書面による事前請求、裁判所への訴え提起、判決または裁判上の和解
  • 消費者契約法」「景品表示法」「特定商取引法」「食品表示法」に違反する不当な行為
  • 具体的には、「不当な勧誘」「不当な契約条項」「不当な表示」

  

個人情報保護法では、「匿名加工情報取扱事業者」は、匿名加工情報(自ら個人情報を加工して作成したものを除く)を第三者に提供するときは、あらかじめ、第三者に提供される匿名加工情報に含まれる㋐個人に関する情報の項目及びその㋑提供の方法について公表する必要がある。当該第三者に対して、当該提供に係る情報が匿名加工情報である旨を㋒明示することは不要である

【解答】 ✖ ウ ➡  匿名加工情報を第三者に提供するときは、項目及び匿名加工情報の提供の方法を公表が必要

  • 匿名加工情報とは、特定の個人を識別することができないように個人情報を加工し、当該個人情報を復元できないようにした情報
  • 匿名加工情報は、一定のルールの下で、本人同意を得ることなく、事業者間におけるデータ取引やデータ連携を含むパーソナルデータの利活用を促進することを目的に個人情報保護法の改正により導入
  • 匿名加工情報を作成した事業者は、遅滞なく、ホームページ等を利用し、当該匿名加工情報に含まれる個人に関する情報の項目を公表
  •  匿名加工情報を第三者に提供するときは、予めホームページ等で第三者に提供する匿名加工情報に含まれる項目及び匿名加工情報の提供の方法を公表

  

個人情報保護法において、「個人情報取扱事業者」は、個人情報を取り扱うにあたっては、その利用の目的を㋐できる限り特定しなければならない。「個人情報取扱事業者」が、その利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と㋑関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて変更してはならず、変更された利用目的を㋒本人に通知し、又は公表しなければならない

【解答】 〇 

  • 個人情報保護法第 15 条第 1 項)個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たって、利用目的をできる限り特定しなければならない
  • 取得した個人情報は、特定した利用目的の範囲内で利用する必要がある
  • (16 条第1項)特定した利用範囲以外のことに利用する場合は、あらかじめ本人の同意が必要

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 17問

消費生活相談員資格試験   2019年度 17問 

17.次の文章の[ ]に入る最も適切な語句を、下記の語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。 

 【語群】
1. 民泊サービス   2. 決済代行サービス   3. オンラインショッピング   4. 介入しない

5. クラウドソーシング   6. 立ち会う   7. BtoC   8. シェアリングエコノミー

9. グループホーム    10. CtoC   11. クラウドファンディング

12. プラットフォーム    13. 介入する

 

 

最近注目されている消費者問題の一つとして、売り手と買い手の双方が消費者である取引、すなわち[ ア ]取引に関するトラブルの急増が挙げられる。背景にはインターネットを通じて行われる個人間取引の急速な拡大があると考えられる。
フリマアプリやフリマサイトなどのフリマサービスを利用した個人間取引では、原則として金銭のやり取りは運営会社を通じて行われる。利用規約上、サービス利用者間でトラブルが発生した場合、運営会社はそのトラブルに原則として[ イ ]と定められているのが一般的である。また、利用規約には禁止行為や出品禁止商品等について定めがあり、トラブルの未然防止のため、利用に際しては利用規約をよく理解する必要がある。
ネット上のショッピングモールなど、当事者に取引の場を提供し、その手数料等で収益を得る業態を[ ウ ]と呼ぶ。[ ウ ]を介して、個人等が保有する活用可能な資産等を不特定多数の個人の間で共有する[ エ ]等の新たなサービスも行われるようになっており、フリマサービスのほか、自宅の空き部屋等を活用して旅行者等に宿泊サービスを提供する[ オ ]などがある。
[ ウ ]における取引の在り方については消費者委員会等で議論されており、消費者委員会の専門調査会はその報告書の中で、[ ウ ]事業者、利用者、行政機関等それぞれの役割等について提言を行っている。

 【解答】ア:⑩CtoC イ:④介入しない ウ:⑫プラットフォーム

     エ:⑧シェアリングエコノミー  オ:①民泊サービス

  • ア:消費者Consumer同士の取引

  • イ:消費者同士の取引の場を提供しているだけなので、介入しないのが原則
  • ウ:オンラインプラットフォームとは、インターネットの中でも特にWeb上で展開されるサービスを指し、その多くがアカウントを取得することで無料で利用できる点が大きな特徴。代表例としては、「Googleなどの検索エンジン」「TwitterFacebookなどのSNS」「ブログ・Youtubeなどのソーシャルメディア」「アマゾン・楽天のようなECプラットフォーム」

  • エ:シェアリングエコノミーとは、インターネットを介して個人と個人の間で使っていないモノ・場所・技能などを貸し借りするサービス

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 16問

2019年度(1回目) 消費生活相談員資格試験 16問

16. 次の各文章が、正しければ〇、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

電気通信事業法上、一定の固定通信サービスの提供契約を締結した利用者は、取引形態が電話勧誘販売の場合に限り、契約内容が記載された書面の受領日から起算して8日を経過するまでの間、契約の解除が可能である。

【解答】 ✖ ➡ 電話勧誘販売だけでなく販売形態に関係なく初期契約解除が可能

  • 通常のクーリングオフと異なり、初期契約解除制度とは、一定の範囲の電気通信役務契約について、契約書面の受領日を初日とする8日(※)が経過するまでの間は、利用者の都合のみにより契約解除できるとする。
  • 店舗販売を含め販売形態によらない契約解除の権利を利用者に認める一方、契約解除に伴い一定の範囲の額の支払を電気通信事業者が請求すること(対価請求)を可能としている。

 

電気通信事業法では、電気通信事業者が契約の締結の媒介等の業務及びこれらに付随する業務を媒介等業務受託者に委託する際には、電気通信事業者による指導等、当該委託に係る業務(媒介等業務)が適正かつ確実に遂行されるための措置を講じなければならないとしている。

【解答】 〇 

  • 電気通信事業者が契約の締結の媒介等の業務及びこれらに付随する業務を媒介等業務受託者に委託をする際には、電気通信事業者による指導等、当該委託に係る業務(媒介等業務)が適切かつ確実に遂行されるための措置を電気通信事業者が講じなければならない。
  • 一次代理店だけでなく、二次代理店が更に三次代理店に委託をする場合も同様である。

 

携帯電話不正利用防止法においては、携帯電話の音声通信役務を提供する事業者には、自然人との間で当該音声通信役務の提供契約を締結する際に、事業者の任意の方法での申込者の本人確認、及び確認記録の一定期間の保存が義務づけられている。

【解答】 ✖ 個人については、氏名、住居、生年月日を、法人については名称、所在地をそれぞれ総務省令で定める方法で確認することとなっています。 

  • 携帯音声通信事業者に対して契約締結時及び譲渡時の本人確認を義務付けることにより、携帯電話等の不正な譲渡及び貸与並びにこれらの勧誘、誘引行為等を処罰することを定めたもの
  • 平成20年6月に、SIMカードの無断譲渡禁止、レンタル事業者による契約時の本人確認の厳格化等を内容とする法改正が行われ、同年12月1日より施行
  • 運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、乗員手帳、在留カード、各種保険証、国民年金手帳・身体障害者手帳など

 

④ 割賦販売法上の包括信用購入あっせんには、あらかじめプラスチックカードを交付する方式のほか、ID 番号やパスワードを付与する方式も含まれる。

【解答】 〇 
  • 割販法は、包括クレジット会社と消費者との間のクレジットカード取引の基本契約の締結という定義づけではなく、カード等の交付という事実行為によって規定
  • インターネット取引でクレジットを利用するため、カードを発行しないで、ID番号とパスワードを付与して利用するカードレスのクレジット決済。割販法は、番号・記号その他の符号を付与する方法も、包括クレジットの定義に加えている

  

⑤ 支払期日の一定期間前までにリボルビング払いに変更ができる特約付きクレジットカードを利用して翌月一括払いで商品を購入した後、リボルビング払いに変更した場合、売買契約について抗弁事由があったとしても、購入者はクレジットカード会社に対し割賦販売法に基づく支払停止の抗弁を主張することはできない。

【解答】 ✖ 「後からリボ」は支払い停止の抗弁を主張できる
  • 支払停止の抗弁は、4万円以上(リボルビング払いの場合は3万8千円以上)の取引が対象
  • 「後からリボ」とは、消費者が販売業者から商品を購入するときにはマンスリークリア払いを選択し、支払日の数日前までに包括クレジット会社に電話やメールで通知することにより、リボルビング払いに変更できるという特約
  • 「後からリボ」に変更した場合、包括クレジット会社は遅滞なく契約書面を交付する義務を負うほか、売買契約について抗弁事由があるときは包括クレジット会社に対し抗弁接続を主張できる

 

⑥ 加盟店に対してクレジットカード番号等の取扱いを認める契約を締結する「クレジットカード番号等取扱契約締結事業者」(アクワイアラー等)は、カード代金の支払い方法が、翌月一括払い、2月を超える後払いのいずれの場合であっても、経済産業省への登録が必要である。

【解答】 〇 
  •  アクワイアラーとして加盟店契約業務を⾏う場合には登録が必要(登録を受けた決済代⾏業者が加盟店管理を⾏う場合には、登録不要。)
  • 決済代⾏業者が加盟店との契約締結について、アクワイアラーから包括的に授権され、実質的な最終決定権限を有し、加盟店管理を⾏う場合には、登録が必要
  • 決済代⾏業者の業務が⼀次審査を⾏うにとどまり、最終決定権限はアクワイアラーが留保している(登録アクワイアラーの下で加盟店管理業務の⼀部を⾏う)場合には、登録は不要
  

⑦ 訪問販売で商品を購入するにあたり、割賦販売法上の個別信用購入あっせんを利用した場合において、購入者が、販売業者の商品引渡し遅延により債務不履行解除をした場合、個別信用購入あっせん契約の取消しができる。

   【解答】 ✖ クレジット会社には契約解除ではなく、支払い停止の抗弁で対応
  • クレジット契約で商品等を購入したが、商品が約束どおりに引き渡されないなど、消費者と販売店との間で下記のような問題が生じたときは、これを理由として、信販会社に対する支払いを停止することができる。支払い停止の抗弁
  • 販売業者に債務不履行等があったとき・契約が成立していない場合・契約が無効の場合・契約が取り消された場合・契約が中途解約された場合・販売業者が倒産したときなど

 

⑧ 「健康機器を購入してモニターになれば報酬を支払う」との販売業者の説明を信じ、割賦販売法上の個別信用購入あっせんを利用して健康機器を購入し、モニターになったが、モニター報酬の支払いがないまま販売業者が倒産した。個別信用購入あっせん業者がモニター報酬の存在を知ることができなかった場合は、購入者は支払停止の抗弁の主張はできない。

【解答】 ✖ 

  • モニター報酬が購入の重要事項であれば、債務不履行として契約解除ができ、支払い停止の抗弁ができる。

 

⑨ クレジットカード加盟店は、クレジットカード番号等の漏えい等の事故防止措置を講ずる義務とともに、クレジットカード番号等の不正な利用の防止措置を講ずる義務を負う。

 【解答】 〇 改正割販法により加盟店のセキュリティ強化の義務

  • 加盟店に対し、クレジットカード番号等の適切な管理を義務づける。(カード番号等の⾮保持化あるいはPCIDSS準拠)
  •  加盟店に対し、不正使⽤の防⽌を義務づける。(クレジット決済端末のIC化、ネット上でのなりすまし対策)

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 15問

消費生活相談員資格試験  2019年度(1回目) 15問

15. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 ※以下は、特定商取引法に関する問題である。

① 化粧品の訪問販売を行うA社が特定商取引法違反で業務停止命令を受けたとき、その会社の役員は、当該停止期間と同一の期間、㋐停止命令の範囲の業務を営む会社を新たに設立することについて、禁止を命じられる場合がある。当該役員は、停止命令の範囲の業務を営む既存のB社の役員になることについて、㋑禁止を命じられる場合がある。主務大臣は、業務の停止・禁止を命じた場合、その旨を㋒公表することが義務づけられている。 

【解答】 〇 特商法8条の2

  • 当該法人の役員若しくは使用人又は当該命令以前 60 日以内にこれらの立場にあった者であって、かつ、停止を命じられた業務に主導的な役割を果たしている者に対し、業務停止命令と同一の期間において当該命令の範囲の業務を新たに開始すること及び当該業務を営む法人の担当する役員となることの禁止を命令できる。
  • 主務大臣が業務停止命令をしたときは、その旨の公表を義務付ける。

  

電話勧誘販売において、販売業者からの執拗な勧誘に対し、相手方が応答せずにそのまま電話を切ることを何度も繰り返した場合、㋐契約を締結しない旨の意思表示とはならない。また、「その商品はいりません」と断った者に対して、販売業者が当該商品以外の商品の勧誘をすることは㋑禁止されていない。「今は忙しいので後日にしてほしい」と断った者に対して、後日勧誘することは㋒禁止されていない。

【解答】 ✖ ア 特商法17条 何度も応答しない行為も契約しない意思表示とみなす。

  • 加えて、電話勧誘販売においては、電話の「覆面性」や「容易性」から執拗な勧誘を容易に行い得る特性からして、応答せずにそのまま電話を切ることが繰り返されるなど黙示的に契約を締結しない旨の意思を表示したと考えられる。

 

③ 通信販売の広告の方法には、インターネット上のホームページ、㋐電子メール、SNS 等に表示される広告を含む。ホームページに、「初回お試し価格」と称して安価で商品を販売する旨が表示されているが、当該価格で商品を購入するためには、その後通常価格で定期購入をしなければならない場合は、商品の売買契約を㋑2回以上継続して締結する必要がある旨等を表示しなければならない。1回の契約で複数回の商品の引渡しや代金の支払いを約する場合は、㋒買い手が支払うこととなる代金の総額等の条件をすべて正確に記載しなければならない。

【解答】 〇

  • 新聞、雑誌等に掲載される広告のみならず、カタログ等のダイレクトメール、テレビ放映、折込みちらし、インターネット上のホームページ(インターネット・オークションサイトを含む。以下同じ。)、電子メール、SNS等において表示される広告も含まれる。
  • 記載事項に商品の売買契約を2回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び金額、契約期間その他の販売条件
  • 1回の契約で複数回の商品の引渡しや代金の支払を約することとなる場合は、買い手が支払うこととなる代金の総額等の条件を全て正確に記載しなければならない

 

④ A社から、A社が主催するパソコンスキルアップ講座を受けて技能を習得し、データ入力の在宅ワークを行えば収入が得られると言われ、講座の勧誘をされた。そのデータ入力の業務が、㋐A社が提供するものか、A社があっせんしているものであり、講座受講料の支払い等の㋑A社に対する特定負担が伴えば業務提供誘引販売取引の規定が適用される。在宅ワークを始めた後、提供される業務に関して課される業務量のノルマは、特定負担に㋒含まれる。

【解答】 ✖ ウ ➡

  • 業務提供誘引販売は、 有償で行う役務の提供(そのあっせんを含む。)の事業であって、その提供される役務を利用する業務に従事することにより得られる利益を収受し得ることをもって相手方を誘引し、その者と特定負担(その役務の対価の支払い又は取引料の提供)を伴うもの
  • 業務量のノルマや提供される業務を行うために必要な研修への参加行為であって金銭的な負担ではないものは、特定負担には該当しない
  • 利用する商品の購入代金や研修等の役務の対価の支払代金、登録料、入会金、保証金等があれば、それらの費用は「取引料」であり、特定負担に該当する

 

⑤ 訪問購入において、購入業者が代金を支払った場合でも、相手方は、クーリング・オフ期間内は、物品を購入業者に引き渡すことを拒むことができる。訪問購入の規制は、政令で適用除外とされている物品には適用されない。例えば、自動二輪車㋒書籍には適用されない。

【解答】 ✖ イ 

  • 58条の15:一度物品を購入業者に引き渡してしまうと、第三者への転売等により、物品を元々所有していた訪問購入に係る売買契約の相手方がクーリング・オフをしても、引き渡した物品そのものが返却されないおそれが高くなり、クーリング・オフを認めた趣旨が没却される可能性がある。
  • そこで、クーリング・オフが認められる期間内は、売買契約の相手方は物品の引渡しを拒むことができるように規定
  • 適用除外:「家庭用電気機械器具」「家具」「自動車(2輪のものを除く。)」「有価証券」「書籍」「CD,DVD等」

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 14問

2019年度(1回目) 消費生活相談員資格試験 14問

14. 次の各文章が、正しければ〇、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 ※以下は、特定商取引法に関する問題である。

① 学生サークルのメンバー間で使用する SNS に、「留学についてのアンケートに答えてほしい」というグループ内メッセージが送信されたので、指定された事務所に行くと、「聞くだけで英会話が上達する」などと言われて、英会話の DVD 教材の購入契約を締結した。この場合、特定商取引法の訪問販売の規定が適用される。

【解答】 〇

  • 指定された事務所へはアンケートに答えるために行ったのであり、勧誘目的の隠匿にも該当する。当然ク・オフ可能。

 

② 訪問販売の事業者が消費者に売買契約の代金を支払わせるために、虚偽の年収や預貯金額を契約書に記載させたり、消費者の意に反して銀行 ATM に連れて行ったりすることは、主務大臣による指示対象行為となり、指示処分がなされたときは必ず公表される。

【解答】 〇 特商法7条(指示等)1項5号 省令で定めるものの一つ 

  • 当該訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約の相手方の年収、預貯金又は借入れの状況その他の支払能力に関する事項について虚偽の申告をさせること。
  •  当該訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約の相手方の意に反して貸金業者の営業所、銀行の支店その他これらに類する場所に連行すること。
  • 個別信用購入あつせん関係受領契約若しくは金銭の借入れに係る契約を締結させ、又は預貯金を引き出させるため、迷惑を覚えさせるような仕方でこれを勧誘すること。

 

電話勧誘販売により契約がなされた場合、販売業者は、購入者に契約書面を交付しなければならない。この書面の交付に代えて、書面記載事項をメールに記載して送付する方法でも書面交付義務を果たしたことになる。

【解答】 ✖ メールによる契約書等交付は書面交付とならない 

  • 特商法は書面と電磁的記録(電子メール等)を別個のものとして書き分けているため、電磁的記録は書面に含まれない。

 

電話勧誘販売業者が、1回の販売行為で、相手方消費者にとって日常生活において通常必要とされる分量を著しく超えた量の商品の販売、いわゆる過量販売を行った場合、消費者がその契約を解除するためには、販売業者が、その販売が過量販売であることを認識している必要がある。

【解答】 ✖ ➡1回の販売行為の場合、事業者の認識は不要。複数回の場合は、事業者が認識していたかが要件となる。

  • 24条の2第1号では、事業者の一回の販売行為等による販売量等が通常必要とされる分量等を著しく超えた契約である場合を定めている。
  • 第2号では、過去の消費者の購入の累積から、通常必要とされる分量等を著しく超える契約になることであることを知りつつ販売等を行う場合を定めている。超えている事情を知りながら販売等を行ったという行為の悪意性が、要件として付加されているものである。

  

⑤ ネガティブ・オプションにおいて、4月1日に商品の送付を受けた消費者が、商品の引取りを請求しない場合は、4月 15 日以降、当該商品を販売業者に返還する必要はない。

【解答】 〇 
  • ネガティブオプションとは、購入の申込みをしていない者に一方的に商品を送り付け、相手方から商品の返送又は購入しない旨の通知がない限り勝手に購入の意思ありとみなしてその代金の請求をすること
  • 商品が送られてきた日から14日間(商品の引き取りを販売業者に請求したときは、その日から7日間)を経過すれば自由に処分できます。

 

⑥ 通信販売により商品を購入した契約者に対して、契約者からの請求も承諾もなくファクシミリ広告を送ることは、禁止されている。ただし、当該契約の内容確認や当該契約の履行に関わる重要事項をファクシミリで通知する場合に、その通信文の一部に付随的に広告を掲載する場合等はその限りではない。

【解答】 〇 
  • 請求や承諾のない電子メール広告を禁止(いわゆる「オプトイン規制」
  • 例えば、通信販売により商品を購入した者にその請求・承諾なしに自動的に電子メール広告を提供する場合は、承諾を取得しているとは解し得ないこととなる。
  • 「契約の成立」「注文確認」「発送通知」など、当該契約の内容確認や当該契約の履行に関わる重要事項を電子メールで通知する場合に、当該電子メールの一部に付随的に広告を掲載する場合のことである 

 

特定継続的役務提供契約を消費者の都合で中途解約した場合、すでに提供された役務の対価等の精算に用いる単価は、契約締結時の単価を上限としなければならない。

   【解答】 〇
  • 特商法49条では、中途解約制度を設けるとともに、中途解約に伴い事業者が請求し得る金額の上限を規定。
  • 中途解約の時点で既に提供済みの役務の対価相当額については事業者が請求可能である。なお、この既提供部分の対価の算出にあたっては、契約締結時の単価を上限とする。
  • 例えば、契約締結時には「キャンペーン特別価格」と称して安い金額で積算しておきながら中途解約時には「通常料金」を用いて精算することはできず、当初のキャンペーン価格を上限とする。

 

特定継続的役務提供契約を締結した際に関連商品を購入した場合、特定継続的役務提供の規定に基づいて当該関連商品をクーリング・オフできるのは、本体の役務提供契約をクーリング・オフした場合に限られる

【解答】 〇

 

⑨ 連鎖販売業における「物品の販売」には、施設を利用し又は役務の提供を受ける権利の販売を含む。

 【解答】 〇

  • 特商法(定義)第 33 条:「連鎖販売業」とは、物品(施設を利用し又は役務の提供を受ける権利を含む。)の販売

 

業務提供誘引販売取引については、特定商取引法上、クーリング・オフ期間の経過後であっても、中途解約により契約を解除することができる旨の規定がある。

 【解答】 ✖ 

  

⑪ 訪問購入において、購入業者は、買い取った物品をクーリング・オフ期間中に転売することが禁止されている。

 【解答】 ✖ 特商法(第三者への物品の引渡しについての相手方に対する通知)第 58 条の 11

  • 購入業者がクーリング・オフ期間内に第三者に物品を引き渡す場合は、売買契約の相手方に対し、三者への引渡しに関する情報を通知することを義務付けた

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 13問

消費生活相談員資格試験  2019年度(1回目) 13問

13. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 ※以下は、消費者契約法に関する問題である。

消費者契約法において「事業者」とは、㋐法人その他の団体及び㋑営利の目的をもってなされる事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。当初、個人利用として締結した契約内容を、ある期間経過後、事業のために利用した場合の同法の適用の有無は、㋒契約内容に連続性があれば、契約当初における利用目的によって判断される。

【解答】 ✖ イ ➡ 営利か否かは問わない。

  • 「事業」とは、「一定の目的をもってなされる同種の行為の反復継続的遂行」であるが、営利の要素は必要でなく、また、公益・非公益を問わず反復継続して行われる同種の行為が含まれる。
  • 労働契約に基づく労働は、「事業」という概念には当たらないと考えられる
  •  当初、個人利用として締結した契約内容を、ある期間経過後、事業のために利用した場合の本法の適用の有無は、契約内容に連続性があれば、契約当初における利用目的によって判断される。
  • インターネット契約を当初個人が個人利用としてインターネット事業者との間で締結し、当該個人が半年後通信販売事業を開始した場合、通信販売事業を開始した時点において、当該契約の取消しや変更がなく当初の契約が続いていれば、当該契約については消費者契約となる。

 

② 2018(平成 30)年の消費者契約法の改正では、事業者の不当性の高い勧誘行為が類型化されて、消費者の困惑に起因する意思表示の取消しを認めるべき場合が新たに規定された。例えば、㋐霊感等による知見を用いた告知によって「困惑」させた場合がある。また、消費者の社会生活上の経験不足が不当に利用されていることを要件に取消しが認められるものとして、㋑不安をあおる告知によって「困惑」させた場合や、㋒恋愛感情等に乗じた人間関係を濫用して「困惑」させた場合がある。

【解答】 〇

  • 消費者契約法4条 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
  • ④勧誘を行う者に対して恋愛感情その他の好意の感情を抱き、かつ、当該勧誘を行う者も当該消費者に対して同様の感情を抱いているものと誤信していることを知りながら、これに乗じ、当該消費者契約を締結しなければ当該勧誘を行う者との関係が破綻することになる旨を告げること。
  • 生計、健康その他の事項に関しその現在の生活の維持に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、当該消費者契約を締結しなければその現在の生活の維持が困難となる旨を告げること。
  • 霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、そのままでは当該消費者に重大な不利益を与える事態が生ずる旨を示してその不安をあおり、当該消費者契約を締結することにより確実にその重大な不利益を回避することができる旨を告げること。

 

消費者契約法第4条第1項第1号は、消費者契約の締結につき勧誘するに際して不実告知がなされた場合の意思表示の取消しを認めている。また、事業者に㋐事実と異なるという認識は不要であり、告知の方法は㋑口頭でなくてもよい最高裁判所判例は、不特定多数に向けられた広告は㋒一律に「勧誘」に当たらないとしている。

【解答】 ✖ ウ ➡ 不特定多数に向けられたものであったとしても、「勧誘」に当たらないとは言えない

  • 「事実と異なること」は、必ずしも主観的認識を有していることは必要なく、告知の内容が客観的に真実又は真正でないことで足りる
  • 「告げる」については、必ずしも口頭によることを必要とせず、書面に記載して消費者に知悉させるなど消費者が実際にそれによって認識し得る態様の方法であればよい。
  • 「勧誘」に関連する最高裁判決平成 29 年 1 月 24 日 事業者等による働きかけが不特定多数の消費者に向けられたものであったとしても、そのことから直ちにその働きかけが「勧誘」に当たらないということはできないというべきである。

 

消費者契約法で規定する「断定的判断」とは、事業者が消費者契約の締結を勧誘するに際し、財産上の利得に関して、㋐将来における変動が不確実な事項について確実であると消費者に誤解させるような決めつけ方をいう。例えば、㋑「この先物取引をすれば、必ず 100 万円もうかる」と告知すること㋒証券会社の担当者がリスクの高い外債を販売する際、「円高にはならないので損はしない」と告知することは、「断定的判断」の提供に当たる。

【解答】 〇

  • 「その他の将来における変動が不確実な事項」とは、消費者の財産上の利得に影響するものであって将来を見通すことがそもそも困難であるもの(例えば証券取引に関して、将来における各種の指数・数値、金利、通貨の価格)をいう。
  • 将来において消費者が財産上の利得を得るか否かを見通すことが契約の性質上そもそも困難である事項について、事業者が断定的判断を提供した場合につき、取消しの対象とする旨を規定している。

 

消費者契約法第5条第2項は、消費者の代理人が、事業者による、いわゆる不実告知等に該当する勧誘行為により契約を締結した場合の取消しについては、㋐消費者の代理人を消費者とみなす旨、規定している。この場合、消費者本人は事業者との間の契約を㋑取り消すことができる。消費者の代理人が弁護士等の事業者である場合、㋒同項は適用されない

【解答】 ✖ ウ ➡ 消費者の代理人が弁護士等事業者であっても適用される

  • 消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示に関し、代理人及び復代理人
    行った意思表示については、消費者本人がなしたものとみなすこととしている。
  • 消費者の代理人が弁護士等の事業者である場合には、消費者と事業者との間「情報・交渉力の格差」があるとはいえないので、消費者契約法を適用するのは適当ではないとの考え方もある。しかし、法第5条第2項においては、消費者の代理人は消費者とみなしている

  

消費者契約法では、㋐消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の㋑法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して㋒消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とされる。

【解答】 〇 第 10 条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効) 

  • 消費者と事業者との間で締結された消費者契約の条項において、消費者が一定の行為をしない場合に、当該消費者が明示又は黙示の意思表示をしていなくても、新たな消費者契約を締結したものとみなすこととされている場合である。
  • 法令中の公の秩序に関しない規定」とは、いわゆる任意規定のことを指す。
  • 「消費者の利益を一方的に害する」消費者と事業者との間にある情報・交渉力の格差を背景として、当該条項により、任意規定によって消費者が本来有しているはずの利益を、信義則に反する程度に両当事者の衡平を損なう形で侵害することを指す。

 

消費者契約法第9条は、消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効について規定している。第1号では、契約の解除に伴う損害賠償額を予定する場合について、㋐当該業界全体における平均的な損害額を超える部分を無効としている。最高裁判所判例は、平均的な損害額の立証責任は基本的には㋑消費者が負うとしている。同号は、例えば、消費者の債務不履行に基づいて事業者が契約を解除する場合には㋒適用される。

【解答】 ✖ ア

  • この「平均的な損害」とは、同一事業者が締結する多数の同種契約事案について類型的に考察した場合に算定される平均的な損害の額
  • 「平均的な損害の額」について、最高裁裁判決は、事実上の推定が働く余地があるとしても、基本的には、消費者が立証責任を負うものと判断した。
  • たとえ消費者の責に帰すべき事由により事業者が解除権を行使する場合であっても、事業者は一定の金額を超える損害賠償等を請求することができないということを規定するものである。

 

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 12問

消費生活相談員資格試験   2019年度 12問 

12.次の文章の[ ]に入る最も適切な語句を、下記の語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。※以下は、現行民法(2017(平成 29)年改正前の民法)に関する問題である。

 

 【語群】
1. 催告  2. 権限濫用  3. 単独行為  4. 悪意  5. 双方代理   6. 表見代理  7. 追認 

8. 善意かつ無過失  9. 復代理  10. 援用  11. 法定代理  12. 無権代理  13. 善意

14. 使者  15. 受動代理 

 

代理は、代理権の発生が本人の意思に基づくかどうかによって、任意代理と[ ア ]の2種類に分けられる。[ ア ]の例としては、親権者による未成年者の代理、成年後見人による成年被後見人の代理が挙げられる。代理権を有しない者が他人の代理人として契約した場合は[ イ ]となり、本人が[ ウ ]をしなければ、本人に対してその効力を生じないのが原則である。[ イ ]であっても、本人が第三者に対して、他人に代理権を与えた旨を表示した場合には、第三者が[ イ ]であることについて[ エ ]であれば、その代理権の範囲内において、本人は責任を負う。これを[ オ ]という。

 【解答】ア:⑪法定代理 イ:⑫無権代理 ウ:⑦追認

     エ:⑧善意かつ無過失  オ:表見代理

  • 無権代理とは、本人を代理する権限がないにもかかわらず、勝手に本人の代理人として振る舞うこと。無権代理人に本人からの代理権がない以上、法律効果は本人には帰属しない。

  • しかし、本人が無権代理行為を追認の意思表示をすれば、一転して有効な代理行為となり効果が契約の時にさかのぼり本人に帰属する
  • 無権代理人に代理権が存在するかのような外観を呈しているような事情があると認められる場合に、本人は無権代理人が善意・無過失の相手方との間でなした行為について責任を負わなければならない

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 11問

消費生活相談員資格試験  2019年度(1回目) 11問

11. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

① 未成年者が、法定代理人の同意を得ずにした法律行為は、原則として法定代理人のみが取り消すことができる。ただし、未成年者が、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産をその目的の範囲内において処分したとき、あるいは、㋒自分が成年者であると信じさせるために詐術を用いたときは、法定代理人の同意を得ずにした法律行為であったとしても取り消すことがで
きない。

【解答】 ✖ ア ➡ 未成年の取り消しは本人と法定代理人(親)だできる。

  • 取り消しができないケースは「法定代理人から、処分を許された財産(小遣い)の範囲内」「法定代理人から許された営業に関する取引」「未成年者が詐術を用いた場合」
  • 詐術とは、未成年者が自分を成年者と偽ったり、法定代理人の同意を得ていないのに同意を得ていると偽って、その結果、相手方が誤信をしたことを言う。

 

成年後見人、保佐人、補助人を選任するには、家庭裁判所の審判が必要である。被補助人に関しては、本人以外の者が補助開始の審判を請求する場合、㋑本人の同意を得なければ、審判を行うことはできない。後見開始の審判がなされると、成年後見人には、㋒同意権、代理権、取消権が付与される。

【解答】 ✖ ウ ➡ 成年後見人には同意見はない。

  • 被後見人の場合、たとえ同意を与えたとしても、そのとおりに法律行為をする可能性は著しく低いので、成年後見人には、同意権は不要であるため、認められていない。
  • 後見開始の審判や保佐開始の審判とは異なり、本人以外の者の請求により補助開始の審判をする場合には、本人の同意が必要。これは、自己決定の尊重が理由。

   

消滅時効は、㋐時効によって利益を得る当事者が援用しなければ、その効力が生じない。時効の効力は、㋑時効の起算日にさかのぼる。時効の利益は、あらかじめ放棄することが㋒できない

【解答】 〇 

  • 消滅時効の「援用」とは 時効期間が経過したとしても、消滅時効の「援用」をしなければ、時効にならない。「援用」とは、時効の利益を受けるということを相手に伝えることを言う

  • 消滅時効は権利を行使することができる時を起算点として、この起算点から進行する

  • 時効利益の放棄は、時効が完成する前に放棄することができない民法第146条)。 債権の消滅時効において、債権者が債務者の窮状に乗じて、債務者に時効利益の放棄を事前に強いることを防止するための規定である。

  

④ 「契約自由の原則」は、契約締結の自由、㋐契約の相手方を選択する自由、契約内容を決定する自由等からなる。民法の契約に関する規定には、当事者がこの規定と異なる意思を表示した場合にはその適用を排除される任意規定が多い。詐欺による意思表示について取消権を定めた規定は、任意規定である。

【解答】 ✖ ウ ➡ 強制規定

  • 任意規定とは、ある法律の規定に関して、契約当事者による合意がある場合に、その合意のほうが優先される法律の規定
  • 強行規定とは、ある法律の規定に関して、契約当事者による合意がある場合であっても、その合意よりも優先される法律の規定
  • 詐欺があっても取り消しできないという特約は認められないので、強制規定となる。

 

⑤ 売買契約は、当事者間における㋐申込みと承諾の意思表示の合致によって成立する諾成契約であり、契約の当事者が互いに対価的な債務を負担する双務契約である。最高裁判所判例では、特段の合意等がない限り、㋑契約の成立と同時に所有権が買主に移転するとされている。引渡期日が過ぎても、契約の目的物が引き渡されない場合、買主は㋒代金の支払いを拒むことができる

【解答】 〇 

  • 諾成(だくせい)契約とは、通常両当事者の合意だけで成立
  • 要物(ようぶつ)契約は、現実の物の引渡を要する(例…使用貸借、消費貸借、質権設定契約(動産)、手付契約、寄託契約)
  • (167条)物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。売主と買主の契約締結時に所有権が移転することになります。
  • 「同時履行の抗弁」双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない(533条)

 

債務不履行には、履行遅滞履行不能不完全履行の3類型がある。債務不履行があった場合の損害賠償請求の要件としては、債務者に㋑帰責事由があることが必要である。履行不能の場合、債権者は㋒催告をせずに契約を解除できる。

【解答】 〇 

  • 履行不能の場合には、「債務不履行の事実」と「損害の発生」に加え、「帰責事由」が必要であると規定されていたが、、民法改正により、履行不能履行遅滞不完全履行を含めた債務不履行全般として、債務者の帰責事由が要件となることを明文化
  • 契約解除には一度催告する必要があったが、民法改正で無催告解除ができると定めました。(履行不能、債務者の明確な履行拒絶の場合等)

 

民法では、詐欺又は強迫による意思表示は取り消すことができる。意思表示をした者に㋐重大な過失があっても、取消しができる。取り消した行為は、㋑初めから無効であったとみなされる。詐欺又は強迫によって売買されたことを知らずに、売買の目的物を購入した善意の第三者に対しては、詐欺の場合は取消しを対抗できない。㋒強迫の場合は取消しを対抗できる

【解答】 〇

  • 詐欺・強迫取消が成立する要件としては、①詐欺・強迫行為がなされたこと、②この詐欺・強迫によって相手方が錯誤・畏怖に陥ったこと、③当該錯誤・畏怖に基づいて意思表示をしたことが必要なので、過失があっても取り消しが可能
  • 取消権は、詐欺強迫などをされた者等に限られ、詐欺・強迫を行った方から取消権を行使することはできない
  • 取り消された行為は、初めから無効であったものとみなされる
  • 詐欺にかかる取消権も強迫にかかる取消権も追認が可能な時から5年が経過したときは、消滅時効。単に20年を経過したときも同様。
  • 詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができないが、脅迫の場合は善意の第三者に対抗できる。

 

⑧ 請負契約における請負人の義務は、㋐請け負った仕事を完成することである。請負人は、㋑注文者の同意を得なければ、下請業者を使って仕事を完成させることができない。請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、㋒いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる

【解答】 ✖ イ ➡ 自由に下請けを使うことができる

  • 請負においては契約上の完成すべき時期までに内容となる仕事が完成しさえすれば債務は履行されたことになることから、特約のある場合でない限り、請負人は自由に下請負人用いて仕事の完成にあたらせることができる
  • 請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる(641条)

 

⑨ 建物賃貸借契約において、契約期間を定めていなかった場合、民法によれば、賃借人は㋐事由を問わずいつでも解約の申入れができ、そこから3ヵ月を経過することによって契約は終了する。契約期間を定めていない建物賃貸借契約において、民法の特別法である借地借家法によれば、賃貸人は正当事由があれば解約の申入れができ、そこから㋒6ヵ月を経過することによって契約は終了する。

【解答】 〇 

  • 民法617条)期間を定めなかった賃貸借契約は、いつでも両者から解約を申し入れ出来る。契約が終了するのは申し入れしてから土地は1年、建物は3か月、動産等は1日。
  • 借地借家法2 7 条)賃貸人が建物賃貸借の解約を申し入れた場合には、建物の賃貸借は解約申入れの日から6カ月を経過することにより終了する

  • 借地借家法28条)賃貸人による建物賃貸借の解約の申入れは正当事由がなければ、することができない旨が定められている。

 

不法行為に基づく損害賠償では、精神的損害に対する賠償が㋐認められている。未成年者が他人に損害を加えた場合でも、未成年者に自己の行為の責任を弁識するに足りる知能である責任能力がなければ、未成年者自身が不法行為に基づく損害賠償責任を負うことはない。その場合において、未成年者の監督義務者は、㋒監督義務を怠らなかったことを立証すれば、損害賠償責任を負わない。

【解答】 〇 

  • 未成年者が他人に損害を加えた場合でも、責任能力がない場合には、損害賠償義務を負わない(712条)。
  • 過去の裁判例をみると、おおむね12~13歳程度であれば責任能力を認めている場合が多い

  • その代わり、親権者や後見人のように監督義務者が責任を負う。しかし、監督義務者が十分義務を尽くしたのに損害が発生したことを証明した場合は、責任を負わなくてもよい(714条)

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 10問

2019年度(1回目) 消費生活相談員資格試験 10問

10. 次の各文章が、正しければ〇、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

① 旅行業法において、「旅行業者」との取引によって生じた旅行者の債権を保護するための保証金制度には、「旅行業者」が同法で規定された旅行業協会の正会員である場合の営業保証金制度と、「旅行業者」が同協会の正会員ではない場合の弁済業務保証金制度がある。

【解答】 ✖ ➡  営業保証金制度は旅行業協会の会員以外、弁済業務保証制度が教会の正会員ための制度

 

② 「探偵業の業務の適正化に関する法律」の規定では、行方不明の飼い犬の調査は「探偵業務」には該当しない。

【解答】 〇 ➡ 探偵業は人に関する調査。動物は物に該当するので探偵業ではない。 

  • 探偵業務とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として、聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務。
  • ペット捜しは正規の届出を行なった探偵業者でなくても出来きる。探偵業法には、物を探す場合の規制は書かれていない。探偵業法で規制されている探偵業務の内容は、あくまで人間に対する調査だけ。

 

③ 「標準引越運送約款」は、引越運送業者が見積書に記載した荷物の受取日の3日前までに、申込者に対して、見積書の記載内容の変更の有無について確認を行っていた場合で、見積書に記載した受取日の前々日に荷送人の責任によって運送の解約がなされた場合、解約手数料はかからないとしている。

【解答】 ✖ ➡ 見積もりの変更の有無は受取日の2日前までに行う

  • 約款3条(見積)見積書に記載した荷物の受取日の2日前までに、申込者に対して、見積書の記載内容の変更の有無等について確認を行う。
  • 受取日の前日に解約した場合は運賃の10パーセント以内
  • 受取日の当日に解約した場合は運賃の20パーセント以内

 

④ 「動物の愛護及び管理に関する法律」では、第一種動物取扱業者が犬を販売する場合、購入しようとする消費者に対し、その犬の写真を提示すれば直接見せる必要はなく、インターネット上で売買契約を締結できるとしている。

【解答】 ✖ ➡ ペットのインターネット上のみの取引はできない。

  • ペットショップやペットホテルなど営利性がある業は第一種動物取扱業、動物保護施設など営利性のない業で、飼養施設を一定頭数以上の動物を取り扱う場合は第二種動物取扱業となります。
  • あらかじめ、動物を購入しようとする者に対して、その動物の現在の状況を直接見せる(現物確認)とともに、その動物の特徴や適切な飼養方法等18項目について対面により文書等を用いて説明しなくてはなりません(対面説明)。そのため、インターネット上のみでの取引きはできない

  

⑤ 「標準旅行業約款」において、旅行業者は、募集型企画旅行契約の履行にあたって、故意又は過失により旅行者に損害を与えたときは、損害発生の翌日から起算して1年以内に旅行者から通知があったときに限り、その損害を賠償する責任を負うと規定されている。

【解答】 ✖ ➡ 損害発生から2年以内
  • 約款(27条)募集型企画旅行契約の履行に当たって、当社がが故意又は過失により旅行者に損害を与えたときはは、その損害を賠償する責任がある。。ただし、損害発生の翌日から起算して二年以内に当社に対して通知があったときに限る。
  • 天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令等によって損害を被ったときは、その損害を賠償する責任を負わない。
  • 手荷物について生じた場合、損害発生の翌日から起算して、国内旅行にあっては十四日以内に、海外旅行にあっては二十一日以内に当社に対して通知があったときに限り、旅行者一名につき十五万円を限度として賠償。

 

古物営業法によると、古物商が買い受け、又は交換した古物のうちに盗品があった場合においては、その古物商が当該盗品を公の市場において善意で譲り受けた場合においても、被害者は、盗難から1年を経過する前であれば、古物商に対し、これを無償で回復することを求めることができる。

【解答】 〇 古物営業法20条 盗品または遺失物の回復
  • 古物商が競売以外の「公の市場」で盗品や遺失物である事情を知らないで譲り受けた場合には、被害者または遺失者は盗難または遺失のときから1年以内に限り無償で返還の請求ができる
  • 古物商が一般の人から入手した古物が盗品または遺失品であった場合、被害者または遺失者は、盗難または遺失のときから2年間、無償で当該古物の返還を請求できる。民法193条 盗品または遺失物の回復)

 

⑦住宅宿泊事業法によると、「住宅宿泊事業者」は、届出住宅に宿泊者名簿を備えるよう努めなければならない。

【解答】 ✖ 宿泊者名簿は義務

  • 住宅宿泊事業者は、正確な記載を確保するための措置を講じた上で、宿泊者名簿に次の項目を記載する必要がある。(宿泊者の氏名、住所、職業及び宿泊日)(外国人であるときは、その国籍及び旅券番号)
  • 宿泊者名簿には、宿泊者全員を記載する必要があり、代表者のみの記載は認められない。

  

⑧ 医療法及びその省令において、医業もしくは歯科医業又は病院もしくは診療所の広告に、患者の主観に基づく治療の内容又は効果に関する体験談を掲載することは許されている。

【解答】 ✖ 患者の主観の内容、体験談の広告は禁止

  • 医療機関が、治療等の内容又は効果に関して、患者自身の体験や家族等からの伝聞に基づく主観的な体験談は、個々の患者の状態等により当然にその感想は異なるものであり、誤認を与えるおそれがあることを踏まえ、医療に関する広告としては認められない。
  • 患者の体験談の記述内容が、広告が可能な範囲であっても、広告は認められない。

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 9問

消費生活相談員資格試験  2019年度(1回目) 9問

9. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

製造物責任法における「欠陥」とは、当該製造物が㋐通常有すべき安全性を欠いていることをいう。同法では「欠陥」の考慮事情として、当該製造物の特性、㋑その通常予見される使用形態㋒その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期等を明記している。

【解答】 〇 PL法2条 欠陥の定義

  • 「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。
  • 「欠陥」を「通常有すべき安全性を欠いていること」と定義することで、絶対的な安全性を要求していることを明確化した
  • 欠陥の判断基準となり時点は、当該製造物を引き渡した時期である。

 

 ② 製造物の欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、当該製造物の製造業者等は製造物責任法に基づき損害賠償責任を負う。ただし、㋐その損害が当該製造物についてのみ生じたときは製造物責任法は適用されない。また、製造物責任法で賠償される損害には、㋑当該被害者の精神的損害㋒事業上の損害を含む。

【解答】 〇 

  • 製造物責任は、製品の引き渡し、欠陥の存在、生命・身体・財産の侵害、損害の発生が条件なので、製品自体に問題・欠陥があるだけではPL法の対象外
  • 生命・身体の損害を通して、精神的損害が生じた場合は賠償できる。しかし、精神的損害賠償のみ=慰謝料のみの賠償はできない。

  

③ 医薬品による健康被害に対しては、㋐医薬品副作用被害救済制度㋑生物由来製品感染等被害救済制度C型肝炎救済特別措置法による給付金等の救済制度が設けられている。

【解答】 〇 

  • 医薬品副作用被害救済制度は、医薬品等を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による健康被害を受けた方に対して、医療費等の給付を行う制度。医薬品医療機器総合機構給付の請求し、その健康被害が医薬品等の副作用によるものかどうか、医薬品等が適正に使用されたかどうか等の医学・薬学的な判定の申し出を厚生労働大臣に行い、薬事・食品衛生審議会に意見を聴いて判定することとされている。
  • 生物由来製品を適正に使用したにもかかわらず発生した感染等により、迅速な救済を図ることを目的とした公的な制度。生物由来製品とは「 遺伝子組換製剤」「豚心臓弁等」「人血液製剤

  • 特定の血液製剤の投与を受けたことによって、C型肝炎ウイルスに感染された方又は相続人に対し、症状に応じて給付金を支給。給付を受けようとする者は、給付対象者であることを裁判手続の中で確認の上、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に請求を行う。 裁判所への「訴えの提起」等は、2023年(平成35年)1月15日(法施行後15年)まで

 

④ 消費生活用製品安全法上の「製品事故」が生じた場合、「重大製品事故」に該当するときは、㋐当該製品の製造又は輸入の事業を行う者は同法に基づき、内閣総理大臣に事故情報の報告義務を負う。当該製品の小売販売、修理又は設置工事の事業を行う者は、「重大製品事故」が発生したことを知ったときは、㋑当該製品の製造又は輸入の事業を行う者に通知するよう努めなければならない。携帯電話機の発熱により消費者が全治2週間の熱傷を負った場合、㋒「重大製品事故」に該当する。

【解答】 ✖ ウ ➡ 重大製品事故は治療用する期間が30日以上

  • 製造事業者・輸入事業者は、その製造等に係る製品の重大製品事故を知った場合、消費者庁へ10日以内(知った日を含め)に迅速かつ的確に報告
  • 重大製品事故とは、死亡事故 ・後遺障害事故、治療を要する期間が30日間以上の事故、火災(消防が火災と認定したもの )、一酸化炭素中毒事故(軽症を含む)

 

⑤ 消費生活用製品安全法の対象は、主として一般消費者の生活の用に供される製品である。電気用品安全法に基づく「電気用品」は、消費生活用製品安全法の㋐対象ではない。消防法に規定された消火器具等は、消費生活用製品安全法の㋑対象ではない医薬品医療機器等法に規定された化粧品は、消費生活用製品安全法の㋒対象ではない

【解答】 ✖ ア  

  • 消費生活用製品とは、 電気用品やガス器具等を含めて、私たちの身の回りにある、ありとあらゆる製品

  • 適用除外:船舶、食品・添加物洗浄剤、消防法(消火器具等)、道路運送車両、医薬品、医薬部外品、化粧品医療機器

 

⑥ 消費生活用製品安全法における「特定保守製品」の製造事業者は、製造する「特定保守製品」について㋐設計標準使用期間及び点検期間を設定しなければならず、「特定保守製品」を販売するときは㋑製品に所有者票を添付しなければならないと定められている。また、「特定保守製品」の製造事業者には、所有者名簿に登録された所有者に対して、㋒点検期間が開始する6ヵ月前から点検期間開始日までの間に、点検通知を発することが義務づけられている。

【解答】 〇 

  • 「特定保守製品」9品目 屋内式ガス瞬間湯沸器(都市ガス用)、屋内式ガス瞬間湯沸器(プロパンガス用)、屋内式ガスバーナー付ふろがま(都市ガス用)、屋内式ガスバーナー付ふろがま(プロパンガス用)、石油給湯器、石油ふろがま(石油風呂釜)、FF式石油温風暖房機、ビルトイン式電気食器洗機、浴室用電気乾燥機
  • 消費者はユーザー登録のための「所有者票」の「お客様記入欄」に所定の事項を記入し郵送などにより登録を行わなければならない
  • 特定保守製品は、安全に使う目安となる設計上の「標準使用期間」を設けており。所有者登録をすると、設計標準使用期間が終わるころに点検通知が届く。

 

電気用品安全法に定める「電気用品」は、原則として㋐PSC マークを付さなければ販売することができない。マーク表示がない危険な「電気用品」が流通し、当該危険又は障害の拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、経済産業大臣は、その「電気用品」の製造又は輸入の事業を行う者に回収等を命じることができる。「電気用品」のうち、特に危険又は障害の発生するおそれが多いものとして政令で定めるものを㋒「特定電気用品」という。

【解答】 ✖ ア ➡ PSCマークは消費生活用製品。電気用品にPSEマーク

  • 「特定電気用品」構造又は使用方法その他の使用状況からみて特に危険又は障害の発生するおそれが多い電気用品(116品)

  •  「特定電気用品以外の電気用品」(341品目)

 

⑧ 自動車のリコールとは、自動車の設計、製造の過程に問題があったために、道路運送車両法の保安基準に㋐適合しなくなるおそれがある状態又は適合していない状態にある場合に、自動車メーカーが自らの判断で回収、修理することをいう。自動車メーカーは、㋑リコール完了後国土交通大臣に届け出ることが義務づけられている。メーカーが自主的にリコールを行わない場合には、国土交通大臣は、保安基準に適合させるために㋒必要な改善措置を勧告することができる

【解答】 ✖ イ ➡ 国土交通大臣に事前届出を行った上で回収・修理を行う

  • 自動車リコール制度とは、設計・製造過程に問題があったために、自動車メーカーが自らの判断により国土交通大臣に事前届出を行った上で回収・修理を行い、事故・トラブルを未然に防止する制度
  • 国土交通省の役割は、不具合情報の収集・分析、メーカーのリコールへの取組状況の調査、取組状況が不適切であれば指導又は監査等、メーカーが自主的にリコールを行わず、かつ、事故が頻発している場合には勧告・命令

 

⑨ 消費生活用製品安全法上の「特定製品」には、㋐家庭用の圧力なべ及び圧力がま、乗車用ヘルメット等が指定されている。同法第6条の届出を行った「特定製品」の製造又は輸入の事業を行う者は、原則として、同法で規定された技術基準適合義務を負う。「特定製品」のうち、その製造又は輸入の事業を行う者のうちに、一般消費者の生命又は身体に対する危害の発生を防止するために必要な品質の確保が十分でない者がいると認められる製品は、㋒「特別特定製品」として政令で定められている。

【解答】 〇 

  • 消費生活用製品の中で、消費者の生命・身体に対して特に危害を及ぼすおそれが多い製品については、国の定めた技術上の基準に適合した旨のPSCマークがないと販売できない。
  • 特定製品:登山用ロープ、家庭用の圧力なべ及び圧力がま、乗車用ヘルメット、石油給湯機、石油ストーブ
  • 特別特定製品:乳幼児用ベッド、携帯用レーザー応用装置、浴槽用温水循環器、ライター

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 8問

2019年度(1回目) 消費生活相談員資格試験 8問

8. 次の各文章が、正しければ〇、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

医薬品医療機器等法によれば、医薬品や化粧品等の製造販売業者が、その製造販売をしたものの使用によって保健衛生上の危害が発生し、又は拡大するおそれがあることを知ったときは、これを防止するために回収等の必要な措置を講じなければならない。ただし、化粧品を回収するときは、回収に着手した旨及び回収の状況を厚生労働大臣に報告する義務はない。

【解答】 ✖ ➡ 医薬品医療機器等法第68条の11 化粧品も含む

  • 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器若しくは再生医療等製品の製造販売業者は、製品の回収するときは、厚生労働省令で定めるところにより、回収に着手した旨及び回収の状況厚生労働大臣に報告しなければならない。

 

医薬品医療機器等法に基づく「薬局」は、薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務を行う場所をいい、開店時間中は薬剤師が常駐し、薬局等構造設備規則に適合した調剤室を備えていなければならない。

【解答】 〇 2条(定義)

  • 「薬局」とは、薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務を行う場所(その開設者が医薬品の販売業を併せ行う場合には、その販売業に必要な場所を含む。)をいう。
  • 第4条:薬局は、その所在地の都道府県知事の許可を受けなければ、開設してはならない。
  • 調剤薬局は薬剤師が常駐しており、調剤室で医薬品を調剤できる機能を持っている。単に薬店に置いている一般用医薬品(風邪薬など)を販売しているところではなく、調剤と言う医療を提供する場所。

 

③ 日本国内で販売される入浴剤(浴用剤)は、緩やかな身体作用を有することから、すべて医薬品医療機器等法における医薬部外品に分類されている。

【解答】 ✖ ➡ 入浴剤は、使用目的や成分等により化粧品と医薬部外品の2つに分類

  • 化粧品としての入浴剤の表示できる効能は「(よごれをおとすことにより)皮膚を清浄にする」「皮膚をすこやかに保つ」「皮膚にうるおいを与える」等の化粧品の効能の範囲
  • 浴用剤(医薬部外品)について認められている効能効果は、あせも・荒れ性・うちみ・肩のこり・くじき・しもやけ・・冷え症・腰痛・リウマチ・疲労回復等

 

④ 医療機器を国内で製造、販売する場合には、厚生労働大臣による医療機器製造販売業許可及び製造所ごとの製造業の登録の両方が必要である。なお、厚生労働大臣の当該権限に属する事務は、都道府県知事が行うこととされている。

【解答】 〇 

  • 医療機器を開発し、製造するか、輸入して、その製品を製造販売する場合、厚生労働大臣の製造販売業許可が必要になる。
  • その業務を行う事務所の所在地の都道府県知事が業許可の事務を行うことになっている。(機関委任事務

  

⑤ いわゆる「スイッチ OTC 医薬品」は、「セルフメディケーション税制」の対象医薬品である。「セルフメディケーション」とは、世界保健機関(WHO)において、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と定義されている

【解答】 〇 

  • OTCは、Over The Counterの略。OTC医薬品は、カウンター越しに販売者などの助言を受けた上で、医師の処方箋が無くとも購入できる医薬品
  • 主な例は解熱鎮痛剤のイブプロフェン、消炎剤のインドメタシン、生理痛用薬のイブプロフェンなど。そのほか胃腸薬、鎮痛剤、水虫薬、アレルギー用薬など
  • 2017年1月1日から、「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」が始まりまった。きちんと健康診断などを受けている人が、一部の市販薬を購入した際に所得控除を受けられる

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 7問

2019年度(1回目) 消費生活相談員資格試験 7問

7. 次の各文章が、正しければ〇、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

宅地建物取引業者は、不動産登記上の地目が「宅地」ではなく、「山林」や「原野」となっている土地を売却する場合にも、重要事項説明義務を負うことがある。

【解答】 〇 

  • 宅地建物の取引において、宅地建物取引業者が宅地建物取引士をして取引当事者に対して契約上重要な事項を説明が必要。
  • 説明の内容を記載して当事者に交付する書面を、重要事項説明書という。 宅地建物取引業法第35条に規定されているため、業界用語で「35条書面」と呼ばれる。
  • 地目に関わらず宅地とは「建物の敷地に供せられている土地」「建物を建てる目的で取引される土地」

 

宅地建物取引業法によれば、宅地建物取引業者が売主となる場合に、その事務所等以外の場所において、宅地又は建物の買受けの申込みをした者は、原則として、宅地建物取引業者から書面によりクーリング・オフ制度について告げられた日から8日以内に限り、書面により申込みの撤回を行うことができる。

【解答】 〇 

 

③ 2017(平成 29)年4月に「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」(住宅セーフティネット法)が改正され、民間の空き家、空き室を活用して、高齢者、低額所得者、子育て世帯等の「住宅確保要配慮者」の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度が創設された。

【解答】 〇 

  • 高齢者、障害者、子育て世帯等の住宅の確保に配慮が必要な方が今後も増加する見込みだが、公営住宅については増加が見込めず、一方で、民間の空き家・空き室は増加していることから、それらを活用した住宅セーフティネット制度
  • 住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度
  •  登録住宅の改修や入居者への経済的な支援(改修への補助・入居者負担の軽減)
  • 住宅確保要配慮者に対する居住支援(居住支援協議会・居住支援法人・家賃債務保証業者登録制度)

 

国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」によれば、建物の賃貸借の終了時に賃借人が負担する原状回復の内容は、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少をすべて復旧することとされている。

【解答】 ✖ ➡ 全ての減少分ではない

  • 原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、その費用は賃借人負担としました。
  • そして、いわゆる経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれる

 

⑤ 建設業法によれば、住宅リフォーム工事を行う事業者は、建設業法に基づく建設業の許可を受けていることが必要である。ただし、500 万円未満の住宅リフォーム工事のみを請け負う場合においては、その限りではない。

【解答】 〇 

  • 軽微な工事のみを請け負う者について、建設業法の許可制度を適用除外とした
  • 軽微な工事のみを請け負う業者や建造物の主体をなさない工事のみを請け負う業者は、公共の福祉との関係が希薄であること、修繕工事程度のみを行う小規模事業者に建設業法を適用することは過度な負担となるため
  • 「軽微な工事」の額については、請負金額が500万円未満(建築一式工事については1,500万円又は150㎡未満)の工事とされている、

 

建築基準法上、いわゆる違反建築物については、特定行政庁が請負人に対して違反を是正するための措置を命令する制度はあるが、建築物の建築主に対して違反是正の措置を命じる制度はない。

【解答】 ✖ 建築主、請負人等に対して是正措置を命じることができる

  • 違反した建築物又は建築物の敷地については、建築主、工事の請負人(請負工事の下請人を含む)若しくは現場管理者又は建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、改築、修繕、使用禁止など、違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。

  

⑦ 転貸事業を行う目的で、建物賃貸借契約を締結して、建物所有者からオフィスビルやマンション等を一括して借り上げる形態のサブリース契約については、最高裁判所判例では、賃料増減額請求権を定めた借地借家法第 32 条第1項の適用が排除されるものではない、としている。建物の賃借人である事業者は、同項に基づき、賃貸人である建物所有者に対して、賃料の減額を請求し得る。

【解答】 〇 平成15年10月21日最高裁判例

  • 「サブリース契約」とは、不動産会社が貸主から賃貸物件を一括で借り上げ入居者に転貸する。貸主は入居者がいようといまいと一定の家賃が保証されるとともに、入退去に関する手続きや家賃の集金業務などから開放される。
  • 最高裁判例「サブリース契約であっても借地借家法32条の賃料減額請求ができるのか?」。このようなサブリース契約の本質は、自ら住むためのアパート賃貸等とは違い、家賃保証というリスクを取って収益を得ようとする事業上の契約であって賃貸借契約ではない。だから借地借家法の適用はないので賃料減額請求権はなく賃料引下げはないとの主張に
  • 最高裁は、たとえサブリース契約であっても、それが建物賃貸借契約である限りは、借地借家法32条1項の賃料減額請求が可能だと判断した。

  

⑧ 有料老人ホームの設置者は、入居者から家賃等の前払金を受領する場合においては、入居契約の締結日から3ヵ月を経過する日までの間に、その契約が解除された場合に、上記の前払金の額から厚生労働省令に基づき算定される額を控除した額を返還する旨の契約を締結しなければならない。

【解答】 ✖ 3月以内での契約終了の場合の前払い金の返還規定が、法律により義務づけられているので契約書に明記する必要はない。入居契約書や重要事項説明書に記載される。

  • 老人ホームは家賃や敷金、サービス提供費用以外の対価性のない金品を受領してはならないこ。例えば、「権利金」や、その他の名目の如何を問わず受領することはできない。
  • 「前払金」は、算定根拠を明確にすることで、受領することができる。
  • 前払金を受領するホームに対し、3月以内での契約終了の場合の返還規定が、法律により義務づけられている。
  • これは、有料老人ホームへの入居後3月以内に解除または入居者の死亡により入居契約が終了した場合前払金から入居日数分の家賃、サービス提供費用などの実費相当額を差し引いた金額を返還するというものです。

 

⑨ 新築住宅の建築工事請負契約では、建設業の許可を受けた請負人は、当該住宅のすべての瑕疵について、住宅を注文者に引き渡した時から 10 年間瑕疵担保責任を負い、これに反する特約は無効とされている。

【解答】 ✖ 品確法の10年以上の瑕疵担保責任とする特約は有効

 

⑩ 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく指定住宅紛争処理機関は、同法に基づく建設住宅性能評価書が交付された住宅について、その建設工事の請負契約又は売買契約に関する紛争について、あっせん、調停等の住宅紛争処理を行うが、設計住宅性能評価書のみが交付された住宅に関する紛争は取り扱うことができない。

【解答】 〇

  • 「指定住宅紛争処理機関」とは、建設工事の請負契約または売買契約に関する紛争が発生した場合に、紛争の当事者の双方または一方からの申請により、紛争のあっせん・調停・仲裁の業務を行なう機関
  • 処理機関を利用するには、建設住宅性能評価書が交付されている住宅であることを要する。住宅性能評価を受けていない住宅は、指定住宅紛争処理機関による紛争処理を申請することができない。
  • 住宅性能評価書には設計住宅性能評価書・建設住宅性能評価書の2種類が存在するが、設計住宅性能評価書だけが交付されている場合にはこの紛争処理を申請することができない。

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 6問

消費生活相談員資格試験  2019年度(1回目) 6問

6. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

① 「クリーニング事故賠償基準」では、賠償額は、㋐物品の再取得価格に、物品の購入時からの経過月数に対応して定める補償割合を乗じて算定する。一方、クリーニング業者が賠償額の支払いと同時に利用者の求めにより事故物品を利用者に引き渡すときは、㋑賠償額の一部を免れることができると規定されている。なお、利用者とクリーニング業者との間で㋒賠償額の特約を結ぶことも可能であると規定されている。

【解答】 〇 

  • (賠償基準第4条)賠償額=物品の再取得価格×物品の購入時からの経過月数に対応して別表に定める補償割合
  • (6条)クリーニング業者が洗たく物を受け取った日より90日を過ぎても仕事の完成した洗たく物を客が受け取らず、かつ、これについて客の側に責任があるときは、クリーニング業者は受け取りの遅延によって生じた損害についてはその賠償責任を免れる。

  •  (7条)客が洗たく物を受け取った後6ヵ月を経過したときは、クリーニング業者は本基準による賠償額の支払いを免れる

  • 民法上、賠償基準とは別に、お互いの合意で特約を締結することは可能。(例えば、母親の形見の衣類なので事故にあった場合は、基準額の2倍を請求できるなど

 

 

② 繊維製品品質表示規程における「取扱い表示」は、日本工業規格(JIS)に規定する記号で、㋑洗濯処理記号、漂白処理記号、乾燥処理記号、アイロン仕上げ処理記号、商業クリーニング処理記号の5個の「基本記号」と、「付加記号」や「数字」の組合せで構成される。「取扱い表示」は、㋒着用などによって付着する汚れを最も効率的に除去できる方法を表示することになっている。

【解答】 ✖ ウ ➡

  •  「取扱表示」とは、日本工業規格L〇〇〇一(繊維製品の取扱いに関する表示記号及びその表示方法)の三に規定する記号
  • 取扱表示は必要な情報を消費者に提供するためにあり、最も効率的に行うため、結果を重視したものではない。

  

③ 消防法において、旅館、ホテル、病院など不特定多数の人が出入りする施設・建築物で使用される㋐カーテン㋑じゅうたん㋒劇場等で使用される舞台幕等は、消防法に定められた防炎性能基準の条件を満たした「防炎物品」であることが義務づけられている。

【解答】 〇 

  • ホテルや旅館などの火災では、火災時にカーテンやじゅうたんなどが火災を拡大する原因になりやすいため、カーテンやじゅうたんなどには防炎物品の使用が義務づけられている。

 

 

④ 栄養機能食品の対象食品は、消費者に販売される容器包装に入れられた㋐一般用加工食品及び一般用生鮮食品である。栄養機能食品では、食品表示基準別表に掲げる表示以外の機能表示は認められておらず、例えば、㋑「ビタミンB1は、夜間の視力の維持を助け、疲れ目の解消に役立つ栄養素です」㋒「ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です」などは認められている。

【解答】 ✖ イ ➡ 疲れ目の方になど特定の保険用途は表示できない

  • 例えば、「ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素です。」や「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。」のように、その機能を表示することができる。
  • 機能の表記は、食品表示基準に従い、規格に定められた栄養成分以外の成分の機能や、「疲れ目の方に」などといった特定の保健の用途は表示できない

 

⑤ 機能性表示食品制度は、生鮮食品を含むすべての食品が対象である。しかし、㋐アルコールを含有する飲料等は対象外とされている。事業者は、届出をしようとする食品の安全性について、まず食経験の評価を行い、食経験に関する情報が不十分である場合には、㋑既存情報により評価を行う。それでも不十分な場合には、㋒安全性試験を実施して評価を行う。

【解答】 〇 

  • 生鮮食品を含め、すべての食品が対象となるが、特別用途食品(特定保健用食品を含む。)、栄養機能食品、アルコールを含有する飲料等は除く
  • 安全性の確保は、喫食実績による食経験の評価・データベースの2次情報などを用いた情報収集・最終製品又は機能性関与成分における安全性試験の実施による。

 

⑥ 遺伝子組換え食品には、遺伝子組換え農作物とそれから作られた食品、遺伝子組換え微生物を利用して作られた食品添加物がある。遺伝子組換え食品については、㋑安全性が確認されたもののみを流通させることができる仕組みとなっている。遺伝子組換え農作物を原材料とした加工食品で、遺伝子組換えの痕跡が検出できない油やしょうゆ等については、遺伝子組換えに関する㋒表示義務はない。

【解答】 〇 

  • 日本で流通している遺伝子組換え食品には、①遺伝子組換え農作物とそれから作られた加工食品、②遺伝子組換え微生物を利用して作られた食品添加物がある。
  • 科学的な評価を行い、流通させることが認められている遺伝子組換え食品は、平成30年2月時点では、じゃがいも、大豆、てんさい、とうもろこし、なたね、わた、アルファルファ、パパイヤ8品目です。
  • 油やしょうゆなど、組み換えられたDNA及びこれによって生じたたんぱく質が加工工程で除去・分解され、検出が不可能とされている加工食品については、遺伝子組換えに関する表示義務はない。

 

⑦ 食品の安全を守るための仕組みはリスク分析という考え方を基本としており、次の3要素から構成されている。食品安全委員会が科学的知見に基づいて食品健康影響評価(リスク評価)を行い、その結果に基づき厚生労働省農林水産省消費者庁環境省等が規制等の措置(リスク管理)を実施する。施策の策定にあたっては、消費者庁の総合調整のもと、行政機関、消費者、生産者、食品事業者等の間で情報の共有や意見の交換(リスクコミュニケーション)が行われる。

【解答】 〇

  • リスク評価:どのくらいの確率でどの程度ヒトの健康への悪影響が起きるかを科学的に評価すること。
  • リスク管理:リスク評価の結果を踏まえて、リスクを低減するための科学的に妥当で適切な措置(規格や基準の設定等)を実施すること。
  • リスクコミュニケーション:行政機関、消費者、生産者、食品事業者との間で、それぞれの立場から情報の共有や意見を交換すること。
  • リスク評価機関(食品安全委員会)リスク管理機関(厚生労働省農林水産省消費者庁環境省等)がそれぞれ独立して業務を行いながらも、消費者庁が総合調整をしながら、相互に連携している。

 

⑧ 一般用加工食品には、栄養成分表示が義務づけられている。食品単位は100g、100ml、㋐1食分、1包装、その他の1単位のいずれかとし、㋑熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量に換算したもの)の順に表示しなければならない。表示値は、㋒分析により値を得るほか、計算等によって求めることも可能である。

【解答】 〇 

  • 熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量に換算したもの)の表示が義務付けられている。
  • 食品単位は、100g、100ml、1食分、1包装、その他の1単位のいずれかを表示する(1食分である場合、1食分の量を併記して表示する。)。
  • 類似性が高い食品がデータベース等にある場合、その値を用いて計算する等、分析以外でも表示値を求めることができる。

 

⑨ 「食品表示基準」では、食品関連事業者に加工食品の製造所等の所在地及び製造者等の氏名又は名称の表示を義務づけている。ただし、製造所固有記号制度では、原則として同一製品を㋐2ヵ所以上の製造所で製造する場合、あらかじめ都道府県知事に届け出た㋒製造所固有記号の表示をもって、上記の表示に代えることができる。

【解答】 ✖ イ ➡ 都道府県知事」ではなく、「消費者庁

  • 「製造所の所在地及び製造者の氏名又は名称」等の表示を義務付けている。
  • 同一製品を2以上の製造所で製造している場合には、あらかじめ消費者庁長官に届け出た製造所固有記号の表示をもって「製造所の所在地及び製造者の氏名又は名称」の表示に代えることができる。

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 5問

消費生活相談員資格試験  2019年度(1回目) 5問

5. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

① 消費者教育推進法第1条においては、「消費者教育が、消費者と事業者との間の㋐情報の質及び量並びに判断力の格差等に起因する消費者被害を防止するとともに、消費者が自らの利益の擁護及び増進のため㋑自主的かつ合理的に行動することができるようその自立を支援する上で重要であることに鑑み、㋒消費者教育の機会が提供されることが消費者の権利である」としている。

【解答】 ✖ ア ➡「判断力の格差」ではなく「交渉力の格差」消費者基本法も同様

  • 消費者教育推進法1条:消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差等に起因する消費者被害を防止するとともに、消費者が自らの利益の擁護及び増進のため自主的かつ合理的に行動することができるようその自立を支援する上で重要であることに鑑み、消費者教育の機会が提供されることが消費者の権利であることを・・・・・・

 

② 消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮し、人や㋐社会㋑環境に配慮しながら消費活動を行うことを「倫理的消費(エシカル消費)」という。エシカル消費に関連する認証ラベル・マークを目安に商品を購入することも、エシカル消費の一つの方法である。これは持続可能な開発目標(SDGs)の 12 番目㋒「つくる責任 つかう責任」に関連する取組である。

【解答】 〇

  • エシカル消費」とは、地域の活性化や雇用なども含む、人や社会・環境に配慮した消費行動

  • 2015年9月に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)の17のゴールのうち、特にゴール12に関連する取組「つくる責任 つかう責任」

  

③ 2018(平成 30)年に高等学校学習指導要領が改訂され、2022(令和4)年から実施される。重視されるポイントの一つは、知識の理解の質を高め資質・能力を育む㋐「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善である。消費者教育との関わりの深い教科である公民科においては、必履修科目として㋑「現代社会」が新設された。選挙権年齢が㋒18 歳以上に引き下げられた
ことで、高校での主権者教育の役割がこれまで以上に重要となった。主権者教育の内容とともに、多様な契約及び消費者の権利と責任等についても学ぶこととなっている。

【解答】 ✖ イ ➡ 現代社会」ではく、「公共」

  • 学習指導要領改訂:主体的・対話的で深い学び(「アクティブ・ラーニング」)の視点からの学習過程の改善

  • 高校の新科目「公共(仮称)」の新設など
  • 国民投票年齢が満18歳以上となることなども踏まえ、国家・社会の責任ある形成者となるための教養と行動規範や、主体的に社会に参画し自立して社会生活を営むために必要な力を、実践的に身に付ける。

 

日本銀行は、「経済・物価情勢の展望(2019 年1月)」において、「物価安定目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、㋐『長短金利操作付き量的・質的金融緩和』を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に㋑2%を超えるまで、通貨供給量を拡大する方針を継続する」旨を公表した。

【解答】 〇

  • 日本はいまだデフレ状態であり、インフレ方向に持っていくため(インフレになると物価上昇になるが経済は活性化する。大きなインフレでなければ)通貨供給量を拡大、金融緩和を進め、インフレ率2%の目標を達成する

 

⑤ 国は「未来投資戦略 2017」において、2027(令和9)年までにキャッシュレス決済比率を、㋐4割程度とすることを目指すとした。経済産業省が 2018(平成 30)年4月に公表した「キャッシュレス・ビジョン」で示された世界各国のキャッシュレス決済比率をみると、2015(平成 27)年時点で、日本での家計最終消費支出に占めるキャッシュレス支払手段による年間支払金額の割合
は韓国、中国、アメリカより㋑高い。日本でのキャッシュレス支払手段の支払額は、デビットカード電子マネーより、クレジットカードの方が㋒多い

【解答】 ✖ イ ➡ 低い。日本のキャッシュレス比率は他の国々より低い。

  • 「未来投資戦略 2017」において、海外諸国と比較して、キャッシュレス化が十分に進展していない。キャッシュレス決済の安全性・利便性の向上、事務手続の効率化、ビッグデータ活用による販売機会の拡大等を図ることが挙げられている。
  • また2027 年 6 月までに、キャッシュレス決済比率を倍増し、4 割程度とすることを目指す
  • キャッシュレス比率「プリペイド(前払い・交通流通系)1.7%」「リアルタイムペイ(デビッドカード)0.3%、(モバイルウォレットQコード)0%」「クレジットカード18.0%

 

金融広報中央委員会が 2018(平成 30)年に2人以上世帯を対象に実施した「家計の金融行動に関する世論調査」では、金融資産保有世帯の金融資産保有額の平均値は 1,519 万円であり、金融商品別にその構成比をみると預貯金が㋐4割を超え、債券、株式、投資信託を含む有価証券はおよそ㋑2割を占めた。また、金融資産残高が1年前と比べ「減った」と回答した世帯は金融資産保有世帯全体の3割程度であり、昨年の同調査結果より㋒増加している。

【解答】 〇 

  • 金融資産保有世帯の金融資産保有額は、平均値は 1,519 万円と前回(1,729 万円)比減少した。

  • 金融商品別の構成比をみると、預貯金は 43.9%と前回(54.1%)比低下した。有価証券(債券・株式・投資信託)は 19.2%と前回(18.0%)比上昇した。生命保険も 22.4%と前回(16.7%)比上昇した。

  •  なお、一般 NISA保有している世帯における平均保有額は、198 万円と前回(183 万円)増加した

 

循環型社会形成推進基本法は、㋐環境基本法の基本理念にのっとり、循環型社会の実現に向けた基本的枠組みを示し、その道程を明らかにすることを目的としている。㋑天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会を形成するための国民の責務として、㋒製品の長期使用、再生品の使用、分別回収への協力等を挙げている。

【解答】 〇

  • 循環基本法では、①廃棄物の発生抑制、②循環資源の循環的な利用、③適正な処分が確保されることによって、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される「循環型社会」の形成の姿が示されている。
  • 廃棄物・循環資源の処理の優先順位を、①発生抑制、②再使用③再生利用、④熱回収、⑤適正処分と初めて法制化した。
  • また、国、地方公共団体、事業者、国民の役割分担を明確化。事業者の排出者責任、適正な処分に関して国および地方公共団体の施策に協力するという国民の責務、拡大生産者責任が明確に位置づけられました。

 

⑧ 「食品ロス」とは ㋐食べられる・食べられないにかかわらず、捨てられる食品のことをいう。日本における 2014(平成 26)年度の食品ロスの発生量は621 万トンと試算されており、これは 2015(平成 27)年の世界全体の食糧援助量の㋑約2倍に相当する。食品ロスは国際的な課題でもあり、「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標 12 のターゲットの一つとして「2030(令和 12)年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を㋒半減させる」ことが設定されている。

【解答】 ✖ ア ➡ 食べられるのに破棄される食品

  • 食品ロスとは、まだ食べられるのに廃棄される食品のことです。
  • 日本では、年間2,759万トンの食品廃棄物等が出されている。このうち、まだ食べられるのに廃棄される食品、いわゆる「食品ロス」は643万トン。
  • これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧援助量(平成29年で年間約380万トン)の1.7倍に相当。
  • 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる。