消費生活相談員資格試験 過去問解説

消費生活相談員資格試験対策としては過去問を多く解くことが近道です。しかし、過去問の回答の解説がなかなか市販されていないため、独自で作成

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 4問

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目)4問

 4. 問題①から⑤のそれぞれについてア~オの文章の中から、誤っている文章を2つ選んで、その記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。

 

 ① 以下のア~オは、消費者安全法に関する問題である。
ア 「消費安全性」とは、商品等又は役務の使用等に伴う危険性・リスクがゼロとなるような高い水準の安全性のことをいう。
イ 食べ物により窒息事故が発生し死亡した場合、当該食べ物が消費安全性を欠くことにより事故が生じたものでないことが明らかであるものを除き、「重大事故等」に該当する。
内閣総理大臣は、「消費者事故等」に関する情報の集約及び分析を行い、取りまとめた結果を、国会に報告しなければならない。
エ 「消費安全性」を欠く商品の使用により火災が生じた場合、消費者の生命又は身体に被害が生じていなくても、「重大事故等」に該当する。
内閣総理大臣は、「消費者事故等」の発生又は「消費者事故等」による被害の拡大の防止を図るため必要があると認めるときは、関係市町村長に対し、必要な行政処分をすることを求めることができる。

【解答】 誤っているもの ア・オ

  • ア✖:(4条4項)「消費安全性」とは、商品等又は役務の特性、それらの通常予見される使用又は利用の形態等を考慮して、それらの消費者による使用等が行われる時においてそれらの通常有すべき安全性をいう。リスクゼロではない
  • イ〇:「重大事故等」(法第2条第7項)「 死亡」「負傷・疾病であって、治療に要する期間が 30 日以上、身体の障害が存するもの」「 一酸化炭素中毒」(その事故に係る商品等又は役務が消費安全性を欠くことにより生じたものでないことが明らかであるものを除く
    ウ〇:13条1項:内閣総理大臣は、消費者事故等に関する情報が消費者安全の確保を図るため有効に活用されるよう、迅速かつ適確に、当該情報の集約及び分析を行い、その結果を取りまとめるものとする。4項:内閣総理大臣は、国会に対し、第一項の規定により取りまとめた結果を報告しなければならない。
  • エ〇:「重大事故等」には政令により、商品等又は役務の使用等において、消費者に窒息その他の生命・身体に対する著しい危険が生じ、又は火災その他の著しく異常な事態が生じたこと
  • オ✖:市町村長ではなく、他の大臣に対して。39条:内閣総理大臣は、消費者事故等の発生に関する情報を得た場合において、消費者被害の発生又は拡大の防止を図るために実施し得る他の法律の規定に基づく措置があり、必要であると認めるときは、当該措置の実施に関する事務を所掌する大臣に対し、当該措置の速やかな実施を求めることができる。

 

② 以下のア~オは、消費者安全法に関する問題である。
消費者安全調査委員会は、「生命身体事故等」が発生した場合、生命身体被害の発生又は拡大の防止のために原因を究明する必要があると認めるときは、調査権限を行使するなどして自ら調査を行う。
消費者安全調査委員会は、「生命身体事故等」について他の行政機関が行った調査等の結果については、事故等原因を究明しているかどうかの評価を行うことができない。
都道府県知事及び市町村長は、「重大事故等」が発生した旨の情報を得たときは、「重大事故等」の態様、「重大事故等」が発生した日時及び場所、「重大事故等」の原因となった商品等を特定するために必要な情報等を直ちに内閣総理大臣に通知しなければならない。
エ 工場における施設・機械の故障により当該工場内で就労していた労働者の生命・身体に被害が発生した事故は、「消費者事故等」に該当する。
内閣総理大臣は、財産被害に関する「消費者事故等」について、被害の発生又は拡大の防止を図るため消費者の注意を喚起する必要があると認めるときは、当該「消費者事故等」の態様、当該「消費者事故等」による被害の状況等の情報を都道府県及び市町村に提供するとともに、これを公表するものとされている。

【解答】 誤っているもの イ・エ

  • ア〇 イ✖:15条:消費者庁に、消費者安全調査委員会を置く。16条:調査委員会は、生命身体事故等の原因等を究明するための調査を行う。生命身体事故等について、他の行政機関による調査若しくは検査の結果について事故等原因を究明しているかどうかについての評価を行う。(航空、鉄道、船舶事故を除く)
  • ウ〇:12条:行政機関の長、都道府県知事、市町村長及び国民生活センターの長は、重大事故等が発生した旨の情報を得たときは、直ちに、内閣総理大臣消費者庁)にその旨及び当該重大事故等の概要事項等を通知しなければならない。
  • エ✖:労働上の事故であるため、消費者事故に該当しない
  • オ〇:38条:内閣総理大臣は、消費者事故等の発生に関する情報を得た場合において、被害の拡大又は類似の消費者事故等の発生の防止を図るため、消費者の注意を喚起する必要があると認めるときは、情報を都道府県及び市町村に提供するとともに、これを公表するものとする。

 

 ③ 以下のア~オは、特定商取引法に関する問題である。
ア 権利の販売と称し、CO2排出権や知的財産権が販売された場合でも、役務の提供として、特定商取引法が適用されることがある。
イ 株式や社債等を発行会社が自ら販売する場合(自己募集)については、金融商品取引法では規制されないが、特定商取引法では特定権利に該当するため、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売の規制の対象となる。
宅地建物取引業法に基づく免許を受けた業者が、訪問販売で宅地の販売を行ったときは、特定商取引法上の訪問販売の規定が適用される。
特定継続的役務提供は、政令で定められた7つの役務を対象としている。契約金額はいずれも5万円を超えるものと定めており、契約期間については、一定のエステティック・美容医療は1月を超えるものとし、その他の5つの役務は2月を超えるものと定めている。
オ 広告をしている通信販売業者が、その広告に返品特約を主務省令で定めるところにより表示をしていなかった場合、消費者が商品の引渡しを受けた日から起算して8日以内に契約を解除する旨の通知を発信すれば、解除の効力が発生する。

【解答】 誤っているもの ウ・オ

  • ア〇:H28改正前の指定権利制として、「施設を利用し又は役務の提供を受ける権利」のうち指定し、規制対象としていた。(保養施設又はスポーツ施設を利用する権利、映画、観劇、音楽等を鑑賞・観覧する権利、 語学の教授を受ける権利)従来の指定権利のほか、社債等の金銭債権、株式等の社員権を規制対象に追加し、これらを併せて名称を「特定権利」とした(「指定権利」の名称は撤廃)

     「CO2排出権」、「知的財産権」、「シェールガス風力発電の施設運用権」、「水や天然ガスの採掘権」、「外国の土地利用権」といった「権利の販売」と称するものについて、特商法の対象となることを通達で明確化した。

  • イ〇:金融商品取引法に基づく登録業者が行う有価証券の取引については、同法の各種の業規制による消費者の保護が図られることから、特商法の適用除外としているが、株式や社債等の自己募集(発行会社自らによる販売・勧誘行為)等については同法に規定する金融商品取引業には該当せず対象外となることから、これらの取引が訪問販売等で行われた場合には、特商法が適用されることとなる
  • ウ✖:宅建業は特商法の適用除外:<法で適用除外としているもの弁護士業、金融商品取引業宅地建物取引業、旅行業〉<施行令で適用除外としているもの、金融取引に関する役務、電気通信事業、放送事業、運輸に関するものなど。
  • エ〇:特商法上の特定継続的役務提供エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスの7業種で、契約金額が5万円を超えるもの、契約期間が2ヶ月を超えるもの(エステティック、美容医療は1ヶ月を超えるもの)
  • オ✖:クーリングオフと異なるので書面通知は不要。特商法13条の4:その売買契約に係る商品の引渡し又は特定権利の移転を受けた日から起算して8日を経過するまでの間は、その売買契約の申込みの撤回又はその売買契約の解除を行うことができる。ただし、当該販売業者が申込みの撤回等についての特約を当該広告に表示していた場合には、この限りでない。と書面について書かれていないので不要。(クーリングオフの条文:9条:書面により契約の申込みの撤回又は契約の解除を行うことができる)

 

 

④ 以下のア~オは、社会福祉分野の法律、制度に関する問題である。
生活保護法による保護は、世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとし、個人を単位として定めることはできない。
イ 生活困窮者自立支援法に基づく生活困窮者家計改善支援事業では、事業実施主体となる行政機関が、生活困窮者に対し、家計の状況の適切な把握及び家計の改善意欲の向上の支援とともに、生活に必要な資金の貸付けのあっせんを行う。
社会福祉協議会が実施する日常生活自立支援事業では、福祉サービスを利用する際の様々な手続きや契約、預金の出し入れ、生活に必要な利用料の支払い手続き、年金や預金通帳などの書類の管理等の援助を受けることができる。
エ 民生委員の主な職務は、住民の生活状態の把握及び行政機関への報告であり、住民からの日常生活上の相談への対応や助言は、法律上の職務に含まれない。
社会福祉協議会は、民間の社会福祉活動を推進することを目的とした営利を目的としない民間組織で、社会福祉法に基づき設置されている。

 

【解答】 誤っているもの ア・エ

  • ア✖:生活保護法の4つの基本原則①申請保護の原則(自らの申請に基づいて始まる②基準及び程度の原則(生活保護基準と、実際の収入との差額を埋める形で行われる)③必要即応の原則(保護を必要とする人個々の実情に即して給付内容が決められる。④世帯単位の原則(保護の要否は、世帯を単位として判定される。例外的なケースとして、世帯の一部の方に対して、個人単位で保護を行う「世帯分離」が適用されることもある。
  • イ〇:(生活困窮者自立支援法第3条第5項)生活困窮者に対し、収入、支出その他家計の状況を適切に把握すること及び家計の改善の意欲を高めることを支援するとともに、生活に必要な資金の貸付けのあっせんを行う事業をいう。
  • ウ〇:日常生活自立支援事業は、判断能力が不十分な方などに対し、福祉サービスの利用援助、苦情解決制度の利用援助、住宅改造、居住家屋の貸借、日常生活上の消費契約及び住民票の届出等の行政手続に関する援助等預金の払い戻し、預金の解約、預金の預け入れの手続等利用者の日常生活費の管理(日常的金銭管理)、定期的な訪問による生活変化の察知等を行う。
  • エ✖:住民からの日常生活上の相談への対応や助言は民生委員の役割。
  • オ〇:社会福祉協議会社会福祉法第109条(市区町村社協)に規定され、社協の目的には「地域福祉の推進を図ること」とされている。

  

⑤ 以下のア~オは、全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO‐NET)に登録された 2017(平成 29)年の消費生活相談情報に関する問題である(「平成30 年版消費者白書」による)。
ア 消費生活相談件数は、約 50 万件であった。
イ 65 歳以上の高齢者に関する相談について、販売購入形態別相談割合をみると、「訪問販売」の割合は、65 歳以上の全高齢者における割合よりも、認知症等高齢者における割合の方が大きい。
ウ 消費生活相談を販売購入形態別にみると、「店舗購入」よりも「通信販売」の割合が大きい。
架空請求に関する相談件数は、2016(平成 28)年より大幅に減少している。
オ いわゆる仮想通貨をめぐるトラブルに関する相談件数は、2016(平成 28)年より増加した

【解答】 誤っているもの ア・エ

  • ア✖:2017年度の相談件数は約93.7万件で、2016年度(約89.1万件)に比べ増加した。架空請求」の増加が影響している。
  • イ〇:65歳以上の高齢者では、「インターネット通販」の割合が拡大し、2017年は「訪問販売」の割合を上回った。認知症等の高齢者では、「訪問販売」の割合が約4割、「電話勧誘販売」の割合が約2割を占める。
  • ウ〇:「通信販売」に関する相談の全体に占める割合は33.7%であり、2013年度以降、引き続き販売購入形態別で最も高かった。
  • エ✖:利用した覚えのないサイト利用料の請求など架空請求の相談は、2012年度から再び増加傾向にある。2017年度は約19.9万件であり、2016年度(約8.3万件)に比べ大幅に増加した。
  • オ〇:仮想通貨に関する相談が増加しており、「仮想通貨に投資したが儲からない」などの実態不明な投資話に関する相談や、仮想通貨交換業者の消費者の問い合わせ対応に関する相談などがみられた。

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 3問

消費生活相談員資格試験   2019年度 3問 

3.次の文章の[ ]に入る最も適切な語句を、下記の語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

 

 【語群】
1. デジタル   2. 苦情対応マネジメントシステム   3. 消費者志向  4. ケネディ

5. 経済協力開発機構OECD)   6. 国際連合   7. 8   8. サステナブル

9. 消費者安心型   10. 7   11. ともに築こう 豊かな消費社会 ~誰一人取り残さない~

12. スマート   13. フォード  14. G7サミット   15. エシカル

16. 消費者保護及び執行のための国際ネットワーク(ICPEN) 17. 国際消費者機構(CI)
18. つながろう消費者 ~安全・安心なくらしのために~
19. 品質マネジメントシステム   20. アメリカ消費者同盟

 

世界消費者権利デーは、1962(昭和 37)年3月 15 日にアメリカの[ ア ]大統領によって消費者の4つの権利が初めて提唱されたことにちなみ、消費者団体の国際的組織である[ イ ]により、消費者の権利を促進するための世界的な記念日として 1983(昭和 58)年から実施されている。また、[ イ ]は、1982(昭和 57)年に、[ ウ ]つの消費者の権利と5つの消費者の責務
を提唱している。
2019(平成 31)年の世界消費者権利デーでは、「信頼できる[ エ ]製品」がテーマとして掲げられた。インターネットに接続されてデータの収集や送受信が可能な[ エ ]製品によって国内外の事業者と容易に取引を行うことが可能になった一方で、取引に関するトラブルに遭遇する機会が増加している。国境を越えた不正な取引行為の防止には、各国の消費者保護関係機関をメンバーとする非公式会合である[ オ ]が取り組んでいる。

 【解答】ア:④ケネディ イ:⑰国際消費者機構(CI) ウ:⑦8

     エ:⑫スマート  オ:⑯ICPEN

  • アメリカのケネディ大統領が1962年『消費者の権利保護に関する大統領特別教書』でうたったことが、世界各国の消費者行政の基本理念になった。

  •  ケネディ大統領の消費者の4つの権利「安全を求める権利」「知らされる権利」「選ぶ権利」「意見を聞いてもらう権利」

  •  消費者教育を受ける権利(1975年にフォード大統領が追加)

  • 1982年には、国際的な消費者団体である国際消費者機構(略称CI:Consumers International)が、消費者には権利と同時に責務があるとして、次の消費者の8つの権利と5つの責務を提唱 
  • 消費者の8つの権利「

    生活の基本的ニーズが保障される権利」「安全である権利」「知らされる権利」「選ぶ権利」「意見を反映される権利」「補償を受ける権利」「消費者教育を受ける権利」「健全な環境の中で働き生活する権利」
  • 消費者の5つの責務「批判的意識」「自己主張と行動」「社会的関心」「環境への関心」「連帯」

 

② 2015(平成 27)年3月に閣議決定された第3期消費者基本計画では、事業者が消費者政策を推進するうえで重要な主体と位置づけられている。消費者庁が推進に取り組んでいる[ カ ]経営は、2015(平成 27)年9月に[ キ ]が持続可能で望ましい社会の構築に向けた取組として採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」とも関連が深いことから、[ ク ]経営と呼称されている。
消費者の声を[ カ ]経営に活かす具体的な取組の一つとして、[ ケ ]の国際規格 ISO 10002 の採用が挙げられる。消費者が安全・安心で豊かに暮らすことができる社会の実現には、消費者、
事業者、地方公共団体、国などすべてのステークホルダーが共通の目的のもとに、連携して行動することが必要である。様々な主体が当事者として、それぞれの役割について考え、行動するためのきっかけとなるよう、2018(平成 30)年度消費者月間は、[ コ ]を統一テーマに掲げている。

 【解答】カ:③消費者志向 キ:⑥国際連合 ク:⑧サステナブル

     ケ:② 苦情対応マネジメントシステム コ:⑪ともに築こう 豊かな消費社会 ~誰一人取り残さない~

  • 消費者行政では、消費者を重視した事業活動が更に行われることにより、相乗効果によって、消費者と事業者による健全な市場の実現が期待される。
  • 「消費者志向経営」とは、事業者団体、消費者団体と連携し、事業者が消費者を重視した事業活動。

  •  消費者志向経営は、持続可能で望ましい社会の構築に向けて、国際的に取り組んでいる持続可能な開発目標(SDGs)とも関連深いものです。

  • 消費者庁では、消費者志向経営という言葉と共にサステナブル経営」という愛称を活用して、取組の更なる普及に努めている。
  • 苦情対応マネジメントシステム認証~組織における苦情対応のための指針。グローバ

    ル市場において生じる問題を消費者保護の観点から苦情対応のための枠組みを作成しようとする動きが出てきたため、ISO10002は、消費者保護・顧客満足の視点から顧客の苦情に対して適切かつ迅速な対応をするために不可欠な要件を指針として定めたもので、認証を受けることができる。

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 2問

消費生活相談員資格試験   2019年度 2問 

2.次の文章の[ ]に入る最も適切な語句を、下記の語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

 

 【語群】
1. 勧告  2. 内閣総理大臣  3. 多元的  4. 消費者安全法  5. 監視
6. 消費者庁及び消費者委員会設置法  7. 消費者基本計画  8. 指導
9. 身元保証等高齢者サポート事業  10. 消費者基本法  11. 司令塔
12. 消費者担当大臣  13. 有料老人ホームの前払金に係る契約
14. 消費者保護基本法  15. 一元的  16. 専門調査会  17. 審議委員会
18. 企画調整  19. 消費者安全確保に関する基本的な指針  20. 諮問機関

 

 ① 2009(平成 21)年、[ ア ]に基づき、消費者庁・消費者委員会が設置され、消費者政策は新たなステージを迎えた。それ以前の消費者行政は、各府省庁が所管する分野ごとにいわゆる縦割り的に行われてきた。これを改めて、各府省庁の所管分野に横断的にまたがる消費者行政全般に関
し、いわば[ イ ]として消費者庁が設置された。消費者庁は、まず自ら所掌する重要な消費者関連諸法令の執行に当たる。また、「消費者事故等」に関する情報を[ ウ ]に集約、分析を行い、消費者へ注意喚起するほか、必要に応じて各府省庁に対し措置要求を行うなどの役割を果たす。各府省庁の規制がなされていない、いわゆる「すき間事案」については、事業者に対し[ エ ]等の措置を講じる。
 消費者庁は、2013(平成 25)年度から[ オ ]に基づき、政府が講じた消費者政策の実施状況をまとめ、毎年国会に報告書を提出している。また、[ オ ]に基づき、政府は、①長期的に講ずべき消費者政策の大綱、②消費者政策の計画的な推進を図るために必要な事項について[ カ ]で定めている。

 【解答】ア:⑥消費者庁及び消費者委員会設置法 イ:⑪司令塔 ウ:⑮一元的

     エ:①勧告  オ:⑩消費者基本法 カ:消費者基本計画

  • 消費者庁は、消費者の視点から政策全般を監視する組織の実現を目指して、2009年(平成21年)5月に消費者庁関連三法が成立し、同年9月1日に発足した。

  •  消費者庁関連三法:消費者庁設置法案、消費者庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案、消費者安全法案

  • 消費者安全法が改正(施行平成 25 年 4 月 1 日)により、事業者に対する法律に基づく行政措置が規定されていないいわゆる「すき間事案」について、多数消費者財産被害事態が発生した場合、当該事業者に対し、不当な取引の取りやめその他必要な措置をとるべき旨を勧告することができる。
  • 消費者基本法10条の2:政府は、毎年、国会に、政府が講じた消費者政策の実施の状況に関する報告書を提出しなければならない。
  • 消費者基本法9条:政府は、消費者政策の計画的な推進を図るため、消費者政策の推進に関する基本的な計画(以下「消費者基本計画」という。)を定めなければならない。(消費者基本計画の案につき閣議の決定を求めなければならない)

 

② 消費者委員会は、消費者行政全般に対して、[ キ ]機能を有する独立した第三者機関として設置された。「消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に関して優れた識見を有する者」のうちから、[ ク ]が任命する 10 人以内の委員で組織される。主な役割は、消費者の利益の擁護及び増進に関する基本的な政策などの重要事項について、自ら調査・審議を行い、建議や提言を行うこと、各省庁などからの諮問に応じて、調査・審議を実施することなどである。また、委員会の下に専門家で構成される[ ケ ]等を設けて審議を行うこととしている。様々なトラブルに関する建議のうち、高齢者等に関するものとして、2017(平成 29)年1月、[ コ ]に関する消費者問題について建議がなされ、これを受けて、消費者庁厚生労働省国土交通省が措置を講じている。2019(平成 31)年3月までに、20 件の建議と 15 件の提言を行っている。

 【解答】キ:⑤監視 ク:②内閣総理大臣 ケ:⑯専門調査会

     コ:⑨身元保証等高齢者サポート事業

  • 消費者委員会は、独立した第三者機関として、平成21年(2009年)9月1日に内閣府に設置された。

  •  各種の消費者問題について、自ら調査・審議を行い消費者庁を含む関係省庁の消費者行政全般に対して意見表明(建議等)を行う。

  • 消費者委員会は、内閣総理大臣が任命した委員(10人以内)で組織。

  • 消費者委員会本会議のほか、新開発食品調査部会、食品表示部会、公共料金等専門調査会などの部会・専門調査会等を設置。

  • 「いわゆる「販売預託商法」に関する消費者問題についての建議」(2019年)

  •  「身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての建議」(2017年)

     

消費生活相談員資格試験 2019年度(1回目) 1問

2019年度(1回目) 消費生活相談員資格試験 1問

1. 次の各文章が、正しければ〇、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

消費者基本法は、事業者の責務等を規定している。例えば、消費者に対し必要な情報を明確かつ平易に提供することとしており、個別具体的に情報提供の法的義務を定めている。

【解答】 ✖ ➡ 個別具体的に情報提供の法的義務は定めていない(努力規定)

  • 事業者の責務とは(消費者基本法5条)
  • 消費者の安全及び消費者との取引における公正を確保すること。
  • 消費者に対し必要な情報を明確かつ平易に提供すること
  • 三 消費者との取引に際して、消費者の知識、経験及び財産の状況等に配慮すること。
  • 四 消費者との間に生じた苦情を適切かつ迅速に処理するために必要な体制の整備
    に努め、当該苦情を適切に処理すること。
  • 五 国又は地方公共団体が実施する消費者政策に協力すること。

 

消費者基本法では、消費者は、自ら進んで、その消費生活に関して、必要な知識を修得し、必要な情報を収集するなど、自主的かつ合理的に行動するよう努めなければならないと規定されている。

【解答】 〇 (消費者基本法第7条)

  • 消費者は、自ら進んで、その消費生活に関して、必要な知識を修得し、及び必要
    な情報を収集する等自主的かつ合理的に行動するよう努めなければならない。
  •  消費者は、消費生活に関し、環境の保全及び知的財産権等の適正な保護に配慮するよう努めなければならない。

 

消費者基本法は、消費者の権利の尊重と消費者の自立の支援を消費者政策の基本理念としており、消費者政策の推進にあたり、高度情報通信社会の進展への的確な対応、国際的な連携の確保、環境保全への配慮を求めている。

【解答】 〇 (消費者基本法第20条、21条、22条)

  • 第二十条 国は、消費者の年齢その他の特性に配慮しつつ、消費者と事業者との間の適正な取引の確保、消費者に対する啓発活動及び教育の推進、苦情処理及び紛争解決の促進等に当たつて高度情報通信社会の進展に的確に対応するために必要な施策を講ずるものとする。
  • 第二十一条 国は、消費生活における国際化の進展に的確に対応するため、国民の消費生活における安全及び消費者と事業者との間の適正な取引の確保、苦情処理及び紛争解決の促進等に当たつて国際的な連携を確保する等必要な施策を講ずるものとする。
  • 第二十二条 国は、商品又は役務の品質等に関する広告その他の表示の適正化等、消費者に対する啓発活動及び教育の推進等に当たつて環境の保全に配慮するために必要な施策を講ずるものとする。

 

地方公共団体における消費者行政に係る事務は、基本的に地方自治法上の自治事務として位置づけられている。

【解答】 〇 

 

国民生活センターは、グローバル化の進展に伴い、海外ネットショッピングなど、海外の事業者との取引でトラブルにあった消費者のための相談窓口である「越境消費者センター(CCJ)」を設置している。

【解答】 〇 

  • 国民生活センター越境消費者センター(Cross-border Consumer center Japan:CCJは、海外の事業者との間での取引でトラブルにあった消費者のための相談窓口

  •  独立行政法人国民生活センターが運営

  •  インターネットでの海外事業者との取引(商品購入、宿泊予約等)や海外での現地取引(旅行先の商品購入、サービス利用等)のトラブル相談。

  •  CCJは、原則メールで、解決方法のアドバイスや必要に応じて英語翻訳支援等を行う。

 

⑥ 「事故情報データバンクシステム」とは、食品安全基本法に基づき、関係行政機関に情報提供される食品安全に関する事故情報を一元的に集約したデータベースをいう。これは、消費者庁内閣府食品安全委員会が共同運営している。

【解答】 ✖ 食品安全だけでなく、全ての商品、サービスの事故情報。消費者庁国民生活センターが連携

  • 事故情報データバンクは、生命・身体に係る消費生活上の事故情報を関係機関から一元的に集約して提供するシステム。

  • 事故の再発・拡大の防止に資する環境整備の一環として、消費者庁独立行政法人国民生活センターが連携して、関係機関の協力を得て実施。

  •  誰でも事故情報を自由に閲覧・検索することができる。

 

⑦ 市町村は、高齢者等の消費者被害防止のための取組として、消費者安全法における「消費者安全確保地域協議会」を組織しなければならない。

【解答】 ✖ 「組織しなければならない」ではなく、「組織することができる」規定

  • 消費者安全法11条の3:平成26年6月の消費者安全法の改正により、高齢者、障がい者認知症等により判断力が不十分となった者の消費者被害を防ぐため、地方公共団体及び地域の関係者が連携して見守り活動を行う「消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)」設置できることが規定された。
  • 協議会設置自治体数:243  [令和元年12月末日現在]

 

地方公共団体の長からの求めがある場合に、内閣総理大臣は、消費者安全法に基づき、見守り活動のために必要な限度において、本人の同意がある場合に限り、消費生活上特に配慮を要する購入者に関する個人情報を提供することができる。

【解答】 ✖ 本人の同意は不要

  •  消費者安全法11条の2:内閣総理大臣は、地方公共団体の長からの求めに応じ、消費者安全の確保のために必要な限度において、消費生活上特に配慮を要する購入者に関する情報を提供することができる。

消費生活相談員資格試験 30年度 論文試験(文章例)

平成30年度 消費生活相談員資格試験 論文試験

次の2つのテーマのうち1 つを選び、1,000 字以上1,200 字以内で論文にまとめ、解
答用紙に記入しなさい。

【テーマ1】
 消費者の権利を実現する上で、行政や消費者はどのような責務や役割を果たしてい
くべきか、論じなさい。なお、論述に当たっては、以下を踏まえること。
1.以下の指定語句をすべて用いること(順不同)。
2.指定語句は、単に語句として用いるだけでなく、その意味するところが明確に
なるように、適切に用いること。
3.文章中の指定語句の箇所には、分かるように必ず下線を引くこと。同じ指定語
句を複数回用いる場合は、下線は1回目の箇所についてのみ引けばよい。
4.消費生活センター・消費生活相談窓口、消費生活相談員等の役割を考慮するこ
と。

指定語句

消費者基本法、消費者と事業者との格差、国、地方公共団体、消費生活相談

 「消費者の権利の尊重」「消費者の自立の支援」を基本理念とし、消費者の権利を明確化したのが消費者基本法である。よって、消費者基本法は消費者の権利を実現するための法律である。そしてこの消費者基本法には、消費者と事業者との格差を考慮し、消費者の権利の確保するため総合的な施策を講じることとしている。

消費者と事業者の格差とは何か。一つには商品やサービスに関する情報及び交渉力の格差である。事業者が売ろうとする商品に対する情報は圧倒的質と量で消費者を圧倒している。そして事業者は販売のプロである。

その格差を考慮し事業者には、消費者に必要な情報を明確かつ平易に提供するよう、また消費者の知識、経験、財産の状況に配慮する責務が法に記されている。

消費者は、日常生活において、様々な商品を購入し、様々なサービスを利用している。しかし、時には購入した商品に欠陥があり、生命・身体に危害を及ぼすような事故が発生したり、冷静な判断ができない環境で契約を結ぶことになったり、又はそもそも表示に誤りがあるために合理的な選択ができなかったりといったトラブルに直面することもある。

それらについて、消費者からの相談や苦情を受け付け、問題の解決などに当たるのは、都道府県や市区町村、地方公共団体に設置されている「消費生活センター」を始めとする消費生活相談窓口である。

消費生活センターでは、消費生活相談員が、相談内容により問題解決のための助言を行っている。また、必要に応じて、消費者自身では対応困難な個別事案の解決に向けて、消費生活相談員が直接事業者と消費者の間に入り、あっせんを行うことによりトラブルの解決を図っている。

この消費生活相談の一つ一つが、交渉等により消費者の権利を実現する上で大事な役割を果たすほか、全ての情報が、消費者行政の司令塔としての消費者庁で一元的に集約して、国では必要に応じて、事業者に対する法的措置を講ずるほか、消費者事故等に関する情報について消費者に対する注意喚起を行うとともに、新たな課題を解決するための必要な制度的枠組みを構築する。

そして地方公共団体は、制度的枠組みに基づき地域における消費者行政を実施する。

まさに、消費者・・地方一体となった消費者行政が、消費者の権利確立に大きく寄与していると言ってよいと考える。

最後に、消費者基本法で消費者の努力規定として、消費生活に必要な知識を修得し、自主的かつ合理的に行動するよう努めなければならないとあり、消費者も日常から情報収集をし、トラブルがあった場合は消費生活相談を活用するといった行動が必要である。

また、新たな課題として、環境・知的財産権の保護などにも目を向けていくことが、今後の消費者に求められることである。(1127字)

  

【テーマ2】
 適格消費者団体による差止請求制度に加え、特定適格消費者団体による集団的被害
回復制度が導入された。両制度が消費者被害防止・救済において果たす役割を論じる
とともに、消費生活センター等における相談業務との連携について、論じなさい。な
お、論述に当たっては、以下を踏まえること。
1.以下の指定語句をすべて用いること(順不同)。
2.指定語句は、単に語句として用いるだけでなく、その意味するところが明確に
なるように、適切に用いること。
3.文章中の指定語句の箇所には、分かるように必ず下線を引くこと。同じ指定語
句を複数回用いる場合は、下線は1回目の箇所についてのみ引けばよい。
4.消費生活センター・消費生活相談窓口、消費生活相談員等の役割を考慮するこ
と。
指定語句:不当契約条項、不当表示、2段階型、PIO-NET、個別解決

通常、事業者側の不当な取引による消費者トラブルが発生した場合、消費者自身や消費生活センターなど消費生活相談窓口に相談し、助言・あっせんで被害回復を図る個別解決が一般的である。

しかし、事業者が消費者の求めに応じない場合、被害者である消費者が、加害者である事業者を訴えることになるが、消費者と事業者との間には情報の質・量・交渉力の格差があること、訴訟には時間・費用・労力がかかること、個別のトラブルが回復されても、同種のトラブルが無くなるわけではないことなどから、内閣総理大臣が認定した消費者団体に特別な権限を与えた。

差し止め請求制度は、消費者契約法に違反の恐れがある、事業者の不実告知を行った場合、キャンセルできない等と記載した不当契約条項、実際より優れた内容であるなどを謳った不当表示等があった場合、適格消費者団体が、当該事業者に対し不当な行為をやめるように求めることができる。

また、適格消費者団体の中から内閣総理大臣が新たに認定した特定適格消費者団体が、消費者に代わって被害の集団的な回復を求めることができる制度を集団的被害回復制度という。

これは、被害を受けた消費者から事業者に対して一定の金銭の支払い請求権が生じるものが対象で、特定適格消費者団体が、消費者に代わって被害回復裁判手続きを行い、事業者から被害金額を取り戻すことが出来る。

その裁判手続きは2段階型となっており、事業者の金銭支払い義務の確認を求めて訴訟を提起(第1段階)し、事業者の支払い義務が確定した後、被害を受けた個々の消費者の返金額の確定(第2段階)が行われる。

適格消費者団体・特定適格消費者団体とも、寄せられた情報を基に調査・分析し、不当な行為があると判断した場合に対応します。

そこで、その情報の元になるのが、各消費者が各地の消費生活センター等に相談した情報です。

相談情報は、各消費生活センターに配置されているPIONETとデータベースに入力され、消費者庁等へ情報提供される。

適格消費者団体・特定適格消費者団体とも個人情報を除き、相談情報収集ができるため、消費者個々の消費生活センターへの相談が出発点になる。

よって、多くの相談が寄せられている事実が、差し止め請求、被害回復に結び付くのであり、個々の相談者が各消費者団体に相談してもすぐには動くことが出来ないのが実情である。

消費者・相談窓口・地方公共団体・国そして当該団体の連携があって、差し止め請求や集団的被害回復が可能になることを十分理解することが重要である。(1037字)

消費生活相談員資格試験 30年度 21.22.23問

平成30年度 消費生活相談員資格試験 21問 22問 23問

21. 次の文章の[ ]に入る最も適切な語句を、下記の語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

 

 【語群】
1. 私的年金  2.非課税  3.55  4.公的年金  5.60  6. 全額 7.一部  

8.加入者自身  9.課税対象  10.65  11. 金融機関

   

  個人型確定拠出年金iDeCo)は[ ア ]の一つで、2017(平成 29)年1月より加入範囲が拡大され、自営業者等だけでなく、企業年金加入者、私学年金加入者、国民年金第3号被保険者等を含め、基本的に 20 歳以上[ イ ]歳未満のすべての者が加入できるようになった。iDeCo では、運営管理する金融機関が提示する運用商品(預貯金、保険商品、投資信託、信託等)の中から加入者自身が選択し、拠出した掛金の運用結果については[ ウ ]が責任を負う。運用商品は金融機関によって異なり、その中には元本保証でないものが含まれる。iDeCo では、掛金の[ エ ]が所得控除となり、運用益は[ オ ]である。また、受取り時の税制優遇措置等のメリットがあるが、原則、[ イ ]歳になるまで引き出せず、加入時の手数料や口座を維持するための手数料等がかかる点に留意が必要である。

 【解答】ア:①私的年金 イ:⑤60歳 ウ:⑧加入者自身 エ:⑥全額

     オ:②非課税

  • 確定拠出年金の仕組みを個人が任意で活用できる制度。自営業者に限られていたが、2017年(H29 )から対象が、公務員、専業主婦・会社員に広がった。
  • 商品は元本保証型(定期預金・保険商品)と投資信託があり、投資信託型は元本保証されない。1本でも複数でも加入は可能。
  • 掛け金は全額所得控除の対象となり、課税されない。
  • 原則60歳になるまで引き出すことはできない

 

22 次の文章の[ ]に入る最も適切な語句を、下記の語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

 

 【語群】
1. 投資 2. 大規模小売店舗立地法 3. 貯蓄 4. 35% 5. 小売店舗規制法 6. 55%

7. 小規模小売店舗の保護 8. 75% 9. 出店数の制限 

10. 周辺の地域の生活環境の保持 11. 社会保険料 12. 住居費 13. 百貨店法

   

 

① 家計の所得から所得税や[ ア ]等を差し引いたものを、可処分所得という。可処分所得は、消費と[ イ ]に振り分けられる。日本では、2016(平成 28)年度における経済社会活動の中で家計が支出する消費額の総額は、名目国内総生産GDP)の約[ ウ ]を占めている。

② 消費者が商品を購入する際、その商品を販売するのは、主に小売業である。小売業にはさまざまな形態があるが、1998(平成 10)年に制定された[ エ ]の第1条では、大規模小売店舗について「[ オ ]」が必要である旨が定められている。

 【解答】ア:⑪社会保険料 イ:③貯蓄 ウ:⑥55%

    エ:②大規模小売店舗立地法 オ:⑩周辺地域の生活環境の保持

  • GDPが日本国内での経済活動の大きさを示すのに対し、GNPは日本の居住者が行った経済活動の大きさを図ったもの。日本企業の海外での企業活動や野球選手・サッカー選手が海外で稼ぐお金はGDPには含まれないが、GNPには含まれてしまう。最近は、GDPの概念で経済をいることが一般的になっている。
  • 家計の消費活動を示す「民間最終消費支出」は約56%を示す。「民間企業設備投資」は約15%。政府最終消費支出は約18%と増大している。また、海外の需要を示す「輸出」は約14%。

 

23. 次の文章の[ ]に入る最も適切な語句を、下記の語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

 

 【語群】
1. 日本 2. 排出量直接規制 3. 固定価格買取 4. 波力発電 5. スマートグリッド

6. 経済的手法 7. バイオマス発電 8. 26% 9. アメリカ 10. 16% 11. 中国

12. コージェネレーション 13. インド 14. 8%

   

地球環境問題の一つである地球温暖化に一番大きな影響を及ぼしているのは、二酸化炭素温室効果ガスの排出量の増加である。環境省の「平成 29 年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」によると、2014(平成 26)年の統計で、エネルギーの使用による二酸化炭素の排出量の最も大きい国は、[ ア ]である。こうした二酸化炭素の排出量を抑制するための政策手法には、規制的手法と、市場制度を利用する[ イ ]と呼ばれるものがある。[ イ ]の代表的なものとして、環境税排出量取引制度があげられる。
2016(平成 28)年度の日本のエネルギー自給率は約[ ウ ]である。今後は、「再生可能エネルギー」の一層の活用も注目されている。再生可能エネルギー特別措置法では、太陽光発電や[ エ ]等の再生可能エネルギーで発電した電気に関し[ オ ]制度を採用している。

 

 【解答】ア:⑪中国 イ:⑥経済的手法 ウ:⑭8% エ:⑦バイオマス発電

    オ:③固定価格買取

  • 固定買い取り価格:再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が保証する制度。
  • スマートグリッド:次世代送電網、電力の流れを供給側・需要側の両方から制御し、最適化できる送電網。
  • コジェネレーション天然ガス、石油、LPガス等を燃料として、エンジン、タービン等の方式により発電し、その際に生じる廃熱も同時に回収するシステム。

 

消費生活相談員資格試験 30年度 20問

平成30年度 消費生活相談員資格試験 20問

20. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

金融商品取引法第 39 条では、有価証券の売買その他の取引又はデリバティブ取引につき顧客に生じた損失を、事業者(金融商品取引業者)が補てんすることを禁じている。ただし、その損失が同条に規定される「事故」によって生じたものであって、あらかじめ㋐補てんに係る損失が「事故」に起因するものであることにつき内閣総理大臣の確認を受けている場合㋑裁判所の確定判決を得ている場合、又は消費生活センターのあっせんによる和解が成立している場合等には、顧客に生じた損失を補てんすることができる。

【解答】 〇

  • 金融商品取引法では、金融商品取引業者が顧客に与えた損失を補填することは禁止されているが、例外がある。
  • 金融商品取引業者の違法、不当な行為が原因で顧客に損失を及ぼしてしまった場合(未確認売買、誤認勧誘、事務処理ミス、システム障害など
  • 顧客に損失補填する場合は、あらかじめ内閣総理大臣金融庁)に対し、事故の事実を証する必要書類を提出し、事故の確認を受ける必要がある。
  • 裁判所の確定判決、裁判上の和解が成立している場合、金融商品取引業協会・消費生活センターあっせんによる和解が成立している場合は、内閣総理大臣の確認がなくても損失補填が可能。

 

金融商品取引法上の「金融商品取引業」は、㋐内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ行うことができない(適格機関投資家等特例業務を除く)。無登録業者には、㋑懲役・罰金の刑事罰が科される。無登録業者が行った未公開株や社債の売買契約を無効とする㋒民事効の規定はない

【解答】 ✖ ウ ➡ 違反だが契約そのものは有効であり、取り消し規定がない。

  • 詐欺による民法上の取り消し、不実告知などの消費者契約法上の取り消しを検討するほかない。

  

商品先物取引法には、委託者等の保護のために、㋐無条件で一定の期間内は契約の申込みの撤回又は契約の解除ができる制度㋑契約の締結の勧誘の要請をしていない顧客に対する訪問又は電話による勧誘の原則禁止㋒顧客の知識、経験、財産の状況等に照らして不適当と認められる勧誘の規制(適合性の原則)等の規定が設けられている。

【解答】 ✖ ア ➡ クーリングオフのような制度はない。

  • しかし、無許可業者の場合商品先物取引法が適用にならないため、訪問販売、電話勧誘販売による勧誘の場合、特商法上のクーリングオフの適用が考えられる。
  • イ原則不招請勧誘は禁止されているが、ハイリスク取引の経験者(65歳未満、年金生活者ではない、年収800万円以上、金融資産2千万円いじょう)への勧誘は認められている

 

金融商品の販売勧誘に際し、金融商品販売業者に説明義務違反、断定的判断の提供等が認められる場合には、金融商品販売法に基づく損害賠償請求が可能である。保険の販売勧誘については、㋑変額保険等の特定保険を除き、金融商品販売法の適用はない商品先物取引の販売勧誘については金融商品販売法の適用はないが、商品先物取引法において同法の一部が準用されている

【解答】 ✖ イ ➡ 保険も金融商品販売法の対象

 

⑤ 情報通信技術(IT)の進展等の環境変化に対応するため、2016(平成 28)年、2017(平成 29)年と続けて銀行法が改正され、それに伴い施行令・施行規則も改正された。2016(平成 28)年の施行規則改正により、一定の条件のもとで金融機関が預金の出金事務等を外部委託できる範囲が広がり、デビットカード等を活用して㋑小売店のレジ等で銀行口座から現金を引き出せるいわゆるキャッシュアウトサービスも新たに認められた。2017(平成 29)年の法改正では、㋒「電子決済等代行業者」を定義し、届出制を導入した。

【解答】 ✖ ウ ➡ 電子決済等決裁業者は財務局への登録が必要

  • 電子決済等代行業とは、ITを活用し、複数の振込先への銀行振り込みの依頼をワンクリックで行うことができるサービス預金口座の残高や利用履歴情報を銀行から取得・集計し、自動的に家計簿を作成することができる事業者。
  • 財務局の登録を受けた業者のみが、国内で同業を行うことができる。
  • 決済代行、収納代行サービスの提供方法として、例えば、インターネットを利用し、振込先や振込金額といった情報を銀行に伝達するといった方法を用いているのであれば、電子決済等代行業者としての登録が必要となる。

 

⑥ 保険会社は、保険契約者又は被保険者に、故意又は重過失による告知義務違反があった場合であっても、㋐保険会社が告知義務違反の事実を知り、又は過失によって知らなかった場合告知義務違反を知った時から6ヵ月間解除権を行使しなかった場合、保険契約を解除することができない。告知義務違反の対象となった事実と保険事故との間に因果関係が認められない場合、㋒保険金は支払われる。

【解答】 ✖ イ ➡ 2年以内であれば保険会社は契約を解除できる

  • 消費者の告知義務違反による契約解除:保険契約者・被保険者が告知事項において、故意または重大な過失による事実を告知しない、又は不実の告知をした場合、責任開始日から2年以内であれば保険会社は契約を解除できる
  • 保険会社側に、告知妨害や不告知・不実告知の教唆があった場合は、保険契約を解除することはできない

 

保険業法は、保険会社等に対し、㋐保険契約者等が保険契約の締結・加入の適否を判断するのに必要な情報(契約概要・注意喚起情報・その他参考となるべき情報)を提供することを求めている。また、顧客意向の把握、㋑当該意向に沿った保険プランの提案とその説明㋒顧客の意向と提案した保険プランの内容が合致しているかについて顧客が確認する機会を提供することを求めてい
る。

【解答】 〇

  • 保険契約にあたって交付する書面:パンフレット(商品の仕組みや特徴)、保険設計書(消費者の個人情報で作成)、契約概要(商品の内容を理解するため必要な情報をまとめたもの)、注意喚起情報(転換の場合の充康事項説明書面を含む)、契約締結前交付書面(投資性の強い年金、保険について契約概要と注意喚起概要)、約款、意向確認書面(商品が消費者のニーズと合致していることを確認する書面)

 

⑧ 債券の価格は、市場の金利が上がると、通常㋐値上がりする。債券の信用リスクを判断するための指標の一つとして「格付け」があり、一般的に「格付け」が低い債券ほど、債券の利回りは㋑高くなる。債券は、債券の発行体の資金繰り悪化や破たん等により債務不履行が生じた場合を除き、多くは満期時に㋒額面金額で償還される。

【解答】 ✖ ア ➡ 値下がりする

  • 債権は金利と価格が逆の動きをする金利が下がると、買い手が少なくなるので、価格が上昇し、金利が上がると、買い手が増えるので、価格が下落する。
  • 格付けが低いとリスクがあり、人気がなくなるので、金利は上昇する。

 

金融商品に関して、㋐売りたいときに換金又は売却ができない可能性流動性リスクと言う。例えば、未上場株式は、上場株式に比べるとこのリスクが㋑高い社債は、上場株式に比べるとこのリスクが㋒低い

【解答】 ✖ ウ ➡ 上場企業の株式の方がリスクは低い

 

⑩ 個人賠償責任保険は、日常生活において他人に怪我をさせたり、他人の物を壊したりして法律上の損害賠償責任を負った場合に、㋐被害者に対する損害賠償金や弁護士費用等を補償する保険である。個人賠償責任保険の被保険者には、契約者と生計を共にする同居の親族が㋑含まれる。過失による損害は、個人賠償責任保険の補償の㋒対象とならない

【解答】 ✖ ウ ➡ 過失による損害賠償をカバーする保険なので当然対象となる。

  • 個人賠償責任保険とは、個人の日常の生活や住宅の使用・管理等に起因して第三者の身体や財物に損害を与え、賠償責任を負担した場合、包括的にカバーしてくれる保険なので、過失の有無は問わない
  • 被保険者本人だけでなく、その同居の家族も含めて幅広い賠償事故を担保する総合的な補償内容。
  • 対象外:他人から預かった物や借りた物に対する賠償責任、自動車の運行・管理等に関する賠償責任・業務に関する賠償責任

  

⑪ 「金融 ADR 制度(金融分野における裁判外紛争解決制度)」においては、利用者が金融 ADR 機関に紛争解決の申立てをした場合、金融機関は、利用者からの紛争解決の申立てに㋐応じなければならない。金融機関は、金融 ADR 機関によって提示された和解案を、㋑原則受け入れなければならない。金融 ADR機関は、㋒銀行、証券、保険等の業態ごとに設立されている。

【解答】 〇 

  • 利用者が金融ADR機関に紛争解決を申し立てをした場合、金融機関は申し立てに応じなければならないことになっている。
  • 金融機関は、金融ADR機関によって提示された和解案を尊重しなければならない。なお、特別調停案が提示されたときは、金融機関は、原則応じる義務がある。

  

⑫ 生命保険の保険料は、契約時の㋐予定死亡率、予定利率、予定事業費率の3つの予定率に基づいて算定される。これらの予定率は㋑保険の種類によって異なる。生命保険は、契約する年齢が高くなると、より若い時期に契約する場合と比べて保険料は高くなる。予定利率が引き下げられると、以降契約する保険の保険料は㋒安くなる

【解答】 ✖ ウ ➡ 高くなる 

  • 死亡保険や満期金に充てられる「純保険金」と、保険会社の事業費に充てられる「付加保険料」から構成される。
  • 予定死亡率、予定利率(保険料を運用で見込める運用利率)予定事業費率(経費を保険料の中に組み込む割合)をもとに保険料が計算される。
  • 予定利率が引き下げられると、保険会社の運用成績が悪くなるため、保険料が引き上げられる。

消費生活相談員資格試験 30年度 19問

平成30年度 消費生活相談員資格試験 19問

19. 次の文章の[ ]に入る最も適切な語句を、下記の語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

 

 【語群】
1. 利息制限法  2. 支払要求  3. 20  4. 対象外 5. 新規の借入れができなくなる 6. 対象  7. 18  8. 29.2 9. 広告  10. 消費者契約法 11. 超えている部分をすぐに返済しなければならない  12. 15 13. 貸金業法  14. 年収を証明する書類を提出しなければならない

   

 貸金業者から借りることのできる額の総額に制限を設ける規制のことを総量規制といい、[ ア ]においてその具体的な内容が定められている。同法では、具体的には、貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超えることとなる場合、[ イ ]とされている。銀行や信用金庫等による融資は、[ ア ]における総量規制の[ ウ ]となる。出資法では、業として金銭の貸付けを行う場合において、年[ エ ]%を超える割合による利息の契約、受領、[ オ ]をした場合は、刑事罰の対象となるとされている。

 【解答】ア:⑬貸金業法 イ:⑤新規の借り入れができない ウ:④対象外

 エ:③20% オ:②シハライヨウキュウ 

  • 総量規制:総借入残高が年収の3分の1を超える貸付は、貸金業法上禁止。
  • 総量規制の対象外:50万未満の借り入れ、住宅ローン、自動車ローン、貸金業者以外からの借り入れ(銀行等、クレジットカードや個別クレジットの契約)
  • クレジットカードのキャッシングは総量規制の対

消費生活相談員資格試験 30年度 18問

平成30年度 消費生活相談員資格試験 18問

18. 次の各文章が、正しければ〇、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

① 2016(平成 28)年 10 月、「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律」(消費者裁判手続特例法)が施行された。同法に基づき、㋐二段階型の訴訟制度により、集団的に発生している消費者被害について、㋑特定適格消費者団体が消費者に代わって㋒慰謝料や人身損害を含む損害賠償に関する訴訟を提起することができる

【解答】 ✖ ウ ➡ 慰謝料は請求できない

  • 二段階の訴訟制度:「共通義務確認訴訟(一段階)」とは、特定適格消費者団体が原告となり訴訟を提起し、多数消費者と事業者の間の共通義務存否確認について、裁判所が判断する手続き。
  • 上記で裁判所が共通義務の存在が認めたら、対象債権の確定手続き(二段階)に進む。被害を受けた個々の消費者が手続きに加入し、債権の有無や金額を確定し、分配に至る。
  • 特定適格消費者団体とは、消費者の利益を適切に代表しているとして内閣総理大臣が認定した消費者団体だが、差し止め請求をすることが認められている適格消費者団体の中から、さらに厳しい要件で認定された消費者団体。 
  • 履行請求、返還請求、損害賠償が対象となり、慰謝料は対象外。 

 

民事訴訟手続は、㋐判決又は和解による紛争の解決を図る手続である。簡易裁判所における民事訴訟は、目的物の価額が㋑60 万円以下の事件を対象としており、当事者は、㋒裁判所の許可を得ることにより、弁護士でない者を訴訟代理人とすることができる。

【解答】 ✖  イ ➡ 140万円以下

  • 訴額(訴訟の目的の価格、請求額)140万円以下について、簡易裁判所で通常訴訟を行うことができる。口頭による提訴が認められているなど、簡略化されている。
  • 地方裁判所では弁護士以外の人を代理人に選ぶことはできないが、簡易裁判所では、裁判所の許可を受けた者及び認定司法書士代理人となることができる。
  • 少額訴訟:訴額60万円以下の金銭支払い請求の訴え。原則、1回の口頭弁論期日で審理を終了し、すぐに判決が出る。少額訴訟の判決に不服があれば、判決から2週間以内に異議申し立てができ、同じ簡易裁判所での通常訴訟に移行する。貸金業者信販会社の乱用を避けるため、同一裁判所に1年に10回までと制限されている。 

 

③ 日本司法支援センター(法テラス)は、㋐総合法律支援法に基づいて設立された法人であり、業務の一つとして、裁判等の紛争解決制度をより利用しやすくするため、民事法律扶助業務を実施している。具体的には、㋑無料で紛争解決のためのあっせんや調停を行う苦情処理援助㋒弁護士・司法書士の費用の立替えを行う代理援助・書類作成援助を行っている。

【解答】 ✖ イ ➡法テラスでは情報提供は行うが、紛争解決のためのあっせんや調停を行う苦情処理援助業務は行っていない

 

内閣総理大臣は、事業者による広告表示が景品表示法㋐優良誤認表示に該当するか否かを判断するために必要があると認めるときは、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を当該事業者に求めることができる。当該事業者が当該資料を提出しないときは、内閣総理大臣は、㋑同法上の不当表示とみなし、措置命令を行うことができる。このような規制は、一般に、不実証広告規制と呼ばれ、特定商取引法に基づく㋒不実告知や誇大広告等に該当するか否かを判断するため必要がある場合にも採用されている。

【解答】 〇  

  • 消費者庁は優良誤認表示か否かを判断するため必要があると認める時は、事業者に対し、期間を定めて表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。資料を提出できない時、合理的と認められない時は不当表示とみなす。
  • 特商法の不実告知、誇大広告についても、合理的な根拠を示す資料の提出(特商法6条の2)を求め、提出しない時は、不実告知があったものとみなす。 

 

内閣総理大臣は、景品表示法に違反する優良誤認表示又は有利誤認表示を行った事業者に対し、㋐その行為の差止め又はその行為が再び行われることを防止するために必要な措置を命ずることができる。また、当該事業者に対し、原則として、㋑課徴金の納付を命じなければならない景品表示法に違反する景品類の提供を行った事業者に対して、㋒課徴金の納付を命ずることはできない

【解答】 〇

  • 内閣総理大臣は、景品表示法に違反が認められれば、措置命令による違反行為の差し止め、消費者への違反事実の周知徹底、再発防止を命じることができる。
  • 課徴金納付命令:対象行為は優良有利誤認表示であり、景品については対象外。対象商品の売上額の3%(最高3年間分)、違反行為を自主的に申告した場合は2分の1.課徴金額が150万円未満は賦課しない。  

 

⑥ 製造業者が表示・包装した商品を小売業者が仕入れて一般消費者に販売する場合において、商品の表示に景品表示法上の不当表示があったときは、表示規制の対象は㋐製造業者である。小売業者が自己の判断に基づいて作成したチラシが不当表示となった場合、㋑小売業者は規制対象となる。不当な表示であることについて、当該小売業者に㋒故意又は過失があることは要しない

【解答】 〇 問題文のとおり

 

個人情報保護法によれば、「個人情報取扱事業者」は、一定の場合に本人の同意を得ることなく個人データ(「要配慮個人情報」を除く)を第三者に提供できる。例えば、本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止することとしている場合であって、第三者への提供を利用目的とすること等を、あらかじめ、㋐本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置くとともに、個人情報保護委員会へ届け出た場合である。

【解答】 〇

  • 「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、障害、犯罪経歴等により、偏見その他不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するとした情報。
  • 個人データの第三者への提供は、本人の同意を取ることが原則(オプトイン)だが、例外がある(オプトアウト)
  • 本人から第三者提供を停止するよう求められたら停止することを条件に、本人の同意なくして、あらかじめ本人に通知するか、本人が用意し知り得る状態にしておき、個人情報保護委員会に届け出して入れば第三者提供ができる。

 

個人情報保護法によれば、「個人情報取扱事業者」は、㋐偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない。また、㋑法令に基づく場合や、人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって本人の同意を得ることが困難なとき等を除き、あらかじめ本人の同意を得ないで、㋒要配慮個人情報を取得してはならない。

【解答】 〇  

  • 個人情報取扱事業者は、偽りや不正な手段で個人情報を取得してはならない。
  • また、本文の同意を得ないで、用配慮個人情報を取得してもならない。 

消費生活相談員資格試験 30年度 17問

平成30年度 消費生活相談員資格試験 17問

17. 次の文章の[ ]に入る最も適切な語句を、下記の語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

 

 【語群】
1. 75  2. シェアリングエコノミー  3. 85  4. 観光庁長官  5. CtoC  6. 100  7. 総務大臣

8. ジョイントベンチャー  9. 都道府県知事等  10. コモンウェルス  11. BtoC

   

 

 総務省の「通信利用動向調査」によると、2016(平成 28)年末の個人のインターネット利用状況は、13 歳から 49 歳までの層で[ ア ]%近くになっている。消費生活の中でインターネットの利用が浸透していることに伴い、インターネットを利用した新たなサービスも広がっている。
個人等の所有物(自宅の空き部屋や車等)や能力(スキル、知識等)に関する情報を、インターネットを通じてリアルタイムに、不特定多数の個人の間で共有することが可能になったこと等から、[ イ ]の普及が進んでいる。[ イ ]の代表例である民泊は、訪日外国人の増加に伴う宿泊施設不足に対する解決策としても期待される一方、トラブルも懸念され、2017(平成 29)年には住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)が制定された。この中で、住宅宿泊事業を行おうとする者は、[ ウ ]への届出が必要とされ、仲介サイト等の住宅宿泊仲介業者は、[ エ ]の登録が必要とされた。[ イ ]の最大の特徴は、マッチングプラットフォームを提供する事業者を介して不特定多数の個人がモノやサービスを提供し、個人がそれを利用する[ オ ]の形態が基本となっている点である。

 【解答】ア:⑥100% イ:②シェアリングエコノミー ウ:⑨都道府県知事 エ:④観光庁長官 オ:⑤CtoC 

  • 民泊とは、旅館業法に規定する営業者以外の者が宿泊料を受け取って宿泊させる事業。1年間で180日を超えない範囲で都道府県知事への届け出が必要。
  • 住宅宿泊管理業者:居室の数が5を超える場合、宿泊事業者が不在となる場合の、業務を代行する業者。(国土交通省への登録が必要)
  • 住宅宿泊仲介業者(マッチングプラットホーム運営)観光庁への登録必要

消費生活相談員資格試験 30年度 16問

平成30年度 消費生活相談員資格試験 16問

16. 次の各文章が、正しければ〇、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

電気通信事業法では、電気通信事業者及び代理店は、所定の電気通信の役務の提供に関する契約をしようとするときは、原則、㋐書面を交付して電気通信役務に関する料金等の概要を消費者に説明する義務がある。説明に際しては、消費者の知識、経験、契約締結の目的に照らして、㋑当該消費者に理解されるために必要な方法及び程度によるものでなければならない。事業者が説明義務を果たさなかった場合、消費者は、電気通信事業法の規定に基づいて、㋒その契約を解除することができる

【解答】 ✖ ウ ➡ 規定事項であるが契約解除要件ではない

  • イは適合性の原則電気通信事業者は、利用者の知識、経験、契約の目的に照らし合わせて、利用者に理解されるために必要な方法、程度で提供条件概要を説明しなければならない。 

 

電気通信事業法において、電気通信事業者は、所定の電気通信の役務の提供に関する契約が成立したときは、その契約内容を明らかにした書面(契約書面)を㋐遅滞なく消費者に交付しなければならないが、㋑事業者の判断により書面に代えて電磁的な方法で提供することも認められている。また、契約書面には㋒「契約書面の内容を十分に読むべき旨」の記載をしなければならない

【解答】 ✖  イ ➡ 書面を電子交付する場合は、消費者の承諾が必要

  • 電気通信事業者は、契約が成立したときは、遅滞なく利用者に契約書面を(8ポイント以上の文字)交付しなけれなばならない。
  • 書面を電子交付するときは、あらかじめ利用者に電子交付方法の種類内容を提示して、電子メール、ウエブサイト等により、利用者の明示的な承諾を得なければならない。電話や口頭のみでの承諾取得は認められず署名・クリック等により利用者からの能動的な意思表示が必要。
  • 電子交付のみしか選択肢がないのは不適切。 

 

③ インターネット上で商品を購入するため、消費者がクリック等の画面上の操作により事業者に申込みの意思表示をしたとき、事業者の承諾の意思表示が消費者に到達しなかった場合は、電子消費者契約法により㋐契約は成立しない。また、事業者が消費者の申込みの意思表示について確認を求める措置を行っている状況で、申込みの意思表示をした消費者自身に重過失による錯誤があった場合、消費者は㋑契約の無効を主張することができない。消費者がウェブ上の情報を見て商品の購入を決断し、事業者が準備した申込みフォームを利用せずに、事業者に電子メールを送信して契約を締結した場合、電子消費者契約法㋒対象とならない

【解答】 〇

  • 電子消費者契約法で、消費者がウエブ上で申し込み、事業者から承諾通知が電子メール等で到達時に契約が成立する。電子メールの場合、承諾メールが申込者のサーバーの中のメールボックスに記録された時点で契約が成立する。
  • ウエブ上フォームで申し込むところを、消費者が自由に契約内容を入力した内容を電子メール等で送信して申し込む場合はクリック等の錯誤無効を主張できない。電子消費者契約の対象外。 

 

④ 割賦販売法上、包括信用購入あっせん業者には登録制が導入されており、個別信用購入あっせん業者には㋐届出制が導入されている。また、包括信用購入あっせん業者には㋑苦情発生時の適切処理義務があり、個別信用購入あっせん業者には訪問販売業者等の加盟店契約締結時や苦情発生時等の加盟店調査義務がある。包括信用購入あっせん業者、個別信用購入あっせん業者のいずれにも、㋒過剰与信防止義務がある

【解答】 ✖ ア ➡ 個別信用購入あっせん業者も登録制 

  • 【割賦販売法上の開業費規制】「個品割賦」なし、「包括信用購入あっせん業者」:登録制、「個別信用購入あっせん業者」登録制
  • カード会社には業務適正化義務(割販法30条の5の2)があり、購入者等からの苦情の適切かつ迅速な処理をしなければならない。
  • 2016年(H28)の法改正により、イシュア―の加盟店調査義務が、アクワイアラーへの苦情伝達義務に修正された。
  • 業務適正化義務はマンスリークリアーには適用されないが、クレジット協会の自主規制には苦情の伝達に努めるとの設定が設けられた。
  • 過剰与信禁止、支払総額のうち、1年間の支払額が、調査した「個別支払い可能見込み額」を上回る時は、クレジット契約の締結は禁止。 

 

⑤ 包括信用購入あっせんを利用して通信販売業者から商品(4万円以上)を購入した場合、割賦販売法上、通信販売業者の債務不履行を理由とする解除は包括信用購入あっせん業者に対する㋐抗弁事由となる㋑広告に返品の可否等の記載がない場合の特定商取引法に規定する解約返品権㋒広告に記載された解約返品特約による解約申出は、抗弁事由となる。

【解答】 〇

  • 個別信用購入あっせんに導入されたクーリングオフ、過量販売解除権、不実告知取消権ルールは包括信用には導入されておらず、支払い停止抗弁で対応するしかない。
  • 支払い停止抗弁の適用は、分割の場合4万円以上リボ払いの場合、現金販売価格が3万8千円以上。  

 

⑥ 2016(平成 28)年改正以前の割賦販売法においては、クレジットカード番号情報の安全管理義務は、包括信用購入あっせん業者のほか、㋐二月払購入あっせん業者㋑立替払取次業者について規定されていた。改正により、㋒カード加盟店にも規定された。

【解答】 〇 

  • 「クレジットカード番号等取扱業者」(イシュア―、アクワイアラー、加盟店)はカード番号の漏洩、滅失等の防止など適切な措置を講じる。
  • また、「クレジット番号等取扱受託業者」(決済代行業者)に対し、必要な指導、措置を講じる義務を負う。
  • 加盟店はクレジットカード端末のIC化によるクレジットカード番号の不正防止の措置の義務を負う。 

 

⑦ 割賦販売法上の個別信用購入あっせんを利用した訪問販売による取引の際に、個別信用購入あっせん業者は、購入者の支払可能見込額を調査するため㋐指定信用情報機関の信用情報を照会する義務を負い㋑購入者から年収を確認する資料の提出を受ける義務を負う。購入者の保護に欠ける加盟店の行為に関する情報を取得したときは、㋒加盟店情報交換制度を運営する認定割賦販売協会に報告する義務を負う。

【解答】 ✖ イ ➡ 支払い能力調査義務はあるが、年収等は自己申告等により提出の義務はない。 

  • 指定信用情報機関CIC、JICC
  • 加盟店調査義務:個別信用購入あっせん業者には特定商取引を行う事業者の、加盟店調査義務があり、経済産業大臣から認定を受けた「加盟店情報交換センター」に利用者保護にかける行為に関する情報を報告する。

 

⑧ 割賦販売法上の個別信用購入あっせんを利用して訪問販売により商品を購入する取引で、その取引は特定商取引法上において規定する過量販売ではないが、過去の取引と合わせると過量販売となる場合、㋐過去の取引を含めて過量販売となることを今回の販売業者が認識していることが、購入者が当該販売契約を過量販売解除するための要件である。購入者が当該販売契約とともに個別信用購入あっせん契約も過量販売解除するには、㋑個別信用購入あっせん業者については過量性の認識は要件とされない。個別信用購入あっせん契約を過量販売解除した場合、購入者は㋒個別信用購入あっせん業者に対して既払金の返還を請求できる

【解答】 〇  

  • 過量販売解除で次々販売の場合、すでに消費者の日常生活において通常日知用とされる分量を著しく超える状態であることを知りながら、販売した場合は解除できる。
  • 2008年(H20)改正により、個別クレジット契約にも過量販売解除権が導入された。個別クレジット会社が過量販売であることを知っていたかは要件ではなく、個別クレジット会社が知らなかった場合でも解除できる
  • 個別クレジット会社は消費者に違約金、建て替え相当額の請求はできない。 

 

⑨ 割賦販売法上の個別信用購入あっせんを利用して訪問販売により商品を購入する取引で、販売業者が商品の性能について不実告知を行った場合において、㋐個別信用購入あっせん業者が加盟店調査義務を怠ったか否かにかかわらず、購入者は個別信用購入あっせん契約の取消しが主張できる。個別信用購入あっせん業者が購入者からの不実告知取消しに関する苦情を確認したときは、㋑1件の苦情でも加盟店調査義務が発生する。不実告知取消しが認められる場合は、購入者は㋒未払いのクレジット債務の支払拒絶だけでなく、既払金の返還請求もできる。

【解答】 〇 

  • クーリングオフと異なり、みなし規定はないので、特商法上の取り消しと、個別クレジットカードの契約の取り消しはそれぞれ行わなければならない
  • 取り消しの行使期間は追認できる時から6か月が1年に伸びた。契約締結時から5年で時効。 

消費生活相談員資格試験 30年度 15問

平成30年度 消費生活相談員資格試験 15問

15. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。※誤っている箇所がある場合は、1ヵ所である。  

① 訪問販売の勧誘をする際に禁止されている、「不実のことを告げる行為」とは、事実と異なることを告げることをいい、㋐その内容が客観的に事実と異なっていると評価できる限りこれに該当する。また、事実と異なることを告げていることについて、㋑事業者が認識している必要がある。事業者がこの規定に違反したときは、㋒罰則の対象となる

【解答】 ✖ イ ➡ 不実告知の事実があればよく、事業者が認識していたかは関係ない  

  • 不実告知(商品等の種類、性能品質、数量等、価格、支払時期・方法、引き渡し時期、クーリングオフについて、締結契約の必要性(消火器の設置義務があるなど))
  • 不実告知の事実があればよく、民法上の詐欺のように初めからだます目的がある場合と異なる。

 

② 通信販売を行う場合、請求や承諾をしていない者に対して販売業者がファクシミリ広告を送信することは原則禁止されており、これを㋐オプトアウト規制という。請求に基づいて申込用紙をファクシミリで送信する際に、その一部に広告を掲載することは㋑許される。通信販売で商品を購入した者に、ファクシミリを用いた商品発送通知に広告を掲載して送信することは㋒許される

【解答】 ✖ ア ➡ オプトイン規制である

  • オプトアウトは、広告メールを送付することは禁止されておらず、今後の広告の受取を拒否したい場合の連絡方法の表示が義務付けられ、拒否された場合、再送信が禁止される
  • 2008年(H14)の改正で、オプトイン規制となった。
  • オプトイン規制は、消費者が希望した場合を除き、承諾を得ずに一方的にメール送信することを禁止する。
  • また、FAXもオプトイン規制が適用されるが、「契約の成立」「注文確認」「発送通知」など、当該契約の内容確認や当該契約の履行に関わる重要事項をFAXを用いて送信する場合、通信文の一部に広告を掲載することは許される
  • また、購入者へのアフターサービスのための通信文を送信する際の、広告掲載はそのアフターサービスが契約履行のに不可欠な事項でない限り許される。

 

③ 連鎖販売契約において、その相手方が、当該契約をクーリング・オフした場合、連鎖販売業者は受領した商品代金を相手方に㋐返還しなければならない。相手方は連鎖販売業者に、引き渡された商品を㋑返還しなければならない。連鎖販売業者は、相手方が商品を使用し、利益を得ていた場合、当該利益相当額の返還を㋒請求することはできない

【解答】 ✖ ウ 問題14 ⑨参照

 

  

④ 業務提供誘引販売契約では、勧誘者からの㋐不実告知又は故意による事実の不告知があり、契約の相手方が誤認して契約をした場合、相手方は契約の申込みの意思表示を取り消せる。取消しの意思表示を㋑追認できるときから1年間行わないとき㋒契約締結時から5年経過したときは、時効により取消権が消滅する。

【解答】 〇 

  • 訪問販売時の取り消しと同様、不実告知による取り消しは、取り消し・追認できると知った時から1年、契約締結時から5年経過で消滅時効となる。

 

⑤ 訪問購入において、購入業者は、勧誘の要請をしていない者に対し、㋐営業所等以外の場所での勧誘㋑電話での勧誘を行うことが禁じられている。また、相手方から勧誘の要請があり、実際に相手方の自宅を訪ねた場合には、購入業者は、勧誘に先立って、相手方に勧誘を受ける意思があることを㋒確認しなければならないと定められている。

【解答】 ✖ イ ➡ 訪問購入の電話勧誘は禁止されていない。訪問のみ禁止

  • 訪問購入において、勧誘の要請をしていない者に対し、営業所以外の場所において勧誘し、勧誘を受ける有無を確認してはいけない。不招性勧誘の禁止
  • 勧誘を要請した者に対しても、勧誘開始段階において、消費者に勧誘を受ける意思があるかを確認せずに勧誘してはいけない。 

消費生活相談員資格試験 30年度 14問

平成30年度 消費生活相談員資格試験 14問

14. 次の各文章が、正しければ〇、誤っていれば×を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。 

① 路上で呼び止めて、最初に販売目的を告げた上で事業者の店舗に同行させて契約に至った場合、特定商取引法の訪問販売に該当する。

【解答】 〇

  • いわゆる「キャッチセールス」にあたり、路上など営業所以外で声をかけ、営業所等に同行して契約した場合は「訪問販売」に該当する。 

 

② 消費者が、自ら商品についての資料の郵送を依頼するために電話をかけた際に、事業者が「訪問して説明をしたい」旨を申し出て、これを消費者が承諾して自宅で契約した場合、特定商取引法の訪問販売の規定は適用されない。

【解答】 ✖

  • 消費者は資料の郵送を依頼するために電話したのであって、商品の申し込みをするために電話したのではないので、その電話で訪問することになったのであれば「訪問販売」に該当する。 

 

③ 消費者が、事業者から電話による勧誘を受け、その勧誘の結果申し込もうと考え、すぐ後に消費者が当該事業者のホームページの申込み画面から契約の申込みを行った場合は、電話勧誘販売に該当する。

【解答】 〇

  • 申込み方法ではなく、勧誘自体が電話によるものであるため、「電話勧誘」に該当する 

 

④ 特定権利には、社債や株式会社の株式、投資信託は含まれるが、発行会社が自ら販売する未公開株は含まれない。

【解答】 ✖ 

  • 特定権利には以前の「指定権利」のほかに、社債その他の金銭債権」が含まれるので未公開株式も含まれる
  • また、社員権、CO2排出権、シェールガス風力発電の施設運用権なども特定権利に該当する。 

 

⑤ 「初回お試し価格」と称して低価格で商品を販売する旨が広告に表示されているが、実際に当該価格で商品を購入するためには2回以上継続して売買契約を締結する必要がある場合には、原則として、定期購入契約である旨や金額、契約期間等の販売条件を広告に表示しなければならないと定められてい
る。

【解答】 〇

  • なお、1回契約で複数回の商品の引き渡しや代金の支払いをする場合は、特商法信販売についての広告11条1号~3号規定により、買い手が支払うこととなる代金の総額等の条件を全て正確に記載しなければならない。  

 

⑥ 通信販売において、商品の販売業者が広告中に返品特約を表示していなかった場合、契約書面の交付日から8日を経過するまでの間であれば契約の解除をすることができる。

【解答】 ✖ ➡ 「契約書面の交付日」ではなく、商品が届いてから8日以内

  • 信販売にはクーリングオフ制度はなく、書面交付義務もない。よって「契約書面交付日から」部分が間違い。
  • 返品返金規定について、表示の義務はあるが、「返品できない」と規定すること自体は禁止されていないため留意すること。
  • 返品制度について表示がない場合は、「商品が届いてから8日間は返品できる」と規定されているが、クーリングオフ制度と異なり、返品にかかる費用も特約がなければ消費者が負担することになる。 

 

⑦「無料の就活セミナー」への参加を勧める電話を受けて出向いた会場で、外国語教室(受講期間6ヵ月間、総額 20 万円)の受講を勧誘されてその場で契約した場合、特定継続的役務提供と訪問販売の規制が重複適用される。

【解答】 〇 

  • 販売目的を告げずに呼び出し、その会場で契約させているので訪問販売に該当する。
  • また、外国語教室で2か月以上5万円を超えているので特定継続的役務提供にも該当する。

 

⑧ 美容医療契約において、病院における治療が1回限りである場合は、1ヵ月を超えて無料でアフターサービスを受けられる場合であっても、特定継続的役務提供に該当することはない。

【解答】 ✖ ➡ 1か月以上のアフターケアを受けられるので特役に該当 

  • チケットや回数券等であって有効期限が示されていつものは、当該有効期限を持って役務の提供期間とし、有効期限の定めのないものについては、政令に定める期間(1か月、2か月)を超えるものとして取り扱う。
  • 契約において一定期間は無料で役務提供することとしているような場合は、この無料役務提供期間を含めて役務提供を受ける権利を有していることとなる。したがって、政令で定める期間を超えているか否かについては、当該無料提供の期間も含めて判断する。
  • 商品販売に付随して外見上無償で役務提供がされる場合、取り扱いの方法や説明や一定の修理補償(いわゆるアフターサービス)等も、社会通念上独立して経済的価値を有する(いわゆる有償)と認識される場合は、実質的には取引全体として有償役務提供がなされるものと考えられる。 

 

連鎖販売取引の加入者が、連鎖販売取引の中途解約に伴って商品販売契約を解除できる場合、まだ加入者に対して商品の引渡しがされていなければ、販売業者は加入者に、解約に伴う違約金等の支払いを一切請求することができない。

【解答】 ✖ ➡ 中途解約の違約金は認められている 

  • 連鎖販売の参加者はクーリングオフ期間を過ぎていても、連鎖販売契約を中途解約することができる。
  • また、連鎖販売で購入した商品も次に該当していれば解除・返品することができる。(入会後1年以内、商品の引き渡しを受けてから90日以内、商品を再販売していない、商品を使用消費していない場合
  • 中途解約の精算は、商品が返還されなければ商品の販売価格返還された場合は商品の販売価格の10%を違約金として請求できる。 

 

⑩ 「入会金を支払えば、仕事を紹介する」と言ってお金を支払わせるのみで、その仕事に必要な物品の販売や役務の提供の契約を全くしていない場合は、業務提供誘引販売取引に該当しない。

【解答】 〇  

  • 業務提供誘因販売取引とは、商品の販売・有償の役務提供であり、業務提供利益が得られると誘引され、特定負担を伴うものをいう。
  • 仕事に必要な物品の販売や役務提供をしていない場合は該当しない。 

 

⑪ 不用品を買い取ってもらうつもりで業者を自宅に呼び、査定してもらったところ、逆に「廃棄するのにお金がかかる」と言われ、最終的に消費者がお金を払って不用品を引き取ってもらった場合、訪問購入ではなく訪問販売の規制がかかる。

【解答】 〇  

  • あくまで訪問購入目的で事業者を呼んでいるため、急にその場で不用品の引き取りの役務提供の勧誘をしているので、訪問販売に該当する。

 

消費生活相談員資格試験 30年度 13問

平成30年度 消費生活相談員資格試験 13問

13. 次の文章のうち、下線部がすべて正しい場合は〇を、下線部のうち誤っている箇所がある場合は、誤っている箇所(1ヵ所)の記号を解答用紙の解答欄に記入(マーク)しなさい。※誤っている箇所がある場合は、1ヵ所である。  

消費者契約法は、㋐労働契約を除く、すべての消費者契約を適用対象とする。消費者契約とは、㋑事業者と消費者との間で締結される契約である。消費者契約法において、消費者とは、㋒個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く)のことをいう。

【解答】 〇 

  • 消費者契約法は事業者との間で締結される全ての契約だが、労働契約だけは対象外。
  • 法律の条文には事業者の定義はあるが、事業の定義はない。事業とは「一定の目的を持ってなされる同種行為の反復継続的遂行」であるが、営利・公益・非営利は関係ない
  • 公益法人NPO法人自治体、町内会等も対象となる。

 

消費者契約法第9条第2号は、消費者契約において、消費者が契約に基づく㋐金銭の支払い又は物の引渡しを遅延した場合の損害賠償額の予定又は違約金を定める条項について規定している。損害賠償又は違約金の額が、本号に定める額を超える場合、㋑超える部分は無効となる。事業者は、当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に㋒年 14.6%の割合を乗じて計算した額を超える損害賠償又は違約金を請求することができない。

【解答】 ✖ ア ➡ 事業者の物の引き渡しの遅延は関係がない

  • 消費者契約法9条2項は、消費者契約に基づき消費者が支払うべき金銭債務を規定しているので、事業者の引き渡しを遅延した場合の規定ではない。
  • 支払期日まで支払わない場合における損害賠償額を予定し、又は違約金を定める上限があり、それらの合計額が年14.6%を超える場合は、超えた部分は無効

消費者契約法において、事業者が、消費者契約の締結を勧誘するに際し㋐「重要事項」について事実と異なることを告げることは、取消事由とされている。「告げる」とは、㋑書類に記載して消費者に知らせるような場合を含む。中古車の走行メーターを巻き戻し、走行距離を短く見せてこれを消費者に示して販売する行為は㋒「告げる」に該当する

【解答】 〇

  • 消費者契約法(4条1項1号 不実告知による取り消し)は、事業者が勧誘する際に、重要事項について、事実と異なる事を告げ、消費者が誤認して契約した場合取り消しができる。
  • 重要事項とは、商品の質、用途等、対価その他取引条件
  • そのほか、契約の目的となるものが生命、身体、財産等の利益について、損害、危険を回避するために必要であると判断される場合(タイヤがすり減って危険なので買い替えるべきだ➡タイヤがすり減っているのは事実だが、危険か否かの判断でその部分に大げさなど不実告知があれば取り消し可能)

  

消費者契約法においては、事業者が、消費者契約の締結について消費者を勧誘するに際し、㋐当該消費者契約の目的となるものの分量、㋑回数又は期間(以下、「分量等」という。)が当該消費者にとっての通常の「分量等」を著しく超えるものである場合、そのことを㋒事業者が知らなくても、その勧誘により消費者が当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。

【解答】 ✖ ウ ➡ 事業者が知っていた場合、取り消しができる

  • 過量販売の取り消し要件で、勧誘に際し、商品等の分量・回数・期間等が消費者にとって通常の分量を著しく超え、事業者が過量であることを知っている場合、取り消しができる。
  • 次々販売の場合は、同種契約をしていて、同じ事業者か他の事業者かを問わず、合算した分量が通常の分量を著しく超えることを事業者が知っていた場合取り消しができる。

 

最高裁判所は、賃貸借契約書に㋐一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が㋑賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎる等の特段の事情がない限り、消費者契約法第 10 条により無効であるということはできないと判断している。

【解答】 〇 

  • 代表的な無効は「錯誤無効」「公序良俗違反」「意思能力のない者の意思表示」
  • 初めから、法律行為の効果がなかったとされる。
  • 無効を主張できる期間の制限はなく、無効を主張するにも制限がなく、三者もできる

 

⑥ 2016(平成 28)年の消費者契約法の改正により、消費者に、解除権をあらかじめ放棄させる消費者契約の条項は無効とするとの規定が新設された。この場合の解除権とは、㋐事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権㋑継続的契約における消費者の中途解約権㋒有償の消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があることにより生じた消費者の解除権である

【解答】✖ イ ➡ 中途契約の解約権放棄の無効までは規定されていない

 

⑦ 消費者団体訴訟制度において、同種紛争の未然防止・拡大防止を図るという同制度の趣旨から、適格消費者団体は、消費者契約法に基づく差止請求の内容として、事業者の一定の不当行為の㋐停止㋑予防又は㋒当該行為に供した物の廃棄若しくは除去等を請求することができる。

【解答】 〇

 

消費生活相談員資格試験 30年度 12問

平成30年度 消費生活相談員資格試験 12問

12. 次の文章の[ ]に入る最も適切な語句を、下記の語群の中から1つ選び、解答用紙の解答欄にその番号を記入(マーク)しなさい。なお、同一記号には同一語句が入る。

 

【語群】
1. 通知 2. 5年 3. 説明義務 4. 催告 5. 強迫 6. 10 年 7. 撤回 8. 原状回復義務 9. 虚偽表示

10. 法定追認  11. 心裡留保 12. 3年 13. 承認 14. 追完

   

 

  詐欺や[ ア ]による意思表示については、法律行為はいったん有効に成立するが、取消権者による取消しの意思表示によって法律行為の成立時に遡って効力が否定されることになる。取消権は、追認をすることができる時から[ イ ]間行使されないときは、時効によって消滅する。また、追認をすることができる時よりも後に、取り消すことができる行為について取消権者が履行の請求等をした場合には、取り消すことができなくなる。これを[ ウ ]という。
  一方、有効に成立した契約について、債務不履行があった場合には、契約を解除することができ、解除の意思表示がされると、契約の当事者は相互に[ エ ]を負う。また、履行遅滞の場合には、債務者に対して相当期間を定めて履行の[ オ ]をし、その期間内に履行がないときに契約の解除をすることができる。

 【解答】ア:⑤強迫 イ:②5年 ウ:⑩法定追認 エ:⑧原状回復義務 オ:④催告 

  • 詐欺や脅迫は取消権があるが、追認できる時から5年間行使しない時は、時効によって取消権が消滅する。
  • 追認できるときとは、詐欺だと知った時から強迫が終わった時から
  • 詐欺や脅迫に行為時から20年経過しても時効となる
  • 法定追認:追認したものとみなされる行為「債務を履行した場合」「追認できるものが債務の履行を認めた時」「追認できるものが権利を譲渡した場合」など